父が大学の学費として「300万円」を子どもに渡しました。大金ですが、「特例なら非課税」という噂を信じてそのまま受け取っていいですか?

配信日: 2025.12.21
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父が大学の学費として「300万円」を子どもに渡しました。大金ですが、「特例なら非課税」という噂を信じてそのまま受け取っていいですか?
子どもの進学を機に、父母や祖父母からまとまった教育資金の援助を受ける家庭は少なくないでしょう。大学の学費は高額になりやすく、「300万円を一括で受け取った」と聞くと、贈与税がかかるのではないかと不安に感じる人もいるかもしれません。一方で、「教育資金なら特例で非課税になる」という話を耳にすることもあります。
 
しかし、教育費であれば必ず非課税になるわけではなく、制度の使い方を誤ると贈与税が課される可能性もあります。
 
本記事では、教育資金と贈与税の基本的な考え方を整理したうえで、「教育資金の一括贈与に係る贈与税の非課税制度」について解説します。
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教育資金をもらうと原則は「贈与税」の対象

個人から金銭などの財産を受け取った場合、その金額が年間110万円を超えると、原則として贈与税の課税対象になります。大学の学費など、教育費目的であっても、この基本的な考え方は変わりません。祖父母から孫へ300万円を一度に渡した場合、何の対応もしなければ、その金額は通常の贈与とみなされ、贈与税が課される可能性があります。
 
ただし、例外として、扶養義務者(父母や祖父母など)から、生活費や教育費に充てるために取得した財産で、必要な都度、直接これらに充てるためのものについては、贈与税が非課税とされるケースがあります。
 
例えば、大学の授業料や入学金を支払うタイミングで、その都度必要な金額を受け取り、実際に学費として支払っている場合には、贈与税が課されないとされています。
 
一方で、数年間分の生活費や教育費をまとめて一括で受け取り、その資金がすぐに使われず、預貯金などとして残っている場合には注意が必要です。この場合、生活費や教育費として実際に充てられなかった部分については、「通常必要と認められる範囲」を超えるとして、贈与税の課税対象となる可能性があります。
 
つまり、「教育費の名目」であっても、使い方や管理の状況によっては、非課税とならないことがある点は押さえておく必要があります。
 

「教育資金の一括贈与の非課税制度」とは

こうした教育費の一括贈与にかかる贈与税の負担を軽減するために設けられているのが、「直系尊属からの教育資金の一括贈与に係る贈与税の非課税制度」です。この制度を利用すれば、一定の要件を満たすことで、最大1500万円までの教育資金について贈与税が非課税となります。
 
国税庁によれば、この制度の対象となるのは、父母や祖父母などの直系尊属から、30歳未満の子どもや孫が教育資金として贈与を受ける場合です。ただし、単に「教育費として渡す」だけでは制度は適用されず、制度専用の手続きを踏むことが前提となります。
 

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非課税制度を適用するために必要な手続き

「教育資金の一括贈与の非課税制度」を利用するには、金融機関等で「教育資金口座」を開設するなど所定の手続きを行う必要があります。贈与された金銭はこの専用口座に入金され、そこから実際に教育費として支払われた分について、非課税が認められます。
 
大学の入学金や授業料、教材費など、制度で定められた教育資金に支出した場合には、領収書などの証明書類を決められた提出期限までに金融機関に提出する必要があります。教育費として支出した事実を客観的に確認できる形で管理されることが、非課税の前提条件です。
 

制度を使うべきかどうかの判断ポイント

「教育資金の一括贈与の非課税制度」は、長期にわたって高額な教育費を支援する場合に有効な制度です。一方で、手続きや書類管理の負担があるため、必ずしもすべての家庭にとって最適とは限りません。
 
300万円程度であれば、必要な都度、学費として直接支払ってもらう方法や、年間110万円以内で分けて贈与する方法を検討する余地もあります。金額や支払時期、家庭の状況に応じて、どの方法が適しているかを考えることが大切です。
 

まとめ

父母や祖父母から大学の学費として300万円を受け取った場合でも、原則としては贈与税の課税対象となります。「教育資金なら特例で非課税」という考え方は、「教育資金の一括贈与に係る贈与税の非課税制度」を、要件どおりに利用した場合に限られる点に注意が必要です。
 
また、扶養義務者から必要な都度、直接教育費に充てる形で受け取った金銭は非課税となるケースがある一方、まとめて受け取って預貯金などになっている部分については、贈与税が課される可能性があります。
 
高額な教育資金の援助を受ける際は、制度の違いや要件を正しく理解し、自身の状況に合った方法を選ぶことが、思わぬ税負担を避けるポイントといえるでしょう。
 

出典

国税庁 祖父母などから教育資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税制度のあらまし(1ページ)
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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