父の遺産分割協議後、実家のタンスから「現金500万円」が見つかりました。このお金、発見した私が「一人で」相続して問題ないでしょうか?
この場合、新たな財産を発見した相続人が一人で相続できるのか、それとも遺産分割協議のやり直しが必要になるのか、確認しておきましょう。
本記事では、遺産分割協議後に新たな財産が見つかった場合の対処法や、トラブルを回避するための対策についてご紹介します。
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目次
遺産分割協議後に見つかった財産は発見者が一人で相続できる?
遺産分割協議とは、相続人全員の話し合いにより遺産の分割を行うことをいいます。相続人は、遺産分割協議で定められた内容の通りに財産を取得することになります。
しかし、今回のように、遺産分割協議後に相続人が把握していなかった新たな財産が見つかることもあるでしょう。
この場合、必ずしも以前の遺産分割協議の内容を無効にして遺産分割協議をやり直す必要はありません。新たに発見された財産についてのみ相続人たちで話し合い、分割方法を決めればよいことになっています。
もし、新たに見つかった財産について相続人同士で話し合った結果、発見者が一人で相続してもよいということになれば、特に問題はないでしょう。
しかし、ほかの相続人の合意なく発見者である相続人が一人で相続することはできません。民法第八百九十八条でも「相続人が数人あるときは、相続財産は、その共有に属する」と定められています。
ただし、遺産分割協議後に新たな財産が見つかった場合の対処法について、特定の相続人が一人で相続できる旨が遺産分割協議書に書かれている場合は、その内容に従いましょう。
遺産分割協議のやり直しが必要になるケース
相続人全員の合意があれば、遺産分割協議のやり直しは必要ありません。しかし、新しく見つかった遺産の価値が高く、遺産分割に影響する可能性がある場合はやり直しが必要になるでしょう。
もし、最初からその財産があることが分かっていたら別の方法で遺産分割をしていた可能性があるときは、遺産分割の効果を失わせ、遺産分割協議を再度行えます。
また、ある相続人が財産を隠していたことで当初の遺産分割協議の際に話し合いの対象にならなかった場合も、ほかの相続人は無効になることを主張できるでしょう。
トラブルを回避するための対策
遺産分割協議後に新たな財産が見つかると、状況によっては相続トラブルに発展する可能性があります。
そのようなことを避けるためには、遺産分割協議の際に、新たな財産が見つかった場合の対処法について決めておくことがおすすめです。「新たな財産が出てきたときは遺産分割協議をやり直す」「新たに見つかった財産の分のみ話し合いをする」「特定の相続人が相続する」というように決めておけば、もめ事が起こることもないはずです。
漏れのないようにしっかりと財産調査を行っておくことも大切なため、司法書士や弁護士にも依頼して確実に調べておくとよいでしょう。
後から見つかった財産は相続人全員の合意があれば一人で相続できる
遺産分割協議後に新たな財産が見つかったときは、新たに発見された財産についてのみ、遺産分割協議をやり直せます。話し合いの結果、特定の相続人が相続することを相続人全員が合意した場合は、一人で相続することが可能になるでしょう。
相続財産は相続人全員が共有するものなので、合意なく一人の相続人が相続することはできません。
また、新しく見つかった財産の価値が高く、遺産分割に影響する可能性がある場合などは、遺産分割協議のやり直しが必要になります。
トラブルを防ぐためにも、新たな財産が出てきたときの対処法についてあらかじめ決めておくことをおすすめします。
出典
日本公証人連合会 公証事務 3 遺産分割協議 Q2. 遺産分割協議とは、どのようなものですか?
デジタル庁 e-Gov法令検索 民法(明治二十九年法律第八十九号)第五編 相続 (共同相続の効力)第八百九十八条
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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