私の面倒を見てくれている長男に「生前に多めに財産を渡したい」です。次女は納得しているようですが、どのように分ければ“公平な生前贈与”になるのでしょうか?

配信日: 2026.01.10
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私の面倒を見てくれている長男に「生前に多めに財産を渡したい」です。次女は納得しているようですが、どのように分ければ“公平な生前贈与”になるのでしょうか?
親が元気なうちに財産を子どもたちに分けたいと考えるのは自然なことですが、兄弟姉妹それぞれの受け取り額が大きく違うと、後々の感情的なギクシャクや法的なトラブルにつながることもあります。この記事では、生前贈与を“公平に進める”ための考え方や注意点を、法律や実務の視点も交えてわかりやすく解説します。
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平等な額が“必ず公平”とは限らない理由

一見すると、兄弟姉妹みんなに同じ額を渡しておけば公平に見えます。
 
しかし税法や家族の事情から考えると、「額を単純に同じにする」だけでは必ずしも公平とは言えません。実際、兄弟姉妹間で贈与額が大きく異なる場合や、特定の相続人だけが援助を受けていた場合には、不満や対立が生じるケースが少なくないと指摘されています。
 
親の思いはひとつでも、子どもたちの感じ方や経済状況はそれぞれ違うため、単純な金額の平等よりも「どうしてその額なのか」をきちんと説明できることが重要です。
 
また、法律上の考え方としても、生前贈与が相続時に配慮されることがあります。民法には「特別受益」という制度があり、重大な贈与を受けた人は、相続時にその援助額が一度考慮されることがあります。
 
相続財産と生前贈与を合わせて全体の公平さを整えるための措置ですが、この仕組みを理解しておくことは、生前からの配分を考えるうえで役に立ちます。
 

長男だけ多めに贈与したい場合の考え方

長男が親の介護や世話を長年してくれた場合、親として感謝の気持ちを形にしたいという気持ちはよくわかります。ただし、贈与の金額やタイミングが不透明なままだと、兄弟の間に「なぜ私ではなく兄ばかり」「どうして金額が決まったのか理由がわからない」といった疑問が残りやすくなります。
 
公平性を保つためには、「兄が介護・支援してきた事実」「その負担・貢献の程度」「それに見合った援助であるという合理的な説明」を、家族間で丁寧に説明して納得してもらうことが大切です。他の兄弟姉妹にとっても、「兄の貢献が一般的な期待を超えるものだった」という理解が得られれば、不公平感は軽減されやすくなります。
 
法律上は、親が贈与する意思を明確にし、金額や理由、タイミングなどを文書化しておくことで、後から争いになりにくい状況を作ることができます。贈与の目的や背景が明確であれば、たとえ金額が異なっていても公平だと納得されるケースもあります。
 

兄弟で“フォローし合う”仕組みを考える

「平等」と「公平」は微妙に意味が違います。単純に同額を渡すことが形式上の平等だとすると、長男の長年の介護やサポートに対して多めの贈与をすることは、実質的な公平につながることもあります。大切なのは、一方的に決めてしまうのではなく、兄弟姉妹全員で「なぜその分け方なのか」を共有し、理解を得るプロセスです。
 
たとえば、長男が介護をしてくれていることを前提に、長男には多めに、ほかの兄弟姉妹には別の形の支援(将来の相続時に配慮する、介護に関する負担軽減をお願いするなど)で対応する、といった個々の事情を踏まえた調整も考えられます。
 
面倒だからといって単に額を振り分けるのではなく、家族全員が納得しやすい形を探すことが、結果として“公平”な対応につながります。
 

透明性を持つことがトラブル回避の鍵

贈与を進めるうえで最も大切なのは、家族間の透明性を確保することです。贈与する金額や理由、目的を親・受贈者・その他兄弟姉妹ですべて共有し、曖昧にしないことが後々のトラブルを防ぐうえで非常に有効です。
 
金銭的な数字だけでなく、「なぜこの支援が必要なのか」「この支援は他の兄弟姉妹にも意味があるのか」といった視点を共有することで、不満や誤解が生まれにくくなります。
 
書面で贈与契約を残したり、贈与税の申告が必要であればきちんと対応したりすることで、税務署に対しても透明性のある記録が残ります。贈与税の基本ルールとして、贈与税は暦年課税で1年間に110万円を超える贈与に対して課税される仕組みがあり、この点も踏まえながら計画を立てると安心です。
 

まとめ

兄弟姉妹間での生前贈与を公平に進めるためには、単純に額を等しくするだけではなく、「贈与の背景にある事情」「貢献の度合い」「ほかの兄弟への影響」を丁寧に説明し、共有することが大切です。贈与は単なる金銭の移動ではなく、家族関係や感情にも影響する行為であり、透明性と納得感を重視することがトラブル回避の鍵になります。
 
将来的な相続や税務の問題に不安がある場合は、専門家と相談しながら贈与計画を立てると安心です。相続税対策の一環としての贈与制度や、兄弟での特別受益制度の知識も踏まえながら、家族全員が納得できる形で進めましょう。
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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