先日父が亡くなり“3500万円の相続”も完了。5年前から“毎年100万円の生前贈与”を受けていたのですが、「相続税」はかかりませんよね?

配信日: 2025.10.31
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先日父が亡くなり“3500万円の相続”も完了。5年前から“毎年100万円の生前贈与”を受けていたのですが、「相続税」はかかりませんよね?
相続税の負担を抑える目的で生前贈与を行う方も少なくありません。しかし生前贈与のタイミングによっては相続税がかかる場合があるのをご存じでしょうか。今回のケースは、5年前から毎年100万円生前贈与されていたとのことですが、この場合、相続税は発生してしまうのでしょうか。
 
本記事では、生前贈与された財産の税務上の扱いと税制改正後に実施できる相続税対策を解説します。
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相続開始前7年以内の贈与は「生前贈与加算」の対象

国税庁によると、贈与税には年間110万円の基礎控除があるため、年間110万円以下であれば非課税で生前贈与が可能です。これを暦年贈与といいますが、暦年贈与には生前贈与加算があります。
 
相続開始前の一定期間に受けた生前贈与の財産を相続財産に上乗せして税額を算出する仕組みが生前贈与加算です。令和5年度税制改正により、加算対象期間は相続開始前3年以内から7年以内に期間が変更されています。そのため、掲題のケースの毎年100万円×5年間の500万円は相続財産に加算されるかもしれません。
 
ただし、令和6年~令和12年の7年間は経過措置が設けられています。国税庁によると、相続開始日別の加算対象期間は表1の通りです。
 
表1

相続開始日 加算対象期間
~令和8年12月31日 死亡日からさかのぼって3年間
令和9年1月1日~令和12年12月31日 令和6年1月1日から死亡日まで
令和13年1月1日~ 死亡日からさかのぼって7年間

出典:国税庁「No.4161 贈与財産の加算と税額控除(暦年課税)」を基に筆者作成
 

掲題のケースでは“40万円”の「相続税」がかかる可能性

国税庁によると、相続開始前の贈与財産の基礎控除額は3000万円+600万円×法定相続人の数です。相続する金額が3500万円で、相続人が掲題の方1人で生前贈与加算がなければ、基礎控除額の3600万円以下のため、相続税はかかりません。
 
一方、前述した生前贈与分の500万円が相続財産に加算された場合、相続財産は4000万円となるため、課税遺産総額は400万円です。
 
表1の通り、現在は経過措置が設けられておりますが、仮に相続開始日が令和13年1月1日以降であった場合、課税遺産総額400万円に対して相続税が発生する可能性があります。国税庁によると、取得金額が1000万円以下の場合の税率は10パーセントと定められているため、掲題のケースにおける相続税額は40万円となるようです。
 

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「加算対象期間」の延長後も実施できる4つの相続税対策

税制改正後も実施できる相続税対策として、以下の4つが挙げられます。
 
・法定相続人以外に贈与する
生前贈与加算の対象となるのは基本的に法定相続人のため、孫や子どもの配偶者などの法定相続人以外に贈与すれば節税できる可能性があります。
 
・相続時精算課税制度を利用する
もう一つの贈与制度である相続時精算課税制度は生前贈与加算の対象外です。ただし、令和6年1月1日以降の贈与は基礎控除額の110万円を差し引いた残額が相続税課税価格に加算されます。
 
・贈与税の非課税制度を利用する
贈与税の非課税制度を利用すれば、まとまった金額を非課税で生前贈与できます。主な非課税制度は、教育資金の一括贈与や結婚・子育て資金の一括贈与などです。
 
・早めに生前贈与を始める
加算対象期間に入らないように、早めに生前贈与を始めるのも有効です。相続開始前7年以内の贈与が対象となるため、それ以前に生前贈与すれば課税対象にはなりません。
 

まとめ

相続開始前の7年以内の贈与は生前贈与加算の対象となるため、5年前から生前贈与を受けていた場合は相続税が発生する恐れがあります。生前贈与加算を回避したい場合は法定相続人以外への贈与か、相続時精算課税制度や贈与税の非課税制度の利用がおすすめです。また、加算対象期間に入らないように早めに生前贈与を始めるのも有効でしょう。
 

出典

国税庁 No.4408 贈与税の計算と税率(暦年課税)
国税庁 令和5年度 相続税及び贈与税の税制改正のあらまし(令和5年6月)
国税庁 No.4161 贈与財産の加算と税額控除(暦年課税)
国税庁 No.4155 相続税の税率
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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