父の遺産を兄「3000万円」と弟の私「2000万円」で相続しました。一人あたりの相続額は基礎控除の範囲内なので、税金はかかりませんよね?

配信日: 2025.11.13
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父の遺産を兄「3000万円」と弟の私「2000万円」で相続しました。一人あたりの相続額は基礎控除の範囲内なので、税金はかかりませんよね?
相続税や贈与税には基礎控除が存在し、基礎控除を超えなければ税金は課されません。このことから、複数の相続人で遺産を相続した際、それぞれの金額が基礎控除を超えていなければ「税金は課されないのでは?」と考える人もいるでしょう。
 
今回は、相続税の計算の考え方や計算方法、申告方法などについてご紹介します。相続税の課税基準が分からない人はぜひ参考にしてください。
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相続税は遺産全体の金額で計算する

相続税の課税対象となるかどうかは、遺産が基礎控除を超えているか否かで決まります。基準となる金額が、それぞれの相続人が相続した総額ではなく、遺産の合計額である点に注意しましょう。
 
贈与税は、個人の受け取った金額を基準として課税額を計算します。相続税も同様に計算すると、本当であれば申告が必要なケースで申告漏れとなる可能性があります。
 
今回のように兄が3000万円、弟が2000万円で相続した場合を例にしましょう。相続税の基礎控除は「3000万円+法定相続人数×600万円」で決まるため、法定相続人が2人の場合、基礎控除額は4200万円です。
 
兄と弟それぞれの金額を基礎控除と比較すると、どちらも基礎控除より少なくなります。しかし、2人で相続した遺産総額は5000万円となり、後述する「正味の遺産額」が基礎控除を超える場合は相続税の課税対象となる可能性があります。
 
課税対象にもかかわらず申告を忘れていると、税金の無申告として加算税や延滞税が課される場合があるため、注意しましょう。
 

相続税額の計算方法

相続税の課税対象となった場合、申告と納付が必要です。いくら支払うかは遺産総額のうち、実際に相続した割合によって変わります。国税庁によれば、納付する相続税額の計算方法は以下の通りです。


(1)遺贈も含めたすべての遺産を合計する
(2)遺産に加算する贈与(相続時精算課税の適用を受けた財産)があれば(1)と合計する
(3)(2)から葬式費用や債務などの差し引ける項目を引いて、さらに加算対象となる暦年課税に係る贈与があれば加算し、「正味の遺産額」を求める
(4)(3)から基礎控除額を引いて課税遺産総額を求める
(5)(4)を法定相続分通りに分配したとして、各相続人の税額を求める
(6)(5)を合計し、遺贈を受けた人も含めて実際に相続した割合で分ける
(7)(6)のそれぞれの税額に、加算や控除があれば適用する

以下の条件で相続が発生した場合の税額を計算してみましょう。


・遺産総額は5000万円
・相続したのは法定相続人である兄と弟のみ
・兄が3000万円、弟が2000万円を相続
・遺贈や債務、相続時精算課税、税額の加算や控除などは考慮しない

まず、計算手順に当てはめると正味の遺産額は5000万円、基礎控除を引くと課税遺産総額は800万円です。法定相続分通りに分配すると400万円ずつとなり、相続税率は10%のため、税額は40万円ずつ、2人合計で80万円です。
 
実際に相続した割合は兄が5分の3、弟が5分の2のため、兄が48万円、弟が32万円を相続税額として支払います。
 

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相続税の申告方法

国税庁によると、相続税が課されると分かったときは、故人が亡くなったことを知った日の翌日から10ヶ月以内に、申告と納付手続きが必要です。
 
相続税の申告書に必要事項を記載し、故人の住所地を管轄する税務署へ提出しましょう。故人と相続人の住所が異なる場合、相続人の住所地を管轄する税務署に提出しないよう注意が必要です。
 
提出はe-Taxを利用したオンラインのほか、郵送でも可能です。利用しやすい方法を選ぶとよいでしょう。申告後は、納付期限までに電子納税、クレジットカード納付、金融機関や税務署窓口納付のいずれかの方法で、税金を支払います。
 

相続税はすべての遺産を合計して求めるため、「正味の遺産額」が基礎控除を超えていれば課税される

相続人一人ひとりの相続した金額は基礎控除以内であっても、「正味の遺産額」が基礎控除額を超えていれば課税対象であるため、申告を忘れないようにしましょう。相続人の相続税の負担割合は、相続人が遺産を受け取った割合に準じます。
 
なお、相続税が課された場合、故人が亡くなったことを知った日の翌日から10ヶ月以内に申告と納税をしましょう。
 

出典

国税庁 パンフレット「暮らしの税情報」(令和7年度版)財産を相続したとき
国税庁 タックスアンサー(よくある税の質問)No.4205 相続税の申告と納税
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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