疎遠になって久しい独身の叔父。“1億円以上”もする不動産をいくつか持っているようですが、将来的に甥である私も「相続」できるのでしょうか?
そのため、所有者が亡くなる前に相続をどのようにするかを話し合っておくことが重要です。仮に、叔父が亡くなった場合、甥はその財産を相続できるのでしょうか。本記事では、相続人の範囲と代襲相続の仕組みを解説します。
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被相続人の甥は「代襲相続」できる可能性がある
甥は、原則として法定相続人には含まれませんが、代襲(だいしゅう)相続人として財産を相続できる可能性があります。代襲相続とは、本来相続するはずだった人間が他界している場合にその子どもが相続人となる仕組みです。
相続財産は、最も相続順位の高い相続人が相続します。以下は、配偶者を除いた相続順位の一覧です。
1.子ども
2.父母、祖父母
3.兄弟姉妹
1・2番目がおらず、甥・姪の親にあたる兄弟・姉妹もすでに死亡している場合、被相続人の甥・姪が代襲相続人となります。
「代襲相続人」の範囲と「代襲相続」できる条件
代襲相続ができるのは、死亡した人の甥・姪だけではありません。被相続人の直系卑属も代襲相続人になる可能性があります。直系卑属とは、子ども・孫・ひ孫など被相続人から見て後の世代にあたる直系の血族です。
例えば、被相続人に子どもがいたが、子ども本人が他界している場合、その人の子どもである孫が代襲相続人となります。直系卑属は子どもがいる限り、孫やひ孫へと代襲相続人の権利が受け継がれますが、兄弟姉妹の場合、代襲相続人になれるのは甥・姪のみです。
また、相続欠格や相続廃除によって相続人が相続権を失った際も、その子どもが代襲相続人となる場合があります。民法891条・892条によると、相続欠格・相続廃除となる行為は以下の通りです。
1.相続欠格
次のような行為に該当する場合、相続権を失います。
・故意に被相続人や他の相続人を死亡させた、または死亡させようとして刑に処せられた
・被相続人の殺害を知りつつ、告発・告訴しなかった(その人が物事を正しく判断する能力がない、または殺害者が被相続人の配偶者・直系血族の場合は例外)
・遺言書の作成にあたって被相続人に詐欺・脅迫行為を行い、撤回・取り消し・変更をさせた、またはそれを妨げた
・遺言書を偽造・破棄・隠匿した
2.相続廃除
相続人が次のような行為を行っており、被相続人が家庭裁判所に請求した場合、家庭裁判所の審判や調停によって相続権をはく奪される恐れがあります。
・被相続人に対する虐待・侮辱行為があった
・相続人本人に著しい非行がある
「代襲相続人」には「2割加算」ルールが適用される可能性がある
代襲相続人の相続は「2割加算」の対象となります。2割加算とは、通常の相続税に加えて、さらに税額の2割が上乗せされて請求される制度です。被相続人の配偶者や両親・子どもなど1親等の血族(孫養子を除く)以外の人が相続する際に、2割加算が課せられます。
兄弟姉妹は2親等にあたるため、2割加算が適用され、その代襲相続人である甥・姪にも加算がされます。一方、孫も2親等のため、本来は2割加算の対象者です。しかし、1親等である子どもの代襲相続人となる場合、子どもに代わって相続して相続税を納めるため、2割加算は適用されません。
まとめ
被相続人の兄弟姉妹に当たる人が死亡している場合、その子どもである甥・姪が代襲相続人として相続権が発生する場合があります。ただし、被相続人に配偶者・子ども・孫などがおらず、父母・祖父母といった直系尊属も他界している場合のみです。
また、基本的に甥・姪による代襲相続には相続税が2割加算される点も注意が必要です。相続に関する急なトラブルに対応するため、国税庁や法律事務所のホームページなどでも相続のルールをあらかじめ確認しておくとよいでしょう。
出典
国税庁 No.4132 相続人の範囲と法定相続分 2024年4月
国税庁 No.4157 相続税額の2割加算 2024年4月 概要
デジタル庁 民法
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー