父が残した「賃貸物件」、“1億円以上”するそうだけど「兄弟間で遺産分割」するにはどうすればいいの? 「不動産の相続」は難しすぎます…!
ファイナンシャルプランナー
FinancialField編集部は、金融、経済に関する記事を、日々の暮らしにどのような影響を与えるかという視点で、お金の知識がない方でも理解できるようわかりやすく発信しています。
編集部のメンバーは、ファイナンシャルプランナーの資格取得者を中心に「お金や暮らし」に関する書籍・雑誌の編集経験者で構成され、企画立案から記事掲載まですべての工程に関わることで、読者目線のコンテンツを追求しています。
FinancialFieldの特徴は、ファイナンシャルプランナー、弁護士、税理士、宅地建物取引士、相続診断士、住宅ローンアドバイザー、DCプランナー、公認会計士、社会保険労務士、行政書士、投資アナリスト、キャリアコンサルタントなど150名以上の有資格者を執筆者・監修者として迎え、むずかしく感じられる年金や税金、相続、保険、ローンなどの話をわかりやすく発信している点です。
このように編集経験豊富なメンバーと金融や経済に精通した執筆者・監修者による執筆体制を築くことで、内容のわかりやすさはもちろんのこと、読み応えのあるコンテンツと確かな情報発信を実現しています。
私たちは、快適でより良い生活のアイデアを提供するお金のコンシェルジュを目指します。
相続人が複数いる場合は「遺産分割協議」を実施する
亡くなった被相続人が遺言書を残していない場合、相続人全員で遺産分割協議を行います。遺産分割協議は、相続人全員の参加と合意が必要です。
一人でも参加しない場合、協議は無効となります。協議で合意が成立した場合はその内容に従い、合意が得られない場合は家庭裁判所の調停や審判に移行します。審判の判断基準は、法定相続分です。
国税庁によると、相続人別の法定相続分は表1の通りです。子ども・直系尊属・兄弟姉妹が複数人いる場合、それぞれ均等に分けられます。
表1
| 相続人 | 相続の割合 |
|---|---|
| 配偶者のみ | 配偶者:全て |
| 配偶者と子ども | 配偶者:2分の1 子ども:2分の1 |
| 配偶者と直系尊属 | 配偶者:3分の2 直系尊属:3分の1 |
| 配偶者と兄弟姉妹 | 配偶者:4分の3 兄弟姉妹:4分の1 |
※国税庁「No.4132 相続人の範囲と法定相続分」を基に筆者作成
不動産の「遺産分割」の4つの方法
相続財産に不動産が含まれている場合、遺産分割の方法として、以下の4つが挙げられます。
1.現物分割
形を変えず、そのまま各相続人に分配する方法です。土地の場合は一定の割合に応じ、分筆して各相続人が土地を取得します。分筆とは、登記簿上の一つの土地を複数の土地に分割し、新しい地番をつけて登記することです。
物理的な原因で均等に分けられない場合や、分けた後の形状や道路の接し方などにより資産価値に差が出る場合、金銭で埋め合わせることがあります。
なお、掲題の賃貸物件のように土地に建物がまたがっていても分筆は可能ですが、建物自体の分筆は不可能です。また、自治体によっては分筆後の敷地面積の最低限度が設けられている場合があります。
2.代償分割
一人の相続人が不動産を取得し、他の相続人にその対価としてお金を支払う方法です。分筆できない土地でも公平に分割できますが、対価の計算のため不動産の評価が必要になります。また、土地を取得する相続人に支払い能力がない場合、代償分割はできません。
3.換価分割
不動産を売却し、売却金を相続人で分け合う方法です。いったん現金化するため、支払い能力がない場合でも公平に分割できます。しかし、売却の際は譲渡所得税や仲介手数料が発生するため、想定していたより手元に残る金額が少なくなってしまうかもしれません。
4.共有分割(共有持分)
分筆しないまま、複数の相続人が所有する方法です。法定相続割合に応じ、法定相続人が共有持分を取得します。ただし、共有状態にある不動産は他の共有持分権者の同意が得られないと管理や処分ができません。
令和6年4月1日から相続登記の申請が義務に
法務省によると令和6年4月1日から、以前は任意であった相続登記の申請が義務化されました。相続人は、不動産を相続で取得したことを知った時点から3年以内に相続登記を行う必要があります。
もし正当な理由がないのにもかかわらず相続登記を行わなかった場合、10万円以下の過料が科される恐れがあります。なお、司法書士に相続登記を依頼する場合、5万~15万円程度の費用がかかるようです。
まとめ
不動産の場合、遺産分割の方法は現物分割・代償分割・換価分割・共有分割の4つです。また、令和6年4月1日からは不動産を相続で取得した場合は相続登記する必要があります。遺産分割の方法で迷っている場合は、弁護士や司法書士などの専門家に相談しましょう。
出典
国税庁 No.4132 相続人の範囲と法定相続分
法務省【法務省/相続登記の義務化】不動産を相続したらかならず相続登記!
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
