親から生前贈与で「100万円×3年」もらっていた私。相続時に税金はどう扱われる?
実際、SNSを見ると、生前贈与と相続を取り巻く問題はさまざまな場所で多様な観点から語られています。
そこで、この記事では、親から毎年100万円を3年間もらっていたケースを例に、その贈与が相続時に税金面からどう扱われるのかを解説します。
行政書士
◆お問い合わせはこちら
https://www.secure-cloud.jp/sf/1611279407LKVRaLQD/
2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。
贈与税としての取り扱い
まず前提として、贈与税は1年間(1月1日〜12月31日)に受け取った金額が110万円までであれば非課税となります。
したがって、生前贈与で毎年100万円受け取ることを3年間続けていても贈与税は発生しません。
ただし、この110万円までの非課税枠は、親以外から受け取った贈与も含めて考えます。そのため、親から受け取ったのは100万円であっても、配偶者など別の誰かから20万円の贈与を受けていたという場合は贈与税がかかります。
その場合、120万円全体にかかるわけではなく、110万円を超える部分に当たる10万円に贈与税がかかります。
贈与に相続税がかかることも…
意外に思われるかもしれませんが、亡くなる直前の7年間の贈与は、仮に贈与税がかからなくとも相続税の対象となります。
この制度はいわゆる暦年課税と呼ばれるもので、贈与税の非課税制度を利用して相続税を不当に回避しようとする抜け穴を防ぐ役割があるといわれることもあります。
とはいえ、相続税には「3000万円+600万円×相続人の数」という非常に大きな金額での非課税枠が設けられています。
相続税への加算が亡くなる直前7年と限定的であることや、相続税の非課税枠の大きさから、相続財産がよほど多額なものとならない限り、過去の贈与について遡って相続税がかかることを気にする必要はないでしょう。
なお、令和5年12月31日までに受けた贈与分については、この相続税への加算対象期間が3年となっておりますので、この点ご注意ください。
贈与税も相続税も対象外の贈与がある
年間110万円の贈与税の非課税枠や、「3000万円+600万円×相続人の数」という相続税の非課税枠を超えるだけの贈与があったとしても、贈与が非課税となる場合があります。
それは、扶養義務に基づく贈与である場合です。扶養義務とは、生活が困難な親族を経済的に支援するべきであるという法律上の義務です。例えば、子の生活費や学費のための贈与などがこれに該当します。
ただし、それらは都度必要とされる範囲で贈与された部分に限ります。余らせて貯蓄や投資、小遣いとなった部分はもちろん、数年分先払いしたような場合も、贈与税や相続税の対象となるためご注意ください。
なお、外形的にはその贈与が扶養義務に基づく非課税なものであるかの見分けがつきづらいものになります。そのため、確実に扶養義務に基づくものだと証明するために、その旨の契約書を作成し、銀行振込で金額を明確にするなどしておくことをおすすめします。
まとめ
直近7年分の生前贈与が後々相続税の課税対象となるとはいえ、扶養義務に基づく贈与は非課税であり、また相続税には最低でも3600万円という膨大な非課税枠が存在することを考えると、生前贈与の相続税への加算について過度に心配することはありません。
とはいえ、贈与と相続税の関係性は複雑な面もあり、なかなか理解が難しいこともあるでしょう。
税金に関するルールは、知らなかったでは済まされません。もし、贈与税や相続税について、自身では解決できない悩みがあるときは、早急に税理士など専門家へ相談するか、最寄りの税務署へ相談することをおすすめします。
出典
国税庁 No.4161 贈与財産の加算と税額控除(暦年課税)
執筆者 : 柘植輝
行政書士