相続登記を済ませたのに「固定資産税の督促状」が来た。手続きが終わっていても課税されるのはどんなケース?
本記事では、固定資産税の課税ルールや督促状が届く理由を解説し、相続後の想定外の出費を防ぐためのポイントをまとめます。
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目次
なぜ督促状が来るのか? 課税時点と納税義務の考え方
固定資産税は、その年の1月1日時点の所有者に課税する仕組みで運用されています。例えば、被相続人が年の途中で亡くなり、その後に相続登記をした場合でも1月1日の所有者が被相続人であれば、その年分の固定資産税は相続人が納税義務を引き継ぎ納めることになります。
また、納付書は多くの自治体で春から初夏にかけて届きます。名義変更後に通知が届くため、「名義変更をしたのになぜ督促が来るのか」と混乱が生じがちですが、課税の基準は1月1日時点の所有者であるため、登記の時期とは一致しません。このズレが、督促状が届く大きな理由になります。
登記が済んでいても督促状が届く主なケース
相続登記が完了していても、固定資産税の督促状が届く背景にはいくつかの典型的なパターンがあります。本章では、実務上でよく見られる原因を整理してみましょう。
1. 課税台帳の名義が更新されていない
登記が完了しても、市区町村が管理する固定資産課税台帳の名義がすぐに更新されるわけではありません。登記情報の反映にはタイムラグがあり、相続人が現所有者としての申告や届け出をしていなければ、旧所有者宛てに督促が届くことがあります。
2. 被相続人の未納税が残っている
被相続人の死亡前に支払うべき固定資産税の未納分が残っている場合、その未納分も相続人が引き継ぐことになり、そのまま督促状として届くことがあります。
3. 相続人間で所有者が確定していない
遺産分割が確定していない場合、市区町村は相続人全員を納税義務者とみなし通知を送ることがあります。誰が不動産を取得するか定まらない状態では、督促状が複数の相続人へ届くことも珍しくありません。
4. 登記後でも課税時点が前
相続登記が済んでいても、課税基準日の1月1日に被相続人が所有していた物件については、その年分の固定資産税は相続人が負担します。登記のタイミングとは連動しないため、登記後に督促状が届くことがあります。
相続後のコスト面で注意したいポイント
相続した不動産には固定資産税だけではなく、管理費や修繕費、将来的な維持費といった継続的なコストがかかります。固定資産税は「相続後」ではなく「課税時点」が基準のため未納分を含めて支払う必要があり、相続財産がプラスであっても実際には手元資金が不足することもあります。
また、固定資産税を滞納すると延滞税が発生し、長期化すると差し押さえに発展することもあります。相続した不動産の売却を検討していても、差し押さえがあると売却手続きが大幅に遅れるため、税金の処理は優先度の高い支出として考える必要があります。
トラブルを避けるために確認すべきこと
相続登記だけでは税務の整理は完了していないことを理解し、次の点を確認することが重要です。
まず、市区町村の課税台帳で現所有者が正しく登録されているかを確認します。自治体によって必要書類は異なりますが、「現所有者の申告」などを提出することで、税金の通知が適切な相続人へ届きやすくなります。
また、相続人が複数いる場合には、固定資産税の負担方法や未納分の精算方法を早めに合意しておくことが重要です。立て替え払いをした相続人との間でトラブルになることもあるため、金銭の扱いは明確にしておくべきです。
相続後の固定資産税を正しく理解してトラブルを防ごう
相続登記を済ませても、課税時点や未納分の有無によっては固定資産税の督促状が届くことがあります。
まずは、どの年度分の税金が誰にかかるのかを整理し、課税台帳の名義や送付先が正しく設定されているかを確認しましょう。相続人間で費用負担を明確にし、必要な手続きを早めに行うことで、想定外の支出やトラブルを防ぐことができます。
不動産を相続した際には、固定資産税を含むさまざまなリスクを理解し、適切に管理していきましょう。
出典
東京都主税局 固定資産税・都市計画税(土地・家屋)
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
