毎年お正月に帰省しています。家族4人分の交通費+宿泊費として両親から「10万円」をもらっているのですが、これは贈与になりますか?

配信日: 2025.12.23
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毎年お正月に帰省しています。家族4人分の交通費+宿泊費として両親から「10万円」をもらっているのですが、これは贈与になりますか?
お正月に実家へ帰省するたび、両親から「交通費と宿泊費に使ってね」と10万円を受け取っている……でもこれは法律上、「“贈与”になるの?」「税金はかからないの?」という疑問を持つ方も多いでしょう。
 
本記事では、贈与税のルールや「扶養的な援助」との違いについて考えていきましょう。
柴沼直美

CFP(R)認定者

大学を卒業後、保険営業に従事したのち渡米。MBAを修得後、外資系金融機関にて企業分析・運用に従事。出産・介護を機に現職。3人の子育てから教育費の捻出・方法・留学まで助言経験豊富。老後問題では、成年後見人・介護施設選び・相続発生時の手続きについてもアドバイス経験多数。現在は、FP業務と教育機関での講師業を行う。2017年6月より2018年5月まで日本FP協会広報スタッフ
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このケースの10万円は「贈与税の対象ではない」ことが多い

毎年のお正月に帰省する際、両親から家族4人分の交通費や宿泊費として10万円をもらっている場合、「贈与税がかかるのでは?」と心配になる方は多いでしょう。しかし、ご相談のケースである10万円に贈与税がかかる可能性は極めて低いと考えられます。
 
理由は、税法上「生活費」や「教育費」とされる範囲の援助は、たとえ金銭であっても贈与税の課税対象外と明確にされているためです。
 
帰省のための交通費や宿泊費は、一般的に「通常必要な生活費」に分類され、課税対象から外れます。特に、両親が子どもやその家族に対して行う一時的な援助は、生活費の範囲として扱われることが多く、贈与として扱われる可能性は低いといえるでしょう。
 

贈与税の仕組みと「110万円の基準」

贈与税の基本として、年間110万円を超える贈与を受けた場合に課税されるというルールがあります。ただし、課税対象となるのは「贈与税がかかる性質の贈与」に限られるという点が重要です。たとえ年間110万円以内であっても、生活費や教育費に該当すれば、そもそも課税対象外で贈与税はかかりません。
 
生活費や教育費 は 課税対象外であり、それ以外の贈与の場合は、 年間110万円を超えたら贈与税の対象になるというのが基本的な考え方です。その基本にあてはめてみれば、今回のケースの帰省費用にあたる10万円は、明らかに「通常必要な生活費」の一部であり、課税対象ではないといえます。
 

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どこまでが「生活費」として認められるのか?

国税庁では「生活費」について明確に例を示しており、扶養義務者から受ける生活費や教育費は、通常必要な範囲内であれば贈与税の対象とならないと説明されています。生活費に該当するものとして、食費、住居費、医療費、衣服費、教育費などが挙げられますが、「交通費」も当然この生活の一部として認められると考えられています。
 
年末年始の帰省は、日本における慣習的な家族行事であり、かつその交通費を親が子に援助することは通常の生活費の範囲内と解釈されるのが一般的です。
 
ただし注意点として、以下のようなケースは「生活費ではなく贈与」と判断される可能性があります。
 

1. 毎年、生活費とは関係のない高額な資金(例:300万円など)を渡している
2. 資産形成を目的として資金援助をしている(例:貯金のためにお金を渡す)
3. 子どもが必要としていないのに多額の贈与を行っている

 
この例から見ても、10万円は「帰省のために必要な費用」という明確な目的を伴っており、「生活費ではなく贈与」には該当しないと理解してよいでしょう。
 

実務上の贈与税申告の必要はないと判断できるが、記録があると安心

実務的にも、両親から帰省費用として10万円を受け取るだけで贈与税申告が必要となるケースはほぼありません。税務署も、一般的な生活費の範囲として扱うためです。ただ、万一のために記録を残しておくとより安心です。
 

・受け取った理由が「帰省費用」であることが分かるメッセージやメール
・実際の交通費や宿泊費の領収書
・お金を受け取った日付と用途のメモ

 
このような書類があれば、税務署から問い合わせがあった場合でも明確に説明できます。
 
仮に、両親からの支援が毎年大きく増えている場合、あるいは住宅購入の頭金などの高額援助が別途ある場合には、贈与税の対象となる可能性が出てきますので注意しましょう。
 

まとめ 帰省時の10万円は贈与税の心配は不要

今回のケースについてまとめると、帰省費用としての10万円は「生活費」に該当するため、国税庁が明記している「生活費の援助は非課税」に該当します。年間110万円の基準は、「課税される贈与」にのみ適用されます。
 
帰省費用は慣習的で用途が明確なため、贈与税の心配は不要ですが、念のため、用途の分かる記録を残しておきましょう。
 

出典

国税庁 No.4405 贈与税がかからない場合
国税庁 No.4402 贈与税がかかる場合
 
執筆者 : 柴沼直美
CFP(R)認定者

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