空き家にしたままにしていたら税金が上がった! 固定資産税が6倍になる「特定空き家」とは?
その中でも特に注意したいのが「特定空き家」です。放置したままの空き家が「特定空き家」に認定されると、固定資産税が最大6倍に跳ね上がる可能性があることをご存じでしょうか。本記事では、その仕組みや認定の基準、そして所有者が取るべき対策についてわかりやすく解説します。
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「特定空き家」とは何か?
「特定空き家」とは、2015年に施行された「空家等対策の推進に関する特別措置法」(以下、「空家等対策特別措置法」)に基づき、市町村が危険・衛生・景観などの観点から問題があると判断した空き家のことを指します。
単なる空き家ではなく、周囲に悪影響を及ぼしている空き家が対象です。具体的には、次のような状態が想定されています。
・建物の老朽化が進み、倒壊の危険がある
・屋根や外壁が剥がれ落ちている、または落下の可能性が高い
・ゴミや雑草が放置され、衛生環境が悪化している
・周囲の景観を損ね、公衆衛生上問題がある
・立ち入り禁止措置が必要なほど危険な状態、など
これらに該当すると、市町村から助言・指導が入り、改善されない場合には「特定空き家」に指定されます。
なぜ固定資産税が6倍に増えるのか?
通常、住宅が建っている土地は「住宅用地の特例」により、固定資産税が大幅に軽減されています。具体的には、住宅用地であれば固定資産税は最大で 6分の1 に軽減されています。
ところが、「特定空き家」に認定されると、この住宅用地の特例が適用されず、事実上税額が最大で6倍に跳ね上がるのです。つまり、空き家を放置する → 特定空き家に認定される → 固定資産税が大幅に増える、という仕組みになっているのです。
「特定空き家」に認定されるまでの流れ
1. 近隣住民の通報や自治体の調査
問題のある空き家を発見すると、自治体が調査を開始します。
2. 所有者への通知・助言
改善の指導や助言が文書で行われます。
3. 勧告
所有者が指導に従わない場合、「特定空き家」として勧告されます。この時点で土地の固定資産税の特例が外れます。
4. 命令→行政代執行
さらに改善されなければ、強制的に解体され、費用は所有者負担となります。
所有者が取るべき対策
空き家を持っている場合は、まず以下の点を押さえておきましょう。
1. 定期的な管理を行う
雑草やゴミの処分、簡単な修繕を行うだけで、特定空き家の認定を防ぐ効果があります。
2. 早めに活用方法を検討する
・賃貸にする
・売却する
・空き家バンクに登録する
・リフォームして自分で使う
3. 自治体の補助制度を活用
多くの自治体では、空き家の解体やリフォームに補助金を出しているケースがあります。。費用が心配な場合は、まず自治体窓口に相談し、条件が合えば申請してみましょう。
空き家を放置すると“高い代償”を払うことになる
「誰も住んでいないから、そのままでいい」と空き家を放置すると、固定資産税の増額・行政からの勧告・場合によっては強制解体されるなどのリスクが生じます。特に固定資産税の6倍増は、家計に大きな負担を与えるため、早めの対策が重要です。
空き家は「持っているだけ」で価値が下がり、近隣住人とのトラブルの原因などにもなりかねません。現在空き家を所有している方は、今できる管理や活用方法を検討し、将来のリスクを避けていきましょう。
出典
総務省 令和5年住宅・土地統計調査 住宅数概数集計(速報集計)結果(令和6年4月30日)
国土交通省 固定資産税等の住宅用地特例に係る空き家対策上の措置
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
