父の遺産8000万円を母が全額相続。一人っ子の私が、二次相続する場合「どれくらいの相続税」を覚悟すべきでしょうか?

配信日: 2025.11.30
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父の遺産8000万円を母が全額相続。一人っ子の私が、二次相続する場合「どれくらいの相続税」を覚悟すべきでしょうか?
父の遺産として8000万円を母がすべて相続した場合、一次相続では配偶者控除の影響で税負担がほとんど生じないケースが一般的です。
 
しかし、その後に子どもが受け取る「二次相続」では事情が大きく変わります。配偶者控除がなくなり、基礎控除額も小さくなるため、同じ遺産額であっても課税対象が増え、税額が跳ね上がりやすくなるのです。
 
本記事では、母が8000万円を相続したケースを例に、二次相続でどれほどの相続税を想定すべきかを解説します。
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二次相続で税負担が増える仕組み

相続税は遺産総額から基礎控除を差し引いた部分が課税対象となり、税率は財産規模に応じて段階的に上がる仕組みです。基礎控除は、「3000万円+600万円×法定相続人」で計算されます。
 
一次相続(父から母と子)では法定相続人が2人のため、基礎控除は4200万円となります。さらに、母には配偶者の税額軽減が適用されるため、多くの場合で税負担が軽減されます。
 
ところが二次相続(母から子)になると、相続人が子ども一人だけになるため基礎控除は3600万円に減ります。この時点で控除枠が600万円少なくなり、課税対象が増加します。
 
また、配偶者控除も使えないため課税対象が増え、税負担が一気に大きくなる構造が生まれます。こうした相続税負担の増加を踏まえ、早めの相続対策が重要です。
 

8000万円を一人で相続した場合の概算税額

仮に母が受け継いだ8000万円を、そのまま子ども一人が相続したと仮定します。ほかに大きな負債がなく特例も利用しない場合、基礎控除(約3600万円)を差し引いた課税対象額は約4400万円となり、適用される税率から算出すると、相続税は680万円程度が目安になります。
 
もちろん実際には、資産の内訳によって金額は前後します。不動産が多いと評価額が高くなりやすい一方、生命保険金の非課税枠や葬儀費用、債務控除などで税負担は軽減されることもあります。
 
相続税は「財産の種類」「評価方法」「控除の可否」で大きく変動するため、8000万円の相続で一律680万円の税がかかるわけではなく、一般的には数百万円規模の税負担が想定されことを理解しておく必要があります。
 

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二次相続で使える控除と活用の限界

二次相続でも条件を満たせば、税負担を軽減できる制度があります。代表的なものが「相次相続控除」で、父の相続から10年以内に母の相続が発生し、一次相続で相続税を納めていれば、その税額の一部を二次相続の相続税から控除できる仕組みです。
 
ただし、一次相続で配偶者控除を利用して税金がほぼゼロだった場合は、この控除の適用は受けられません。
 
また、母が住んでいた自宅を相続する場合は、「小規模宅地等の特例」により土地の評価額を減額できる可能性がありますが、同居や居住実態など厳しい要件があります。二次相続では適用できないケースも多いため、確実な節税策としては過度に期待しないほうがよいでしょう。
 

二次相続まで考えた資産対策

二次相続の税負担は、一次相続の時点で大きく軽減することができます。例えば、生前贈与を活用して資産を分散しておけば、母の相続時に財産総額を抑えやすくなり、二次相続税を低減できます。
 
資産の構成も重要で、不動産比率が高いと評価額が増大し、納税時の売却負担も発生しやすいため、現金比率を一定程度確保することで、納税資金の準備もしやすくなります。
 
また、一次相続の遺産分割では、すべて母が相続する以外の選択肢も検討できます。子どもが一部を相続しておけば、母の相続時に課税対象となる財産が減るため、二次相続の税負担を抑える効果が期待されます。
 

将来の二次相続に備えて、今から準備しよう

父の遺産8000万円を母が全額相続し、子ども一人で二次相続する場合、相続税は数百万円規模になる可能性が高くなります。一次相続の優遇措置とは対照的に、二次相続では基礎控除が少なくなり、課税対象が増えるためです。
 
ただし、財産の構成や控除の適用状況によって税額は大きく変動するため、正確な金額は個別状況によって左右されます。だからこそ、一次相続の時点から二次相続まで見据えた準備が重要です。生前贈与や遺産分割の工夫、資産構成の見直しなど、有効な対策はいくつもあります。
 
将来的な税負担に備えるためにも早めに家族と話し合い、必要に応じて税理士などの専門家に相談しながら、最適な選択肢を検討しておくことをおすすめします。
 

出典

国税庁 No.4152 相続税の計算
国税庁 No.4155 相続税の税率
国税庁 No.4168 相次相続控除
国税庁 No.4124 相続した事業の用や居住の用の宅地等の価額の特例(小規模宅地等の特例)
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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