祖母が亡くなって7年後、父も亡くなりました。父から相続した私の「相続税」が少し安くなると聞いたのですが、本当ですか?

配信日: 2025.12.28
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祖母が亡くなって7年後、父も亡くなりました。父から相続した私の「相続税」が少し安くなると聞いたのですが、本当ですか?
祖父母が亡くなってあまり年月をおかずに父親や母親が亡くなると、子どもは結果的に祖父母と親の両方の財産をまとめて受け継ぐことになります。このようなケースでは、相続する財産の総額が高くなりやすく、相続税の負担も重くなる場合があります。そのため、可能であれば税額負担を軽減したい人もいるでしょう。
 
本記事では、連続で相続が発生した場合に適用できる控除や計算方法などについてご紹介します。
FINANCIAL FIELD編集部

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高橋庸夫

ファイナンシャル・プランナー

住宅ローンアドバイザー ,宅地建物取引士, マンション管理士, 防災士
サラリーマン生活24年、その間10回以上の転勤を経験し、全国各所に居住。早期退職後は、新たな知識習得に貪欲に努めるとともに、自らが経験した「サラリーマンの退職、住宅ローン、子育て教育、資産運用」などの実体験をベースとして、個別相談、セミナー講師など精力的に活動。また、マンション管理士として管理組合運営や役員やマンション居住者への支援を実施。妻と長女と犬1匹。

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立て続けに相続すると控除が適用される

家庭の状況などによっては、祖母が亡くなった数年後に父親が亡くなるなど、短期間で相続が続く場合があります。
 
このように、最初の相続から10年以内にふたたび相続があった場合、条件を満たしていれば「相次相続控除(そうじそうぞくこうじょ)」の適用が可能です。相次相続控除が適用されると、本来支払う税額から一定金額を差し引けます。
 
国税庁によると、以下のすべてに該当している場合に適用できます。今回、亡くなった人物をAとします。
 

・亡くなったA(被相続人)の相続人であること
・Aの相続開始時点から前10年以内に相続によりAが財産を取得していること
・Aがその相続の際に相続税も課されていること

 
今回のように祖母の相続時に遺産を受け取っており、相続税も支払っていた父が、その10年以内に亡くなった場合、控除が適用されます。
 

相次相続控除を適用した税額の計算例

国税庁によると、相次相続控除は以下の5項目を活用して計算します。
 

a:Aが前の相続で支払った相続税額
b:前の相続で受け取った遺産額
c:今回の相続で相続人や遺贈を受けた人が受け取った財産の合計額
d:今回相次相続控除を適用する人が受け取った遺産額
e:前回の相続から今回までの期間(1年未満は切り捨て)

 
計算式は「a×c/(b-a)×d/c×(10-e)/10」です。「c/(b-a)」の部分は、最大で「100/100」になります。
 
例えば、以下の条件で相次相続控除が適用された場合に、自身が支払う相続税額を計算しましょう。
 

・祖母が亡くなったときに父親一人で4500万円の遺産を相続
・祖母が亡くなった7年後に父親が亡くなり、遺産は父親が相続したものと合計して8000万円
・祖母から父親への相続には遺贈や相続時精算課税にかかる贈与がない
・母親は既に死亡している
・父親の法定相続人は子ども一人

 
まず、父親が祖母の遺産を相続したとき、相続税の基礎控除額は「3000万円+600万円×法定相続人数」のため3600万円です。4500万円から基礎控除額を引いた900万円に対して課税され、税率が10%のため、父親は90万円の相続税を支払っています。
 
次に、父親が亡くなった際に子どもが8000万円を相続すると、基礎控除額は3600万円のため課税金額が4400万円です。税率が20%、控除額は200万円のため、本来の相続税額は680万円になります。
 
条件を基にして相次相続控除を求めると、「90万円×8000万円/(4500万円-90万円)×8000万円/8000万円×(10-7年)/10」です。
 
このうち「8000万円/(4500万円-90万円)」は約1.81ですが、先に説明した計算式のルールどおり、この部分は最大で1(100/100)までとされています。そのため、今回のケースでは「90万円×1×1×(3/10)」で、相次相続控除額は27万円となるため、実際に支払う相続税額は653万円になります。
 

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相次相続控除を適用する方法

相次相続控除を適用するときは、「相次相続控除額の計算書」に必要事項を記入し、ほかの必要書類と併せて税務署へ提出しましょう。
 
計算書には今回の相続分だけでなく、前回分の相続情報も記載が必要なので、早めに申告準備を始めると安心です。
 
相続税の申告期限は相続を知ったときから10ヶ月以内なので、必要であれば早めに税務署へ相談しましょう。
 

条件を満たしていれば相次相続控除を適用できるため少し安くなる

連続して相続が発生した場合は、相次相続控除の適用対象になる可能性があります。相次相続控除が適用されると、税額負担を軽減できるため、まずは該当条件を確認しておきましょう。
 
なお、相次相続控除を適用する場合は、今回分だけでなく前回分の相続に関する情報を集める必要があります。相続税の申告期限は相続を知ってから10ヶ月以内なので、早めに必要な調査と申告、納税をしましょう。
 

出典

国税庁 タックスアンサー(よくある税の質問) No.4168 相次相続控除
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
 
監修:高橋庸夫
ファイナンシャル・プランナー

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