「生活費なら税金はかからない」と言って、祖父が毎月10万円送金してくれます。使い切れずほとんど貯金したままになっているんですが、問題ないでしょうか?

配信日: 2025.12.09
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「生活費なら税金はかからない」と言って、祖父が毎月10万円送金してくれます。使い切れずほとんど貯金したままになっているんですが、問題ないでしょうか?
祖父母から生活費として金銭の援助を受けるケースは珍しくなく、とくに進学や就職直後など、家計が不安定な時期には家族からの支援が行われることもあります。こうした援助について、「生活費としてもらう分には贈与税はかからない」という話を聞くことがありますが、実際には税務上の扱いに細かな条件があります。
 
本記事では、生活費の援助が非課税とされる条件や、貯金した場合のリスクについて、制度に基づき整理します。
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生活費の援助は非課税になる?

国税庁によれば、贈与税の非課税となる財産のひとつとして、「扶養義務者から生活費や教育費に充てるために取得した財産で、通常必要と認められるもの」を挙げています。
 
扶養義務者とは、配偶者や、直系血族など民法上扶養の義務を負う立場にある者をいいます。今回のケースにおける祖父と孫の関係についても、扶養義務者からの贈与に該当し、生活費としての援助が非課税となる余地があります。
 
しかし、この非課税扱いは「生活費として必要な都度直接充てるためのもの」であることが条件とされています。つまり、実際に生活費として使われることを前提に非課税が認められているのであり、「生活費の名目で受け取った」だけでは自動的に非課税になるわけではありません。
 

貯金すると課税対象になる可能性――生活費としての実態が重要

国税庁は、生活費や教育費として贈与を受けても、それを預金したり、株式や不動産などの購入資金に充てていたりする場合には贈与税の課税対象になると明確に示しています。生活費として渡されたはずのお金が、実際には生活費に使われず「財産の蓄積」に回っているとみなされるためです。
 
今回のように、祖父から毎月10万円の送金を受けているものの、ほとんど使わず貯金している場合、その貯金分は生活費として必要な支出に充てられなかったと判断される可能性があります。
 
とくに金額が大きく、毎月一定額が継続して貯蓄に回っているようであれば、「生活費の援助」ではなく「金銭の贈与」であったと評価され、年間110万円の基礎控除を超えた部分について贈与税の課税対象になり得ます。
 
非課税の趣旨は、生活の維持に必要な支出を援助するもので、受け取った側の資産形成を目的とするものではありません。このため、生活費として受け取っているにもかかわらず、実態として生活費に使っていない場合には課税のリスクが生じます。
 

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生活費としての扱いを維持するには――使い道の記録や金額の見直しも有効

生活費の援助を非課税として扱うためには、「生活費として適切に使用していること」が重要となります。支給された月ごとに家計の支出を把握し、生活費に充てたことが説明できるようにしておくと安心です。
 
また、生活費として必要な金額を大きく超える援助が続く場合には、その金額を見直すことも検討すべきです。
 
実際に生活費として使う金額を超えて援助を受けても、その分が貯蓄に回りやすく、結果として贈与税の課税対象となるおそれがあります。生活費として必要な範囲に収まるよう送金額を調整することで、課税リスクを下げることができるでしょう。
 
もし将来の教育費や結婚資金などの目的で祖父が援助したいと考えている場合には、年間110万円の基礎控除を活用した贈与や、教育資金・結婚資金の一括贈与を受けた場合の非課税制度など、目的に応じた別の贈与方法を検討することも可能です。
 

まとめ

祖父からの生活費の援助は、扶養義務者からの生活費として非課税となる場合がありますが、非課税と認められるのはあくまで「生活費として必要な都度直接使われること」が前提です。今回のように、受け取った10万円をほとんど使わずに貯金している場合、その部分は生活費として認められず「贈与」とみなされる可能性があります。
 
不安がある場合には、援助額を生活費に見合う範囲に調整する、使い道を明確にしておく、場合によっては贈与として計画的に受け取るなど、適切な対応を検討することが大切です。贈与税は制度の理解が重要な分野であるため、状況に応じて税理士など専門家に相談し、リスクを避ける形を探ることをおすすめします。
 

出典

国税庁 タックスアンサー(よくある税の質問) No.4405 贈与税がかからない場合
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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