親の家を売ったのに固定資産税の請求が届いた。引き渡した後でも課税されるのはなぜ? いつまで支払い義務が残る?

配信日: 2025.11.16
この記事は約 4 分で読めます。
親の家を売ったのに固定資産税の請求が届いた。引き渡した後でも課税されるのはなぜ? いつまで支払い義務が残る?
不動産を手放す際には、売却価格や手続きだけでなく税金の扱いも重要な確認ポイントです。
 
特に固定資産税は、所有権の移転とは別に課税される仕組みがあり、売却後に思わぬ請求が届くケースもあります。こうした状況は、制度上の基準日や契約内容によって負担者が変わることが背景にあり、理解しておかないとトラブルにつながりかねません。
 
そこで本記事では、制度・契約・実務という3つの側面から、売却後も納税通知書が届く理由と支払い義務がいつまで続くのかを解説します。
FINANCIAL FIELD編集部

ファイナンシャルプランナー

FinancialField編集部は、金融、経済に関する記事を、日々の暮らしにどのような影響を与えるかという視点で、お金の知識がない方でも理解できるようわかりやすく発信しています。

編集部のメンバーは、ファイナンシャルプランナーの資格取得者を中心に「お金や暮らし」に関する書籍・雑誌の編集経験者で構成され、企画立案から記事掲載まですべての工程に関わることで、読者目線のコンテンツを追求しています。

FinancialFieldの特徴は、ファイナンシャルプランナー、弁護士、税理士、宅地建物取引士、相続診断士、住宅ローンアドバイザー、DCプランナー、公認会計士、社会保険労務士、行政書士、投資アナリスト、キャリアコンサルタントなど150名以上の有資格者を執筆者・監修者として迎え、むずかしく感じられる年金や税金、相続、保険、ローンなどの話をわかりやすく発信している点です。

このように編集経験豊富なメンバーと金融や経済に精通した執筆者・監修者による執筆体制を築くことで、内容のわかりやすさはもちろんのこと、読み応えのあるコンテンツと確かな情報発信を実現しています。

私たちは、快適でより良い生活のアイデアを提供するお金のコンシェルジュを目指します。

【PR】株式会社アートネイチャー

おすすめポイント

・自毛になじむ自然な仕上がり
・気になる部分だけのピンポイント対応OK
初めてでも安心のカウンセリング体制

なぜ売却後でも固定資産税の納税通知書が届くのか

固定資産税は、毎年1月1日時点で不動産を所有している人に課税される仕組みです。つまり、家を売却した日が何月であっても、1月1日に所有者であれば、その年分の税金は原則として売り主が負担します。
 
そのため、仮に2月や6月に売却しても、その年の納税通知書は売り主に届き、「もう家を手放したのになぜ?」という状況が起こります。とはいえ、実務上は買い主との間で「引き渡し日を境に日割りで買い主が負担する」などの取り決めを行うのが一般的で、契約書に明記しておけばトラブル防止にもつながります。
 
さらに地域によっては、固定資産税の負担を日割り精算する際の基準日が異なる場合もあります。
 
基準日を1月1日とする地域もあれば、4月1日を区切りとする地域も存在するため、契約内容と実務のズレがトラブルの原因になることがあります。
 

支払い義務はいつまで? 売却側と購入側の立場で異なる

売却後の固定資産税は、「いつまで誰が負担するのか」が誤解されやすいポイントです。法律上の納税義務者と、実務上の負担者が異なる場合もあるため、売却側と購入側それぞれの立場を整理しておくことが重要です。本章で、その違いを確認していきましょう。
 

売却者の支払い義務

売却した年の固定資産税は、法律上は1月1日時点で所有していた売り主が納税義務者となります。売却後に納税通知書が売り主へ届くため、「売却したのに納税通知書が来るのはおかしい」という感じることもありますが、これは制度上の正しい対応です。
 
ただし、実質的な負担は売り主と買い主の契約によって調整できます。引き渡し日以降に相当する期間の税金を買い主に負担してもらう「日割り精算」を行うのが一般的で、売り主が一度全額を支払い、後で買い主から買い主負担分を受け取るケースが多くあります。
 
翌年度以降は、1月1日時点で売り主が所有していなければ納税義務は完全に消滅します。所有権移転登記が適切に行われていれば、その後の納税通知書は買い主へ送付されるようになります。
 

購入者の立場

買い主は引き渡しを受けた年でも、自治体から納税通知書が直接届くことは少なく、納税義務は1月1日時点の所有者である売り主にあります。
 
ただし、売買契約で「引き渡し日以降の期間に対応する固定資産税は買い主負担」と合意していれば、買い主は売り主に対してその分の精算金を支払う義務が生じます。
 
契約書には固定資産税の精算方法や起算日、金額の算定基準を明確に記載しておく必要があります。記載が曖昧だと、「どちらがどの程度負担するのか」が不明瞭となり、トラブルに発展する恐れがあります。
 

【PR】株式会社アートネイチャー

おすすめポイント

・自毛になじむ自然な仕上がり
・気になる部分だけのピンポイント対応OK
初めてでも安心のカウンセリング体制

契約時・売却後に確認しておきたい実務上のポイント

固定資産税は制度上の仕組みだけでなく、売買契約や手続きの進め方によって負担のタイミングや金額が変わることがあります。売却後にトラブルを避けるため、次の実務的なポイントを確認しておくことが重要です。
 

1. 固定資産税の精算方法を契約書に明記する

基準日(1月1日または4月1日)、日割りか月割りかの区分、引き渡し日の扱いなど、計算の根拠は必ず書面で明確にしておきましょう。
 

2. 売却者は「納税通知書は必ず自分に届く」と理解する

売却した年は、売り主が納税義務者です。通知書は売り主宛てに届くため、一度は売り主が支払うものと考えておく必要があります。そのうえで、買い主との精算書類を整えておくことが大切です。
 

3. 買い主側は精算の取り決めが明確になっているか確認する

引き渡し後の税負担に不明瞭な点があると、売り主から追加請求を受けるなどトラブルにつながる可能性があります。契約書に、精算金額と計算式が明記されているかを必ず確認しましょう。
 

4. 売却後も納税通知書が届く場合は名義情報の反映状況を確認する

翌年以降も売り主に納税通知書が届く場合、自治体で所有者情報の変更が反映されていない可能性があります。登記内容を確認し、必要に応じて自治体へ問い合わせましょう。
 

トラブルを防ぐために精算ルールを明確にしておこう

売却後に予期せぬ固定資産税の請求に悩まされないためには、制度上の課税ルールを正しく理解し、売買契約で負担範囲を明確にしておくことが欠かせません。特に売却した年は、法律上の納税義務者が1月1日時点の売り主である点を正確に把握することが大切です。
 
固定資産税は売却や相続といった大きなライフイベントの際、資金の流れに影響を与えるため、制度の仕組みを正しく理解し、トラブルを未然に防ぐ準備をしておきましょう。
 

出典

東京都主税局 固定資産税・都市計画税(土地・家屋)
国分寺市 固定資産税 よくある質問 資産を売却したのに、固定資産税の納税通知書が届いたのはなぜですか。
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

  • line
  • hatebu
【PR】 SP_LAND_02
FF_お金にまつわる悩み・疑問