「100万円のタンス預金」は税務署にバレる!? 親は「現金なら気づかれない」と言うけれど…“手渡しで受け取った現金”を銀行に預けるリスクと、知っておくべき「贈与税」の境界線

配信日: 2026.03.17
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「100万円のタンス預金」は税務署にバレる!? 親は「現金なら気づかれない」と言うけれど…“手渡しで受け取った現金”を銀行に預けるリスクと、知っておくべき「贈与税」の境界線
親から「生活の足しにしなさい」と100万円を現金で手渡しされたら、心の中でガッツポーズをしたくなるのではないでしょうか。日々の生活費や住宅ローンに追われるなか、税金で1円も引かれずに手元に残る現金ほどありがたいものはありません。
 
「贈与税は年間110万円までかからない」と聞いたことがある人なら、「非課税の枠内だし、手渡しなら絶対にバレない」と安心しきっているかもしれません。1年間に受け取った額の合計が110万円以下なら、確かに贈与税はかかりません。
 
しかし、その現金をそのまま「タンス預金」として隠し持ったり、後から自分の銀行口座に入れたりする行為には、税務署から目をつけられるリスクが潜んでいます。今回は、手渡しの現金がバレる仕組みと、無用なトラブルを避けるために知っておくべき「定期贈与」のわなについて解説します。
西村和樹

2級ファイナンシャル・プランニング技能士(FP2級)、第一種/第二種電気工事士、医療情報技師、2級ボイラー技士、ボイラー整備士

「手渡しならバレない」は大きな勘違い! タンス預金が発覚するタイミング

「銀行を通さず、直接現金でもらえば税務署には分からないだろう」と考える人は、少なくありません。
 
しかし、親が100万円を渡すために銀行から引き出せば、当然その履歴は残ります。親の収入や過去の蓄えに対して、不自然な大きなお金の減り方をしていれば、税務署は「このお金はどこへ消えたのか」と鋭い疑いの目を向けることがあるのです。
 
では、具体的にどのようなときタンス預金は発覚してしまうのでしょうか。注意すべきタイミングは主に以下の3つです。
 

・マイホームや車などの大きな買い物をしたとき
・後から自分の銀行口座にまとまった金額を入金したとき
・親に万一のことがあり、相続が発生したとき

 
例えば、住宅ローンを組んでマイホームを購入する際、税務署から「お尋ね」という文書が届くことがあります。自分の収入に見合わない多額の頭金を出していた場合、資金の出どころを徹底的に調べられます。
 
その際に「親からもらったタンス預金を充てた」と正直に答えても、ほかにも贈与があり贈与税の申告漏れではないかと疑われ、追及されるかもしれないのです。
 
さらに、手渡しで隠しているつもりでいても、相続時の調査で親の口座の不自然な引き出しが見つかれば、結局は厳しく追及されてしまいます。親の財産として加算され、本来なら払わなくてよかったはずの税金を納める羽目になるかもしれないのです。
 

「毎年100万円」でも税金ドカン!? 恐ろしすぎる「定期贈与」のわな

タンス預金の発覚リスクに加えて、もう1つ絶対に知っておくべき落とし穴があります。それが「定期贈与」とみなされるケースです。
 
「年間110万円以下なら非課税だから、毎年100万円ずつ10年に分けてもらえば、合計1000万円を無税で受け取れる!」と考える人は多いかもしれません。しかし、親と「毎年100万円ずつ10年間贈与する」という約束を最初から結んでいた場合、税務署の判断は全く異なります。
 
この場合、約束をした最初の年に、「10年間にわたり100万円ずつ給付を受ける権利」を丸ごと贈与されたとみなされてしまいます。これを「定期金給付契約」に基づく贈与と呼び、初年度に1000万円全額に対する多額の贈与税がドカンと課せられるという事態に陥るのです。
 
図表1

贈与の受け取り方 税務署の判断 贈与税の扱い
毎年、その都度契約して100万円をもらう 単発の贈与の繰り返し 110万円以下なのでかからない
最初から「毎年100万円を10年間あげる」と約束する 定期贈与
(1000万円分の権利をもらった)
初年度に1000万円分として課税される

国税庁 No.4402 贈与税がかかる場合より作成
 

バレないための「隠す」から、身を守る「残す」へ

せっかく親がくれた大切なお金が、後になって「定期贈与」とみなされたり、タンス預金の発覚でペナルティを受けたりするのは絶対に避けたいところです。無用な疑いを晴らし、定期贈与とみなされないためには、贈与の都度、贈与契約を結び、それを証明する事実を残すことが重要になります。
 
親から現金の援助を受けるときは、以下の方法をとることをおすすめします。
 

・現金手渡しではなく、あえて銀行振込にして履歴を残す
・贈与の都度、親子であっても「贈与契約書」を作成する
・あえて111万円をもらい、1万円分の贈与税を申告して実績を作る

 
銀行振込にすれば、いつ、いくら振り込まれたのかという確たる証拠が通帳に残ります。また、贈与のたびに契約書を交わしておくことで、最初からまとまった金額をもらう約束(定期金給付契約)ではなかったことの証明になるのです。
 
目先の出費を嫌がり、タンスの奥に現金を隠し持つ行為は、いつか税務署に扉をたたかれるかもしれない時限爆弾を抱えるようなものです。親のありがたい心遣いを無駄にせず、将来の生活を守るためにも、「手渡しならバレないだろう」という甘い考えは捨て、確実な記録を残すやり取りを心がけていきたいものです。
 

出典

国税庁 No.4402 贈与税がかかる場合
国税庁 No.4161 贈与財産の加算と税額控除(暦年課税)
国税庁 No.4402 贈与税がかかる場合 毎年、基礎控除額以下の贈与を受けた場合
 
執筆者 : 西村和樹
2級ファイナンシャル・プランニング技能士(FP2級)、第一種/第二種電気工事士、医療情報技師、2級ボイラー技士、ボイラー整備士

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