父の遺産は、今も兄が住む3000万円相当の“実家”のみ。私は現金で分けたいので「売却してほしい」けど、兄は「住み続けたい」の一点張り。この場合、どうやって公平に遺産を分配するの?
特に、家を売って現金で分けることを希望している相続人と、売らずに住み続けることを希望している相続人に分かれてしまうとトラブルに発展しかねないため、慎重に分割方法を検討する必要があります。
本記事では、相続した不動産の分割方法をご紹介するとともに、相続人間で意見が合わないときの対処法や、不動産を相続する場合の注意点についても解説します。
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相続した不動産の分割方法
不動産の分割方法には「代償分割」「換価分割」「現物分割」の3種類があります。それぞれの特徴は以下の通りです。
・代償分割:特定の相続人が不動産をそのまま相続する代わりに、ほかの相続人に代償金を支払う分割方法
・換価分割:不動産を売却して得た利益を相続人同士で分割する方法
・現物分割:土地を分けてそれぞれが所有するなど、不動産をそのままの形で引き継ぐ方法
今回は「売却して現金で分けたい」という相続人と「そのまま住み続けたい」という相続人がいるため「代償分割」を選択するとよいでしょう。
お兄さんが不動産の所有権を得てそのまま住み続ける代わりに、ほかの相続人が法定相続分の現金を受け取る方法です。相続人が子ども2人のみであれば法定相続分は財産の2分の1になるため、遺産が3000万円相当の家の場合、受け取れる財産は一人あたり1500万円程度になると考えられます。
現物分割を選択する方法もありますが、土地を分けた後の境界線上に建物がある場合は取り壊さなければならないなど、問題が出てくる可能性もあるでしょう。
相続人間で意見が合わない場合の対処法
代償分割を選択すれば各相続人の希望通りにはなるかもしれませんが、不動産の相続人がほかの相続人に代償金を支払うことが難しい場合も考えられます。また、不動産の価額をどのようにして決めるかで揉めるかもしれません。
そのような問題により自分たちで話し合っても解決できない場合は、遺産分割調停を申し立てることを検討しましょう。遺産分割調停は、法定相続割合に応じて相続人に公平になるよう、裁判所で話し合いが進められます。
調停で合意に至らない場合は審判となり、家庭裁判所が分割方法を決定します。
不動産を相続する場合の注意点
不動産を相続することになった場合に知っておくべき注意点の1つとして、相続登記の申請が義務化されたことが挙げられます。
その背景には、所有者不明の土地が全国で増加していることがあります。環境悪化や公共工事の阻害などが社会問題となったことにより、令和6年4月1日より、不動産を相続したことを知った日から3年以内に相続登記をすることが義務づけられました。
あわせて、令和6年4月1日より前に相続した不動産についても、相続登記が済んでいないものは義務化の対象となっています。正当な理由なく申請しなかった場合は、10万円以下の過料の対象となるため、不動産を相続した場合は、早めに相続登記の申請をしましょう。
「代償分割」などの方法で不動産を公平に分割できる可能性がある
不動産を相続した場合の分割方法には「代償分割」「換価分割」「現物分割」などがあります。代償分割は、特定の相続人が不動産を取得しその代わりに代償金をほかの相続人に支払う方法のため、今回のケースに適している可能性が高いです。
代償分割が難しく、話し合いがまとまらないときは、遺産分割調停や審判にかけることも検討するとよいでしょう。また、不動産を相続した場合は相続登記の申請が義務づけられているため、早めに手続きすることが大切です。
出典
東京都法務局 相続登記が義務化されました(令和6年4月1日制度開始)~なくそう 所有者不明土地!~相続登記の義務化のポスター
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
