親が「500万円」の車を「50万円」で譲ってくれました。友人から贈与税を心配されたのですが、現金をもらっているわけでもないので、申告の必要はないですよね?

配信日: 2025.10.25
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親が「500万円」の車を「50万円」で譲ってくれました。友人から贈与税を心配されたのですが、現金をもらっているわけでもないので、申告の必要はないですよね?
「親から車を安く譲ってもらう程度なら贈与税は関係ない」と思っていませんか? 実は、高額なものを相場よりも著しく安く譲り受けると、思わぬ税金トラブルに発展するおそれがあります。
 
この記事では、見落としがちな贈与税の事例と、その対策について分かりやすく解説します。
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現金を受け取らなくても課税対象になる?

今回の事例のように、親から相場より極端に安い価格で車を譲り受けた場合、現金を受け取っていないとしても、税務上は贈与に当たる可能性があります。国税庁によれば「個人から著しく低い価額の対価で財産を譲り受けた場合、その財産の時価と支払った対価との差額は贈与により取得したものとみなす」としています。
 
これは相続税法に基づく「みなし贈与」の考え方で、形式が売買であっても、実質的に無償の利益が移転していれば課税が生じ得るということです。
 
ポイントは「著しく低い価額」かどうか、つまり時価と実際の売買価格の差です。差額が大きいほど、贈与と判断されるリスクは高まります。ここでいう時価は「通常の取引で成立するであろう価額」を意味し、中古車であれば年式、走行距離、修復歴、装備、地域相場などを総合して判断されることが一般的です。
 
したがって、単純な定価や新車価格と比較するのではなく、客観的な市場価格をどう裏付けるかが重要です。
 

「500万円相当」の車を「50万円」で取得したら? 差額の考え方と贈与税の基本

仮に車の時価が500万円相当で、実際の親への支払いが50万円であれば、差額の450万円が「みなし贈与」の課税対象となる可能性があります。贈与税は原則として受け取った人(受贈者)が申告・納税します。暦年課税では年間110万円の基礎控除があり、贈与額から110万円を差し引いた残額に税率を適用します。
 
上記の例では、課税価格は「差額450万円-基礎控除110万円」で340万円です。最終的な税額は、受贈者の年齢や直系尊属(両親、祖父母など)からの贈与か否かなどで異なりますが、税率は課税価格によって10%~55%です。
 
なお、「著しく低い価額」の具体的な基準は明記されていません。そのため、「差額が発生しているか」「差額についてどれだけ合理的に説明できるか」が重要であると考えられます。
 

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中古車でトラブルになりやすい点と証拠の残し方

中古車は、車の状態によって価格が大きく変動します。例えば、修復歴や事故歴、消耗品の交換の要否、追加装備の有無、地域の需給状況などにより、数十万円から数百万円の差が出ることも珍しくありません。
 
そのため、できるだけ条件が近い売買事例や見積書、整備記録簿、車両の状態を示す写真や点検記録など、時価を裏付ける客観的な資料を残しておくことが大切です。こうした証拠をそろえておくことで、「著しく低い価額」ではなく適正な価格だった、あるいは差額に合理的な理由があったと説明しやすくなるでしょう。
 
また、金銭のやり取りは振り込みなど記録が残る方法で行うと、万が一の際にもスムーズに説明できます。
 

まとめ

親から相場より大幅に安い価格で車を譲り受けた場合、時価と支払額の差額が「みなし贈与」として課税対象となる可能性があります。まずは、公的な根拠に基づいて原則を確認し、基礎控除や税率を踏まえて概算の目安を把握しておきましょう。
 
特に争点となりやすいのは時価の証明です。説明できる資料をそろえ、申告漏れや将来的なトラブルを防ぎましょう。
 
価格差に合理的な説明がつかない場合や、申告が必要かどうか判断に迷う場合は、早めに税理士など専門家へ相談すると安心です。
 

出典

国税庁 タックスアンサー(よくある税の質問) No.4423 個人から著しく低い価額で財産を譲り受けたとき
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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