親のアパートを相続して売却した場合、手元にどれくらいお金が残るのか知りたいです。税金や手続き費用を差し引くと、かなり減るのでしょうか?

配信日: 2025.12.12
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親のアパートを相続して売却した場合、手元にどれくらいお金が残るのか知りたいです。税金や手続き費用を差し引くと、かなり減るのでしょうか?
親からアパートを相続したあと、「売却したらどのくらい手元に残るのか」と気になる方は多いでしょう。
 
実際には、売却代金すべてがそのまま手元に残るなるわけではありません。なぜなら仲介手数料や登記費用といった手続きコストに加え、譲渡所得税などの税金も発生するからです。
 
本記事では、相続したアパートを売却する際に必要な費用や税金、そして最終的に残る金額の目安を売却の流れに沿って解説します。
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売却までの流れとお金の動き

相続したアパートを売却するには、いくつかの段階を踏む必要があります。
 
まず、相続人同士で遺産分割を行い、所有権を相続人名義に変更する「相続登記」を行います。なお、相続登記は2024年4月から義務化されており、相続を知った日から3年以内に申請しなければなりません。
 
その後、不動産会社に査定を依頼して売却価格を決め、買い主との売買契約を結びます。最終的に売却代金が支払われ、物件の引き渡しが完了して、初めてお金が手元に入ります。
 
この間、相続登記の費用や不動産会社への仲介手数料、契約書に貼る印紙税、売却時にかかる譲渡所得税など、さまざまな支出が発生します。したがって、「売れた金額=受け取る金額」ではなく、これらの必要経費を差し引いて初めて手取り額が確定します。
 

売却にかかる主な費用と税金

まず大きい費用の一つは、不動産会社に支払う仲介手数料です。法律では上限が定められており、例えば売却価格が1000万円の場合は「売却価格×3%+6万円+消費税」の計算により39万6000円になります。
 
さらに、相続登記を司法書士に依頼すると数万~数十万円程度の報酬がかかり、売買契約書に貼る印紙税や登記の登録免許税も数千~数万円程度発生します。
 
売却益が出た場合は、「譲渡所得税」と「住民税」が課税されます。相続により取得した不動産は被相続人の取得日から所有期間を引き継ぎ、所有期間5年超の長期保有の場合は税率が約20%、5年以下の短期譲渡の場合は約39%と大きく異なります。
 
ただし、相続したアパートを2027年12月31日までに売却し、以下の条件に当てはまる場合は3000万円の特別控除が適用されます。


・1981年5月31日以前に建てられたこと
・区分所有権登記がなされていないこと
・相続の開始直前において被相続人以外に居住していなかったこと

また、相続税がかかる場合には、相続発生から10ヶ月以内に納税する必要があります。相続税を売却代金でまかなう予定がある場合は、売却のタイミングにも十分注意する必要があります。
 

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どれくらい手元に残る? シミュレーションで考える

例えば、相続したアパートを1000万円で売却し、取得費や登記・修繕費などの諸経費が200万円、仲介手数料を含む譲渡費用が30万円とすると譲渡所得金額は770万円です。
 
長期譲渡の税率約20%を適用すると、約154万円の税金が発生します。印紙税や登記費用なども加えると、最終的な手取りはおおよそ600万円台前半となるイメージです。したがって、1000万円で売却しても諸費用や税金を控除すると手元に残るのは6割程度になることも珍しくありません。
 
なお、過去にかかったリフォーム費や購入時の諸経費は取得費に含まれます。これらを証明する領収書などの資料が残っていれば譲渡取得税の負担を軽減できるため、できるだけ正確に確認・保管しておくことが大切です。
 

手続きと費用の注意点

売却をスムーズに進めるには、登記や手続きにも注意が必要です。
 
売却契約を進めるには原則として相続登記を済ませる必要があり、未了の場合は名義人全員の同意が必要となるため、手続きが複雑になることがあります。共有名義の不動産は、誰が売却するかや利益配分をどうするかをめぐって話し合いが長引くこともあります。
 
また、売却までの期間が長くなると、固定資産税や管理費、空室の維持費などの費用がかさみます。相続後すぐに活用や売却の予定がない場合は、早めの売却を検討することも一つの選択肢です。さらに、納税資金を売却代金でまかなう場合は、売却時期と納税期限のバランスを見極めることが重要です。
 

自分に合った売却戦略で、将来に備えよう

親のアパートを相続して売却する際は、まず売却価格からどのような諸費用が差し引かれるのかを正確に把握することが重要です。仲介手数料や登記費用、さらに譲渡所得税・住民税・相続税を差し引いたあとの実際の手取り金額をシミュレーションしてみましょう。
 
税金の負担を軽くするには、取得費を正確に把握して申告することや被相続人から引き継いだ所有期間をもとに長期所有に該当するかの判断など、少しの工夫で大きな差が生まれます。
 
また、不動産の売却にかかる税金はさまざまな特例が用意されています。自分に当てはまる特例がないかもチェックしておきましょう。
 
専門家に相談しながら、自分にとって最も効率的でリスクの少ない方法を選ぶことが、最終的に手元に残る資金を増やす近道です。相続した不動産の売却は、単なる換金行為にとどまらず、資産の再構築と位置づけられます。手順やコストを冷静に把握し、自分の将来にとって最適な判断をしていきましょう。
 

出典

法務局 備えて安心! 令和6年4月1日から相続登記が義務化されました
国土交通省<消費者の皆様向け>不動産取引に関するお知らせ
国税庁 土地や建物を売ったとき
国税庁 No.3306 被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例
国税庁 No.4205 相続税の申告と納税
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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