両親が「相続税が非課税になる」と“500万円の金の仏具”を購入!「金だから価値が上がる」と言いますが、本当に課税されませんか?「18金製の仏鈴(おりん)」は投資資産とみなされるのか
しかし、両親が「金だから値上がりする」と、500万円ほどの18金製の仏鈴(おりん)など、金でできた仏具を購入した場合、本当に非課税となるのでしょうか。本記事では、仏具と相続税の関係について、国税庁の規定をもとに解説します。
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仏具や墓地は原則として相続税の非課税財産
相続税の計算において、原則として墓地・仏壇・仏具などの「祭祀(さいし)財産」は含まれない仕組みです。相続税法第12条では、墓所、霊びょうおよび祭具ならびにこれらに準ずるものの価額は、相続税の課税価格に算入しないと規定されています。
また、国税庁のタックスアンサー「No.4108 相続税がかからない財産」においても、墓地や墓石、仏壇、仏具、神を祭る道具など日常礼拝をしている物は、相続税がかからない財産の1つとして紹介されています。
そのため、生前に仏具などを購入しておくと、その分、課税対象となる現預金が減り、相続財産を圧縮する効果が見込めます。例えば、現金預金5000万円のうち300万円分を使って生前に仏壇や仏具一式をそろえれば、その300万円部分は相続税の対象外となり、残り4700万円をベースに相続税の計算が行われる仕組みです。
ただし、相続発生後に相続人が購入した仏具は、被相続人の相続税の計算には影響せず、節税効果はありません。相続税対策として活用するのであれば、生前に現金で支払いを終えておくことが基本となります。
「金の仏具」は非課税と認められない可能性も
ただし、全ての仏具・仏像が非課税となるわけではない点にも留意が必要です。前記の国税庁「No.4108 相続税がかからない財産」には、ただし書きとして「骨とう的価値があるなど投資の対象となるものや商品として所有しているものは相続税がかかります」との記載があります。
また、相続税法基本通達12-2には、仏壇・仏具・仏像・位はいなどであっても、日常礼拝の用に供しているものが非課税の対象であり、商品、骨とう品、投資の対象として所有するものは含まれないとの規定があります。
つまり、同じ「仏具」であっても、購入の目的や性質によって取り扱いが変わる仕組みです。両親のように「金だから今後値上がりする」との理由で、500万円もの18金製の仏鈴を購入した場合、投資の対象や換金性の高い資産と判断される可能性があります。
日常の礼拝に用いる仏具ではなく投資資産とみなされた場合、非課税の取り扱いが認められないケースもあるでしょう。非課税と認められなければ、ほかの財産と同様に相続税が課されます。
金の仏具を購入する前に押さえておきたい点
非課税財産として認められなかった場合、本来納めるべき相続税に加え、加算税や延滞税といったペナルティが発生する可能性もあります。
相続発生時に金の仏具を売却しようとしても、購入価格と同額で買い取ってもらえるとは限りません。「金だから値上がりする」との思惑通りにならないケースも十分あり得るでしょう。
加えて、墓地や仏具の購入のために組んだローンは、相続税の計算上、債務控除の対象にはなりません。つまり、亡くなった時点でローンが残っていた場合、その残額を相続財産から差し引くことができない点にも留意が必要です。
相続税対策として仏具の購入を検討するのであれば、本来の日常礼拝の用途を踏まえ、生前に現金で支払いを完了させておくのが基本的な考え方といえます。
まとめ
仏具は原則として相続税の非課税財産ですが、500万円もの18金製の仏鈴のように、換金性の高さや投資対象としての性格が目立つ場合、非課税として認められない可能性もあります。
税務署に否認されれば、相続税に加え、加算税や延滞税が発生しかねません。相続税対策として仏具の購入を検討する際は、家族でよく話し合いのうえ、本来の用途と金額のバランスを踏まえた判断が必要です。
出典
国税庁 No.4108 相続税がかからない財産
国税庁 〔墓所、霊びょう、祭具等関係〕
国税庁 No.4205 相続税の申告と納税
国税庁 No.4126 相続財産から控除できる債務
執筆者 : 金子賢司
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