資産価値の低い「実家の裏山」を「ソーラーパネルでも建てればいい」と手放さない80代父。本人は“預貯金ほぼゼロ”で家族は私一人きり…。いざとなったら「相続放棄」すべき?

配信日: 2025.12.01
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資産価値の低い「実家の裏山」を「ソーラーパネルでも建てればいい」と手放さない80代父。本人は“預貯金ほぼゼロ”で家族は私一人きり…。いざとなったら「相続放棄」すべき?
相続はさまざまな要素が絡むため、あらかじめ対策をしておくことが大切でしょう。掲題のケースでは、相続対象である資産価値の低い「山林」の扱いについて悩んでいるようです。一つの解決策として、太陽光発電事業に利用するという方法が挙げられます。本記事では、「山林」を太陽光発電事業に利用する際の注意点や、相続放棄について解説します。
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地目「山林」の土地は「太陽光発電事業」に利用可能

「太陽光発電事業」は資格も不要で、太陽光発電事業者へ相談するなどして個人で始めることもできます。また、山林の場合は農地とは異なり、「農地転用許可申請」なども不要です。つまり、山林を遊休地として所有している場合は、太陽光発電事業に利用できる可能性があります。
 
太陽光発電事業には、本来収益を得にくい山林から売電収入を得られる、地価の安い山林は宅地よりコストパフォーマンスも高いなどのメリットがあるようです。一方、投資した費用を回収するには一定の期間がかかる点、場合によっては煩雑な手続きが必要になる点には注意しましょう。
 
ただし、日照条件や傾斜、電力会社の系統接続状況によっては、事業化自体が難しいケースもあります。
 

「山林での太陽光発電」の3つの注意点

こうした点を踏まえ、「山林での太陽光発電」には3つの注意点があります。
 

・注意点1:地域森林計画の対象地では許可が必要

令和4年9月22日の森林法施行令の改正より「地域森林計画の対象民有林において太陽光発電設備の設置を目的として開発行為を行う場合、0.5ヘクタールを超えるものについて都道府県知事の許可が必要」になりました。そのため、開発予定の山林が地域森林計画の対象となっているのか、設備の規模が基準内かどうかの確認が必要です。
 

・注意点2:伐採・造成工事が必要な場合がある

たとえば、樹木が存在すると用地を確保できないほか、周囲の枝葉で発電量を確保できないケースもあるようです。また、樹木を根こそぎ伐採する場合、周辺の地盤が弱くなる恐れもあります。
 
ソーラーパネル設置の基礎確保や、土砂崩れ防止のための造成工事費用が嵩む可能性もあるでしょう。一般に造成費用は1平方メートル当たり2万円~3万円程度と言われています。
 

・注意点3:電柱を新規に設置する必要があるケースもある

近くに電柱がまったく存在しない場合、新規に工事する必要があります。もし存在する場合でも、高圧線への変換工事・引き込み工事などが必要となるケースもあるようです。このような場合、造成に加えて一定のコストがかかると考えられます。
 

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相続財産の内容次第で「相続放棄」するのも1つの方法

2012年施行のFIT(固定価格買取制度)が順次満了となる「卒FIT」を迎えている現状では、太陽光発電事業の収支を安定して予測するのは難しくなってきているといえます。もし、初期投資を回収できなそうな場合には、相続放棄するのも1つの方法かもしれません。
 
ただし、相続放棄では「プラスの財産」や「マイナスの財産(負債)」を含めたすべての権利を手放すことになるため、実際の資産状況がどうなっているか、ご家族とよく話しあってから決めた方が良いでしょう。
 
なお、相続放棄は「相続開始を知った日から3か月以内」に家庭裁判所へ申述する必要があり、期限を過ぎると原則として放棄できなくなります。
 

まとめ

資産価値の低い「山林」の処分は、悩みの種かもしれません。掲題のケースでも、相続が発生した際にさまざまな問題が生じる可能性もあります。太陽光発電事業を始めるのも1つの選択ですが、当然メリットだけでなくデメリットもあります。
 
また、FIT(固定価格買取制度)が満了になってきている現状では、安定した収入になるかわかりません。一つの解決策として相続放棄もありますが、すべての権利を手放すことになるため、熟考する必要があります。いざ、相続が発生したときに困らないよう、日頃から家族と話し合っておくことが大切でしょう。
 

出典

林野庁 林地開発許可制度の見直しについて(令和4年度)
最高裁判所 相続の放棄の申述
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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