実家は「生前贈与」と「相続」、どっちがお得⁉ それぞれに発生する「税金」は?

配信日: 2025.12.22
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実家は「生前贈与」と「相続」、どっちがお得⁉ それぞれに発生する「税金」は?
「親が元気なうちに実家を贈与したほうがいいの?」という悩みは多くの家庭で聞かれます。
 
本記事では、贈与税・相続税の違いや贈与後に起こり得る家族トラブルなどを整理したうえで、それぞれのメリットとデメリットを比較し、「わが家にはどちらが合うか」を考えるための視点を解説します。
稲場晃美

お金と不動産相続のコンシェルジュ
宅地建物取引士・AFP・住宅ローンアドバイザー・相続診断士

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実家は「生前贈与」と「相続」、どっちがお得?

「親が元気なうちに実家を贈与したほうがいいの?」
 
年末年始や帰省のタイミングになると、こうした悩みが増えてきます。ネットでは「早めに贈与すると節税になる」という情報もありますので、不安を抱える方も少なくありません。
 
しかし、生前贈与と相続のどちらが“お得”かは、家庭の事情によって大きく変わります。まずは両者の違いと、見落とされがちなポイントを整理しましょう。
 

生前贈与と相続の違いは「バトンを渡すタイミング」

生前贈与は、親が生きているうちに不動産の名義を子へ移す方法です。贈与税がかかる可能性があり、登録免許税や司法書士費用も必要です。また名義を移すと、親自身が売却や住み替えを自由に行えなくなる点も注意が必要です。
 
一方、相続は亡くなった後に名義が移る仕組みで、相続税が発生する場合があります。最近注目されている「相続時精算課税制度」もありますが、活用すれば必ず得になるわけではなく、資産状況全体を踏まえた判断が求められます。
 

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“生前贈与がお得”と思う前に知ってほしい5つの現実

税金や制度の仕組みを正しく理解しないまま進めると、かえって負担や問題が増えるケースもあります。本章では、生前贈与を検討する前に知っておきたいポイントを整理します。
 

(1)相続税がかからない家庭では“贈与税のほうが高い”

そもそも、贈与税は相続税より税率が高く設定されています。つまり、同じ財産を渡すなら相続のほうが税負担は軽いのが原則です。
 
さらに基礎控除内で相続税がかからない家庭では、贈与の節税効果はほぼゼロです。むしろ不動産取得税・登録免許税などが先に発生し、「やらなくてよかった」というケースが多くあります。
 

(2)贈与してもきょうだいトラブルを防げるとはかぎらない

生前贈与は、相続時に「特別受益」として扱われます。税法上の計算に反映されなくても、「あなたは家をもらったよね」という“家族の記憶”は残りやすく、かえってもめごとの火種になることもあります。
 

(3)節税目的の駆け込み贈与は成立しにくくなった

亡くなる直前の贈与は相続財産に持ち戻されます。2024年の改正で、この持ち戻し期間は3年→7年に延長されました。これにより、以前にも増して「節税目的の駆け込み贈与」は成立しにくくなっています。
 

(4)親の「自由な選択肢」が失われる可能性

名義を子に移すと、親が売却したくても自由に動かせず、施設入居や住み替えの選択肢が狭まります。老後資金計画と切り離した贈与は、親の人生を制限してしまうリスクがあります。
 

(5)認知症対策=生前贈与という誤解

「認知症になる前に名義を変更しないと売れなくなる」と贈与を急ぐケースもありますが、これは誤解です。家族信託・任意後見制度など、贈与以外にも財産管理の方法があります。したがって、“認知症対策=贈与一択”ではありません。
 

生前贈与が向いている家庭/相続のほうが安心な家庭

生前贈与と相続のどちらが適しているかは、家庭の資産状況や家族関係、将来のライフプランによって大きく異なります。本章では、生前贈与が向いている家庭と、相続を選んだほうが安心な家庭の特徴を整理します。
 

<生前贈与が向いている家庭>

・相続税対策が本当に必要な資産規模がある
・事業用不動産を早期に承継したい
・親の老後資金が十分にある
・子どもが海外在住(国際結婚を含む)で相続が複雑になりやすい

 

<相続のほうが安心な家庭>

・相続税の心配がほとんどない
・親がまだ住む、または売却の可能性がある
・きょうだい間の価値観に差がある
・実家を売って介護費に充てる可能性がある


■判断を誤らないための2つのポイント

・親の老後の自由や資金を奪わないか
・家族全員が同じ方向を向いているか

どちらかを欠くと、意図しない負担につながる可能性があります。
 

まず“何を大切にしたいか”を決めることから

生前贈与にも相続にも、メリットと注意点があります。そして実家の扱いは、「節税を優先したいのか」「親の老後の安心か」「家族関係を守りたいのか」という“何を大切にしたいか”によって、選ぶべき方法がまったく変わります。
 
一見お得に見えるネット情報も、家庭の事情に合わなければ逆効果となり、二度手間になることも少なくありません。焦らず、まずは「わが家は何を優先したいのか」を整理してみてください。
 
迷ったときは、気軽に相続や不動産に詳しいFPへ相談してみてください。第三者の専門家と一緒に整理することで、あなたのご家庭に合った最適な答えがきっと見つかるでしょう。
 

出典

国税庁 令和5年度税制改正(相続税・贈与税)に関するQ&A
 
執筆者 : 稲場晃美
お金と不動産相続のコンシェルジュ
宅地建物取引士・AFP・住宅ローンアドバイザー・相続診断士

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