85歳で父が逝去、銀行口座が凍結される前に“葬儀費用の200万円”を引き出しました。「相続手続き」はこれからなのですが、問題ないですよね?

配信日: 2025.11.03
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85歳で父が逝去、銀行口座が凍結される前に“葬儀費用の200万円”を引き出しました。「相続手続き」はこれからなのですが、問題ないですよね?
両親など身近な人の死後に、真っ先に必要となるのが葬儀費用でしょう。しかし銀行口座は、名義人の死亡により凍結されることがあり、引き出すことができなくなる可能性があります。
 
本記事では、凍結前に「葬儀費用」を事前に引き出してもよいのか、凍結後の対応はどうすればよいのか、いざという時に困らないよう、口座凍結の基礎知識などについて解説します。
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名義人が死亡した場合「銀行口座」は凍結される

名義人が亡くなると、その銀行口座は原則として凍結されます。
 
これは、相続財産を保護し、相続人同士のトラブルを防ぐため、銀行が被相続人の死亡を把握した時点から相続手続きが完了するまでの間、入出金を一時的に停止する措置によるものです。
 
遺族からの連絡はもちろん、新聞の訃報欄などで銀行職員が死亡を知るケースもあるようです。また、口座の有無や残高を問い合わせたことで銀行に死亡の事実が伝えられて、凍結されることもあります。
 
口座が凍結されると、本人名義の通帳やキャッシュカードが手元にあっても引き出しはできません。口座振替にしていた電気・ガス・水道などが供給停止となるおそれもあるため、早めに関係各所へ連絡し、名義の変更や別の方法で支払いを済ませる手続きを実施することが大切です。
 

口座凍結後に引き出したい場合は「相続預金の払戻し制度」を利用する方法も

口座名義人が亡くなった後、口座が凍結される前に預金を引き出すことは物理的には可能でしょう。しかし、相続手続き開始前に相続財産である預金を引き出す行為は、相続人同士のトラブルにつながる可能性があります。では、葬儀費用などの支払いは全て相続人でまかなわなければならないのでしょうか。
 
実は、口座が凍結された後でも、一定額を引き出すことができる「相続預金の払戻し制度」があります。これは2019年7月に施行された制度で、当面の生活費や葬儀費用などに充てるための資金を払い戻せる仕組みです。
 
一般社団法人全国銀行協会によると、家庭裁判所の手続きを経ずに払戻しを受ける場合、上限は「相続開始時の預金額×3分の1×申請者(払戻しを行う相続人)の法定相続分」で、1つの金融機関につき最大150万円までと定められています。
 
この制度を申請する際は、被相続人の除籍謄本や戸籍謄本、全部事項証明書、そして相続人全員の戸籍謄本や全部事項証明書、申請者の印鑑証明書などが必要となる場合があります。手続きの詳細は金融機関ごとに異なるため、利用を検討している場合は、まずは口座のある銀行に問い合わせるとよいでしょう。
 
なお、預金を引き出す際は、他の相続人に了承を得て使い道を明確にし、領収書などを保管しておくと安心です。必要な費用をあらかじめ確認し、事前に家族や親戚同士で合意しておくと、金銭トラブルを防げるでしょう。
 

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「葬儀費用」は遺産総額から差し引いて相続税を計算できる

国税庁によれば、「葬儀費用」は相続財産から控除できるとされています。遺産総額から差し引ける葬儀費用としては、以下の通りです。
 

・葬式や葬送に際し、またはこれらの前において、火葬や埋葬、納骨をするためにかかった費用
・遺体や遺骨の回送にかかった費用
・葬式の前後に生じた費用で通常葬式にかかせない費用
・葬式に当たりお寺などに対して読経料などのお礼をした費用
・死体の捜索または死体や遺骨の運搬にかかった費用

 
一方、以下のような費用は控除対象の「葬儀費用」には該当しないため注意しましょう。
 

・香典返しのためにかかった費用
・墓石や墓地の買入れのためにかかった費用や墓地を借りるためにかかった費用
・初七日や法事などのためにかかった費用

 

まとめ

被相続人の口座は、銀行に死亡が知られると凍結され、たとえ身内であっても自由に引き出せなくなります。口座が凍結される前に相続財産である預金を引き出す行為は、相続人同士のトラブルにつながる可能性もあります。
 
相続手続きの開始前に被相続人の預金を引き出したい場合は、「相続預金の払戻し制度」を利用することで、一定額まで払戻しが可能です。無用なトラブルを避けるためにも、どのように費用を拠出するのかは、事前に家族で話し合っておきましょう。
 

出典

一般社団法人全国銀行協会 遺産分割前の相続預金の払戻し制度のご案内チラシ
国税庁 タックスアンサー(よくある税の質問) No.4129 相続財産から控除できる葬式費用
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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