父の遺品整理をしていたら、私名義の「定期預金通帳」が出てきた! 50万円と少額なのですが、これも「相続」の対象になるんでしょうか?

配信日: 2025.11.08
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父の遺品整理をしていたら、私名義の「定期預金通帳」が出てきた! 50万円と少額なのですが、これも「相続」の対象になるんでしょうか?
父親が亡くなり、遺品整理を進める中で、ふと目に入ったのは「自分名義」の定期預金通帳……金額は50万円と少額ですが、口座の原資が父親のものであったなら、それは父親の遺産=「相続財産」になりうるのでしょうか。
 
名義が自分=相続人であるため「自分のものでは?」と考えてしまうのも無理はありません。しかし税務の視点から見ると、名義だけでは判断できず、実質的な資金提供者や管理・運用実態が重要になります。
 
今回は、少額の預金でも見落とせない「名義預金」の概念と、通帳を発見した後に押さえるべき手続きや注意点を、分かりやすく整理します。
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「名義は私だけど、父の資金だった?」――通帳発見で押さえる第一歩

遺品整理の場で、自分名義の通帳が出てくると「自分のお金なのか」それとも「父のものだったのか」と迷うことがあります。ここで注目すべきは名義ではなく、資金の出どころや管理・運用の実態です。
 
税務上の基本的な考え方として、国税庁によれば「相続税がかかる財産」には、現金・預貯金・有価証券・貸付金など金銭的に価値のあるものすべてが含まれます。
 
たとえ口座名義が相続人名義であっても、被相続人(今回のケースでは父親)が資金を提供し、口座の管理や運用も被相続人が行っていた場合には、「名義預金」として父親の相続財産に含まれると判断されるケースがあります。
 
つまり、名義だけを根拠に「自分のものだ」と判断せず、通帳の履歴や入金の元、預金の使い道、父親がどのようにその口座に関与していたかを確認することが第一歩です。
 

少額「50万円」でも“相続財産”になる? 税法上の考え方を整理

「50万円と少額だから相続の対象にならない」と安心するのは危険です。まず、相続税課税の有無とは別に、相続財産としての取り扱いが必要かどうかは、父親が亡くなった時点で父親の財産であったかどうかで判断します。
 
国税庁の説明でも、「死亡した人の財産を相続や遺贈によって取得した場合に、その取得した財産に相続税がかかる」と明記されています。
 
続いて、名義預金とされるか否かの判断基準としては、前述の通り、預金の原資・名義人以外の管理者・利益の帰属などが総合的に検討されます。
 
例えば、父親が預金時点で資金を拠出していた、通帳や印鑑を父親が保管していた、預金の利息や元本が父親の生活費に充てられていた、といった事実があれば、50万円であっても「父親の財産」として相続財産に含まれる可能性があります。
 
逆に、例えば預金元が自分の給与収入で、父親は一切関与しておらず、通帳や印鑑も自分が管理していたのであれば、自分の固有財産として扱われる余地があるでしょう。
 
なお、相続税が課されるかどうかは、基礎控除など相続税の計算上のルールが別途ありますが、ここで重要なのは「相続財産」に入れるかどうかという判断です。50万円という金額の大小では「除外」されるわけではありません。
 

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遺品整理後の通帳、これから何をすべきか――実務的な手続きと注意点

通帳が見つかったら、まずその口座の開設日・預入額・出入金の履歴を通帳や明細から確認しましょう。
 
特に「いつ誰の資金が入ったか」「預金の名義人が通帳を管理していたか」「利息が誰の口座に入金されていたか」などが主なチェックポイントです。税務調査の実務では、金融機関に対して10年以上前の取引履歴をさかのぼることも可能とされています。
 
次に、父親の遺産として扱うべきか否かを相続人間で整理し、必要であれば専門家(税理士・弁護士など)に相談することが賢明です。通帳の存在だけで「放置」してしまうと、後々「名義預金」として相続税申告漏れの指摘を受けるリスクもあります。
 
また、手続きを進めるにあたっては、通帳を安易に破棄したり、履歴を消したりしないことも重要です。むしろ、履歴を含めて整理し、相続財産の全体像を把握するための資料とすることをおすすめします。誰がいつどのようにその預金に関与していたかを整理することが、後々のトラブル回避につながります。
 

まとめ:名義と実質のズレを放置せず、安心できる相続処理を

遺品整理の時に見つかった通帳が「自分名義」であるだけに、「私のものだ」と思いたくなる気持ちは理解できます。しかし、税務上は名義よりも「資金の出どころ」「管理・運用の実態」などが重視されます。
 
50万円という少額であっても、もしその預金の原資が父親であり、父親が実質的に管理していたのであれば、それは父親の「相続財産」として扱われる可能性があります。
 
重要なのは、通帳を発見した段階から“透明に整理”し、“誰がどのように関与していたか”を明らかにすることです。放置してしまうと、後々の相続税申告や家族間のトラブルに発展しかねません。まずは通帳の履歴を整理し、必要に応じて専門家と相談して、安心して次の手続きに進むことをおすすめします。
 

出典

国税庁 タックスアンサー(よくある税の質問) No.4105 相続税がかかる財産
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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