長年「音信不通」の弟。いまだに連絡がつかないのですが、父が残した“4000万円の相続手続き”は兄の私が進めてしまって問題ないですよね?

配信日: 2025.11.30
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長年「音信不通」の弟。いまだに連絡がつかないのですが、父が残した“4000万円の相続手続き”は兄の私が進めてしまって問題ないですよね?
父親の相続手続きの際、音信不通の兄弟がいる場合、「連絡が取れないから、自分たちだけで独断で遺産を分けてもいいのだろうか」と悩む方もいるかもしれません。しかし、法律上その兄弟も立派な相続人です。勝手に相続を進めると手続きが無効になることや、後からトラブルになる可能性があります。
 
本記事では、音信不通の兄弟がいる場合の相続手続きの進め方や、具体的な対処法を解説します。
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「音信不通」の弟も法定相続人に含まれる

民法では、遺産を受け取れる人の範囲を「法定相続人」と定めています。被相続人の配偶者は常に相続人となり、配偶者以外の法定相続人は以下の順位で相続できる権利が発生します。
 

・<第1順位>死亡した人の子ども(代襲相続人を含む)
・<第2順位>死亡した人の直系尊属(父母や祖父母など)
・<第3順位>死亡した人の兄弟姉妹

 
音信不通だとしても弟は<第1順位>に該当するため、当然ながら相続人に含まれます。同じ順位で複数人がいる場合は、原則として均等に分ける決まりです。相続放棄をしていない限り、たとえ連絡が取れない弟であっても権利を失っているわけではありません。被相続人の法律上の子であれば、法定相続分を主張できる立場にあります。
 
例えば、もし配偶者が亡くなっていて兄弟2人だけの場合、遺産4000万円を均等割りにした分を弟も相続できる権利があるわけです。
 

遺言書がない場合は相続人全員で「遺産分割協議」が必要

遺言書がない状態で相続人が複数いると、遺産は相続人全員の遺産共有状態となります。この共有状態を分割するには、被相続人が遺言で遺産分割を禁じている場合を除き、全員で話し合い合意する「遺産分割協議」が必要です。
 
ただし、遺産分割協議は相続人全員の合意が成立して初めて有効になります。そのため、行方不明の相続人や認知症で意思表示ができない相続人を除外して行った協議は無効となります。したがって掲題のケースでは、「音信不通」の弟を除外して遺産分割協議を進めると、その協議は無効になる可能性が高いでしょう。
 

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相続人が「音信不通」で連絡が取れないときの3つの対処法

相続人と連絡が取れない場合、以下のような対処法があります。
 
1. 相続人の現住所を確認する
行方不明の相続人を探すには、まず戸籍の附票を取得して最新の住所を特定します。住所が分かれば、簡易書留や内容証明郵便などで手紙を送り、連絡を試みます。住所が分かっても返信がない場合は、弁護士に依頼して交渉したり、家庭裁判所で遺産分割調停を申し立てたりすることも可能です。
 
2. 不在者財産管理人を選任する
行方不明の相続人がいる場合、家庭裁判所に不在者財産管理人を選任してもらい、遺産分割協議に代理参加してもらえます。選任には申立書や戸籍などの資料が必要で、裁判所の許可が下りれば、財産の管理や分割手続きも進められます。不在者財産管理人は利害関係のない親族や、弁護士や司法書士が選ばれることもあるようです。
 
3. 失踪宣告を申し立てる
行方不明者が7年以上生死不明の場合、家庭裁判所に失踪宣告を申し立てると、法律上死亡とみなされます。宣告が確定すれば、通常の相続手続きが可能になります。特別失踪の場合は災害や事故などの危難後1年の経過で申請することが可能です。しかし、失踪宣告の確定までには少なくとも数ヶ月はかかるようです。
 

まとめ

たとえ音信不通の兄弟でも相続人の扱いになるため、勝手に相続手続きを進めてはいけません。音信不通の相続人がいる場合は、まず戸籍の附票を取得して住所を確認し、簡易書留や内容証明郵便などで手紙を送り、連絡を取りましょう。
 
それでも連絡がつかない場合は、不在者財産管理人の選任や申し立てる方法があります。家族の事情やこれまでの関わり方によって、手続きが思うように進まないケースも少なくないようです。とはいえ、弟も法律上の相続人であるという前提だけは押さえておきたいところです。
 

出典

国税庁 タックスアンサー(よくある税の質問) No.4132 相続人の範囲と法定相続分
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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