“3500万円の相続”が終わり残された遺品を整理していたところ、“500万円”の「タンス預金」を発見! 黙っていれば税務署にバレないですよね?
しかし、税務署はタンス預金も含めた財産を大まかに把握する術を持っています。タンス預金をきちんと相続財産として申告しなければ、ペナルティがあるかもしれません。本記事では、タンス預金の存在が税務署に知られる理由や、無申告が発覚した際のペナルティなどについて解説します。
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「タンス預金」は相続財産に含まれる
現金を口座へ入れるのではなく、家の中で保管しておくことを「タンス預金」と呼ぶことが多いです。保管場所が家の中のどこであれ、被相続人の財産を相続人が受け取る場合は「相続財産」に該当します。
そして、相続税は死亡した人の財産を「相続や遺贈」によって得た場合に、取得したその財産に対してかかる税金です。つまり、タンス預金には相続税がかかることがあります。
しかし、相続税には基礎控除の制度が設けられており、相続した財産の総額が基礎控除額以下であれば基本的に相続税はかかりません。相続税の基礎控除額は3000万円+(600万円×法定相続人数)で算出することが可能で、例えば相続人が1人で相続財産が3500万円の場合は、基礎控除内であるため相続税はかからない可能性があります。
しかし、ここにタンス預金500万円が相続財産に加算されると相続税がかかる可能性があるため、相続税の「無申告」や「過少申告」などに該当しないよう注意が必要です。
「タンス預金」が税務署にバレる理由
タンス預金は「申告しなければわからない」と思われがちですが、実際には把握される可能性が高いです。理由としては、税務署・国税局が構築しているといわれる「KSK(国税総合管理)システム」の存在が大きいでしょう。
財務省ではこのシステムの概要を公開しており、申告内容や各種情報を一元的に管理することで、税務関連の事務管理を円滑に進める大規模ネットワークシステムです。KSKシステムは税務調査対象者の選定などにも使われているとされています。
ちなみに、税務調査の実施方法は実地調査や電話調査、来所依頼などです。
国税庁の「令和5事務年度における相続税の調査等の状況」によると、実地調査の件数は令和4事務年度が8196件だったのに対し、令和5事務年度では8556件となっており、4.4パーセント増加しています。「調査は来ないだろう」と申請を怠ると、後から指摘を受ける可能性があるため注意が必要です。
「タンス預金」の無申告がバレた場合のペナルティ
後から発見したタンス預金を申告しなかった場合、相続財産の「過少申告」として扱われる可能性があります。ペナルティとしては「過少申告加算税」「延滞税」などの追徴課税があり、悪質と判断された場合は「重加算税」が課される場合もあるので注意しましょう。
また、いわゆる「脱税」と判断されれば刑事罰の可能性もあるため、後から発見されたタンス預金であっても、意図的な相続財産隠しは厳禁です。
まとめ
タンス預金は相続財産であり、タンス預金を含む相続財産の総額が基礎控除額を上回る場合はきちんと申告する必要があります。そして、国民の税務に関わる情報はKSKシステムで管理されているので、タンス預金の存在を隠すのは難しいです。無申告が判明するとペナルティが課されるかもしれないため、タンス預金も含めた財産の総額を申告しましょう。
出典
国税庁 No.4105 相続税がかかる財産
財務省 親が亡くなりました。遺産を相続する場合にどのような税金がかかるのですか?
財務省 国税総合管理(KSK)システムの概要
国税庁 令和5事務年度における相続税の調査等の状況
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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