私は、将来実家に住む予定が全くないのですが、親は、私が「継ぐ前提」で維持し続けています。固定資産税や修繕費を考えると、親に住み替えを勧めたほうがいいのでしょうか?

配信日: 2026.04.07
この記事は約 4 分で読めます。
私は、将来実家に住む予定が全くないのですが、親は、私が「継ぐ前提」で維持し続けています。固定資産税や修繕費を考えると、親に住み替えを勧めたほうがいいのでしょうか?
全国的に空き家が増加しており、長期的に放置されることによる管理不全などの問題が発生しています。このような状態に至る経緯はさまざまあると思われますが、何らかの理由で誰も住むことがなく、活用されることもなく放置されていることに原因の一端があります。
 
本記事では、「実家の相続」について覚えておきたいポイントなどを確認していきます。
高橋庸夫

ファイナンシャル・プランナー

住宅ローンアドバイザー ,宅地建物取引士, マンション管理士, 防災士
サラリーマン生活24年、その間10回以上の転勤を経験し、全国各所に居住。早期退職後は、新たな知識習得に貪欲に努めるとともに、自らが経験した「サラリーマンの退職、住宅ローン、子育て教育、資産運用」などの実体験をベースとして、個別相談、セミナー講師など精力的に活動。また、マンション管理士として管理組合運営や役員やマンション居住者への支援を実施。妻と長女と犬1匹。

親子間での話し合いが最も重要

タイトルの事例では、子どもは実家に将来住むつもりが全くなく、親は子どもが引き継ぐ(相続)ことを前提に維持し続けているとのことです。この時点で、親子間相互の考え(思い)が全く共有されていません。
 
このような状態のなかで、突然のタイミングで親に万が一のことがあったりすると、子どもが実家を相続したものの誰も住むこともなく放置され、空き家となってしまうことになりがちです。
 
親子間での考えの不一致を極力なくすためには、将来的な「実家の相続」について、可能なかぎり、親が元気なうちに話し合っておくことが最も重要となるでしょう。
 
ただし、親子間の関係性は人それぞれであり、相続に関する話し合いの場を持つことすら困難となっている場合もあると思われます。親子間で将来の実家の相続に関する思いを共有できていれば、親が生前に、ご自身のタイミングで売却(現金化)したり、他の人に賃貸して家賃収入を得たりするなど活用の可能性が広げられることもメリットとなるでしょう。
 

維持費用がかかるから住み替えを勧めるべきか?

これも各家庭それぞれですが、現に居住している親の考えが最も優先されるべきでしょう。固定資産税や修繕費用の金銭的な負担が極めて大きく、支払いが困難となり、子どもに援助などのお願いがあった場合には、子どもとしてどうするのかを考える必要はあるでしょう。
 
また、住み替えについて、新たに家を購入するにしろ、賃貸物件に移るにしろ、それなりの金銭負担が必要となります。まして、高齢者の賃貸借契約などの際には、収入が少ないことなどを理由として契約自体が困難となる場合もあります。もしかすると、本音では子どもと同居したいと強く希望しているケースもあるでしょう。
 
数十年の長期にわたり住み続け、多くの思い出があり、最も住み慣れている実家の環境から移りたくないと考えている親も多いと思われます。このような点を踏まえても、親子間での話し合いが最も重要となるといえるでしょう。
 

相続登記の義務化がすでにスタート、罰則もあり

ご自身の意向に反して、予期せぬタイミングで実家を相続した場合でも、相続登記が必要となります。この「相続登記の義務化」は、令和6年4月1日よりすでに開始されています。つまり、ご自身が望まない場合でも相続登記の名義人として、固定資産税や維持費などの管理の責任を負うことになります。
 
制度の概要は、相続(遺言も含む)や遺産分割の成立によって不動産を取得した相続人は、自己のために相続の開始があったことを知り、かつ所有権の取得を知った日から3年以内に相続登記の申請をしなければなりません。その場合に正当な理由なく義務に違反した場合は、10万円以下の過料の適用対象となるものです。
 
また、制度開始の令和6年4月1日より前に相続が開始している場合も、3年の猶予期間がありますが、義務化の対象となります。
 
さらに、令和8年4月1日からは「住所等変更登記の義務化」が開始となります。この制度は、住所や氏名・名称の変更の日から2年以内に変更登記が義務化され、正当な理由なく違反した場合は、5万円以下の過料が科される可能性があります。
 
同様に、義務化前(令和8年4月1日より前)の変更も対象とされ、令和10年3月31日までに登記する必要があります。こちらは、意図せず極めて多くの方が対象となると思われますので、しっかりと制度の概要を覚えておくべきでしょう。
 
なお、「検索用情報の申出」をすることで、「スマート変更登記」が利用できます。スマート変更登記とは、法務局が住所等の変更の事実を確認して、本人の了解を得たうえで、職権で変更登記をする制度です。
 

まとめ

相続登記の義務化や住所等変更登記の義務化の動きは、空き家問題や所有者不明土地の問題が背景にあります。全く住む予定のない実家を意図しないタイミングで相続した場合などの対応に備えるためには、可能なかぎり親子間での実家に対する思いの共有(話し合い)が重要であると思われます。
 
それらを共有したことを前提として、相続税などの税金対策なども考慮する必要があります。
 

出典

法務局 住所等変更登記の義務化特設ページ
法務局 検索用情報の申出について(職権による住所等変更登記関係)
 
執筆者 : 高橋庸夫
ファイナンシャル・プランナー

  • line
  • hatebu
【PR】 yumobile
FF_お金にまつわる悩み・疑問