父が亡くなり“5000万円の相続”も完了したところ、後になって「異母兄弟」が相続権を主張!実子は私だけですが、“2500万円”を渡す必要はありますか?
さらに、異母兄弟は、他の子と同等の相続権を持ちます。異母兄弟と疎遠になっていたり面識がなかったりすると相続トラブルになりかねないため、相続手続きには注意が必要です。
本記事では、異母兄弟がいるときの相続権や相続割合、相続税について解説します。
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相続人全員が参加していない「遺産分割協議」は無効
遺産相続においては、亡くなった被相続人が遺した「遺言書」が一番に優先されます。
もしも「遺言書」がなく、相続人が複数の場合は、「遺産分割協議」を実施し遺産分割の方法と相続の割合を決めなければなりません。遺産分割協議には相続人全員の参加と合意が必須で、相続人全員が署名と捺印をした「遺産分割協議書」を作成する必要があります。
つまり、相続人の全員が参加し、合意していない「遺産分割協議」は無効となるわけです。異母兄弟にも遺産を受け取る権利があるため、掲題のケースは「遺産分割協議」のやり直しが必要と考えられます。
そもそも「異母兄弟」は相続人の範囲に含まれる
国税庁の「タックスアンサー(よくある税の質問)No.4132 相続人の範囲と法定相続分」によると、死亡した人の配偶者は常に相続人となり、配偶者以外の人は、表1のような順序で配偶者と一緒に相続人になります。
表1
| 順位 | 相続人の範囲 |
|---|---|
| 第1順位 | 死亡した人の子供 |
| 第2順位 | 死亡した人の直系尊属(父母や祖父母など) |
| 第3順位 | 死亡した人の兄弟姉妹 |
出典:国税庁「No.4132 相続人の範囲と法定相続分」を基に筆者作成
つまり、被相続人の実子である「異母兄弟」は第1順位の相続人となるため、他の子と同等の相続権があります。そのため、トラブルがないように遺産分割協議を行い、遺産分割の方法と相続の割合を決めることが大切です。
また、相続人には法定相続分や遺留分が認められており、異母兄弟も他の子と同様に遺産を承継する権利が保証されています。
子が「2500万円」を相続した場合の“相続税”は?
最後に、子が1人あたり「2500万円」を相続した場合の相続税を試算してみましょう。まず、今回のケースでは、正味の遺産総額は「5000万円」です。被相続人の配偶者である母はすでに亡くなっていると仮定すると、相続人は子と異母兄弟の2人となるため、基礎控除額は3000万円+600万円×2人=4200万円となります。
つまり、課税遺産総額は5000万円-4200万円=800万円です。相続人である子が複数いる場合、法定相続分は2分の1ずつとなるため、1人あたり400万円が按分されることとなります。国税庁の「相続税の速算表」をもとに相続税を概算すると、1人あたり約40万円、相続人2人で合計約80万円程度となります。
まとめ
異母兄弟は法定相続人の1人であり、他の子と同等の相続権を持っています。たとえ生前に父との関わりがなかったとしても、法律で定められている権利であるため、適切な手続きを取らなければなりません。異母兄弟も含めて遺産分割協議を行い、トラブルなく相続手続きを進めましょう。
出典
国税庁 タックスアンサー(よくある税の質問) No.4132 相続人の範囲と法定相続分
国税庁 タックスアンサー(よくある税の質問) No.4155 相続税の税率
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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