父が急死し、遺品整理をしています。スマホのパスワードが分からない場合、PayPayや仮想通貨は相続できないのでしょうか?
とくにキャッシュレス決済や仮想通貨など、スマホを通じて管理される資産は、パスワードが分からなくなると手続きが複雑に感じられます。「スマホが開けないなら、父のPayPay残高や仮想通貨は相続できないのでは? 」と不安になる方も多いでしょう。
しかし、結論から言えば スマホのパスワードが分からなくても、資産としての権利は相続できます。ただし、サービスごとに対応は異なるため、正しい手順を知っておくことが重要です。
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目次
PayPay残高は相続可能。ただしスマホが開けなくても手続きできる
PayPayは銀行口座とは異なり、本人のスマホで利用するウォレットアプリというイメージが強いため「スマホが開けなければ終わり」と思われがちです。しかし、PayPayでは 利用者の死亡による名義変更・残高払い出しの手続き が可能です。
相続人は、以下の書類をそろえて PayPay側に問い合わせることで、残高を払い戻してもらえます。
・被相続人が亡くなったことが確認できる戸籍謄本のコピー
・相続人の戸籍謄本のコピー
・相続人の印鑑証明登録書の原本
スマホ端末が操作できなくても、アカウント自体は背後のサーバーで管理されているため、必要書類が整えば相続できるというわけです。
仮想通貨は「ウォレットの種類」によって相続の可否が大きく変わる
一方、仮想通貨(暗号資産)は、PayPayよりも注意が必要です。仮想通貨は大きく分けて次の2種類のどちらで保管されていたかによって扱いが変わります。
1. 取引所(Coincheck、bitFlyerなど)で管理されていた場合
この場合は PayPayと同じく、サービス事業者に問い合わせれば相続が可能です。相続手続き用の窓口を設けている取引所も多く、書類を提出すればアカウント凍結・残高移管といった対応をしてくれます。
2. 個人ウォレット(MetaMask、ハードウェアウォレット等)で管理されていた場合
ここが最も重大な注意点です。
個人ウォレットの場合、秘密鍵やリカバリーフレーズが分からなければ、資産にアクセスする方法はなくなります。事業者による管理がなく、本人だけが鍵を持つ仕組みだからです。
言い換えれば、スマホのロック解除よりもウォレットの秘密鍵の有無が相続の決定要因となります。
そのため、遺品整理の際はスマホ以外にも以下の探索が重要です。
・メモ帳や手帳にメモされていないか
・パソコンにウォレットアプリがインストールされていないか
・USB型ウォレット(Ledger、Trezor等)が残っていないか
・メールに取引所からの通知が残っていないか
スマホのロック解除は専門業者や携帯会社でも「ほぼ不可能」
「スマホを開ければ全部分かる」と思われがちですが、近年のスマホはセキュリティが非常に高く、故人のスマホのロック解除は、携帯キャリアでも本人不在では対応してくれません。データ取り出し業者も成功率は高くないのが現状です。
そのため、あくまでスマホを開けることに頼らず、サービス提供元に相続手続きを依頼するのがもっとも現実的な方法となります。
スマホのパスワードが分からなくても諦めないで
デジタル資産の相続は複雑ですが、ポイントは次の通りです。
・PayPayは必要書類をそろえれば相続可能
・取引所管理の仮想通貨も相続手続きが可能
・個人ウォレットの仮想通貨だけは秘密鍵がなければ実質的に回収不可
・スマホのロック解除は期待できないため、各サービス事業者に直接問い合わせるのが基本
大切なのは、「スマホが開かない=資産が消える」ではない という点です。必要書類をそろえ、正しい窓口へ丁寧に問い合わせれば、手続きは進められます。
出典
PayPay銀行株式会社 相続のお手続き
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
