年末年始は帰ってこれないというので、私と妻で「100万円ずつ」孫にお金を送金しました。110万円以下なので、特に問題はないですよね?

配信日: 2025.12.09
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年末年始は帰ってこれないというので、私と妻で「100万円ずつ」孫にお金を送金しました。110万円以下なので、特に問題はないですよね?
年末年始に帰省できない孫のために、祖父母がそれぞれ「100万円ずつ送金した」というケースは、家族間の贈与としては珍しいことではないかもしれません。
 
贈与税には年間110万円の基礎控除があるため、「110万円以下であれば問題ない」という認識が浸透していますが、実際には基礎控除の考え方には誤解されやすい点があります。
 
本記事では、贈与税の仕組みや非課税で贈与する方法を踏まえ、今回のようなケースがどのように取り扱われるのかを整理します。
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贈与税の基礎控除とは――「受け取る人ごと」で考えるルール

贈与税は、個人から財産をもらったときにかかる税金です。「暦年課税」においては、毎年1月1日から12月31日までに受け取った贈与額の合計から、基礎控除110万円を差し引いた金額が課税対象となります。
 
つまり、贈与税の非課税枠である110万円は「贈与を受けた人ごと」に設定されており、たとえ贈与する側が複数人であっても、受け取る側(今回のケースでは孫)がその年にもらった合計額が110万円以内であれば、贈与税は発生しません。
 
今回のように、祖父母がそれぞれ100万円ずつ送金した場合、孫の手元には合計200万円が贈与された形になります。110万円の非課税枠を超えているため、贈与税の課税対象となる可能性があります。
 

非課税で贈与するにはどうすればいい?

贈与税が課されるかどうかは、金額だけでなく「何に使われるか」によっても判断が分かれます。
 
国税庁は、扶養義務者(両親や祖父母など)から生活費や教育費として必要な都度直接それに充てるために取得されるものについては、贈与税の非課税扱いとしています。学費や日常生活費に直接充てる贈与であれば、贈与税は課税されない場合があるのです。
 
ただし、生活費や教育費として受け取った資金をそのまま貯金したり、投資や資産購入に回したりする場合には注意が必要です。実際に生活費や教育費として使用されたことが確認できない場合、非課税として認められず、贈与税の課税対象になるリスクがあります。用途と金額の妥当性が重要なポイントとなります。
 
また国税庁によれば、「個人から受ける香典、花輪代、年末年始の贈答、祝物・見舞い金など社会通念上相当と認められる範囲の金品」についても贈与税は非課税とされています。
 
例えば、年末年始の贈答として、お年玉は非課税の範囲と考えられますが、社会通念を超える高額な贈与であれば、財産の移転とみなされ課税対象となる可能性があります。
 

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まとまった金額を贈与したい場合に使える「一括贈与の非課税制度」もある

将来の教育資金や結婚資金など、まとまった額の支援を考えている場合には、贈与税の特例制度を利用する方法もあります。
 
教育資金の一括贈与や結婚・子育て資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税制度では、一定の要件を満たすことで、定められた上限額までの金額を非課税で贈与できる仕組みが整備されています。これらは、祖父母が孫の将来に備えて大きな資金を移転したいときに有効な制度といえます。
 
もっとも、これらの制度は用途が厳格に定められ、教育費や結婚費用といった限定された支出にのみ利用できます。また、金融機関で専用口座を開設し、決められた期限までに領収書等の書類を提出するなどの手続きを伴うため、制度の趣旨と自身の目的が合致しているかを検討することが欠かせません。
 

まとめ

贈与税の基礎控除は贈与する側ではなく、受け取る側の年間合計額に対して適用されます。そのため、今回のように祖父母がそれぞれ100万円を贈った場合、孫が受け取った200万円全体で判断され、暦年課税のもとでは基礎控除を超えた部分が贈与税の課税対象となる可能性があります。
 
非課税の取り扱いとなるのは、生活費や教育費として実際に支出される金銭や、年末年始の贈答など社会通念上相当と認められる範囲の金品などに限られます。まとまった額の贈与を検討する場合には、教育資金の一括贈与における非課税制度などを利用する選択肢もあります。
 
贈与税は「どう渡すか」「どう使われるか」で扱いが大きく変わるため、不安がある場合は税理士など専門家に相談し、適切な方法を検討することが安心につながります。
 

出典

国税庁 タックスアンサー(よくある税の質問)No.4405 贈与税がかからない場合
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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