実家に帰省すると母から「お年玉を貯めていたから」と“150万円”入った通帳を渡されました。一度は自分がもらった“お年玉”ですし、「贈与税」はかからないですよね?
しかし、大きな金額の移動があると「贈与税は大丈夫なのか」と不安を覚える場面でもあります。お年玉は一般的に少額であることが多く、贈与税の対象外となることも考えられますが、名義預金の問題が絡む場合もあるため注意が必要です。
本記事では、お年玉と贈与税の関係、名義預金と判断されないためのポイントを解説します。
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「社会通念上相当と認められる」金額の“お年玉”は非課税が原則
国税庁によると、「個人から受ける香典、花輪代、年末年始の贈答、祝物または見舞いなどのための金品で、社会通念上相当と認められるもの」は、贈与税の対象外とされています。つまり、親から子にお年玉を渡す場合でも、世間一般で妥当とされる範囲の金額であれば、贈与税がかかる可能性は低いと考えられるでしょう。
しかし、1回ごとのお年玉が少額であっても、親が長年預かって積み立て、110万円を超える金額をまとめて渡した場合には、「高額なお年玉」として扱われる可能性がある点には注意が必要です。
こうしたケースで社会通念上相当と認められない高額なお年玉と判断された場合には、贈与税の対象となり、結果として年間110万円の基礎控除を超える部分に贈与税が課される可能性は否定できません。
「名義預金」と見なされた場合は贈与税がかかる可能性も
子どもが受け取ったお年玉を親が長年預かっておき、成人後に通帳を渡すケースで本人が口座の存在を認識していなかった場合、「名義預金」を疑われる可能性があります。名義預金とは、口座の名義と実際の管理者が異なる状態を指し、親が子どもの名義で口座を作り、入出金を自由に行っているケースなどです。
名義預金と判断されると、贈与税や相続税の対象となる可能性があります。そのため、口座名義と管理状況には注意が必要です。特に、今回のように150万円もの金額が移動する場合、税務署からの確認を受ける可能性もあるため、次で紹介するポイントを意識しておきましょう。
長年貯めたお年玉に課税されないための3つのポイント
ここでは、親が長年貯めていてくれたお年玉を受け取る際に、課税されないための3つのポイントを解説します。
1.口座の管理は子どもに任せる
前述した「名義預金」と疑われないためには、名義人本人が口座を管理している状況が望ましいとされています。実際に、通帳やキャッシュカードを本人が把握しているかが重要になるでしょう。
2.贈与契約書を作成する
そもそも今回のようなお年玉は、適切に管理されていれば新たな「贈与」に当たらないケースもありますが、税務上の誤解を避けるために、あえて贈与として整理する方法が取られることもあります。その際は、1年間あたり110万円の基礎控除の範囲内に収まるよう金額や渡し方を調整することが重要です。
3.銀行振込でお金を渡す
現金手渡しよりも銀行振込のほうが、お金の移動や管理状況を客観的に示しやすくなります。名義預金や新たな贈与と誤解されないためにも、通帳に履歴が残る形で受け取っておくと、税務署から確認を受けた際に説明しやすいでしょう。贈与として整理した場合、金額や時期が110万円の基礎控除の範囲内であることを示しやすいという利点もあります。
まとめ
お年玉は、社会通念上相当とされる金額であれば、贈与税の対象外となることがあります。ただし、長年にわたり親が管理していた場合には、名義預金として扱われる可能性もあるため注意が必要です。
特に150万円もの金額が動く場面では、贈与に当たるかどうかや、誰がどのように管理していたのかといった点が問われることも考えられます。
名義預金や新たな贈与と誤解されないためには、口座の管理者を明確にし、必要に応じて贈与として整理したうえで基礎控除110万円の範囲内に収めることや、銀行振込などで履歴を残しておくことが安心材料になるでしょう。
出典
国税庁 ホーム 税の情報・手続・用紙 税について調べる タックスアンサー(よくある税の質問) No.4405 贈与税がかからない場合
国税庁 ホーム 税の情報・手続・用紙 税について調べる タックスアンサー(よくある税の質問) No.4408 贈与税の計算と税率(暦年課税)
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー