一人っ子です。親の遺産は株や投資信託が中心と聞いていますが、相続税を支払う現金がなかった場合、相続した株を売却して納税すればいいのでしょうか?

配信日: 2026.05.20
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一人っ子です。親の遺産は株や投資信託が中心と聞いていますが、相続税を支払う現金がなかった場合、相続した株を売却して納税すればいいのでしょうか?
親の遺産が株や投資信託に偏っていると、相続の手続きだけでなく、相続税の支払いについても不安を感じやすいものです。特に一人っ子の場合、ほかの相続人と話し合う場面は少ない一方で、財産の確認や納税資金の準備を自分で進める必要があります。
 
株や投資信託は現金とは違い、手続きや価格の変動に注意しながら扱わなければなりません。そこで本記事では、相続税を支払う現金がない場合に、相続した株や投資信託をどう扱えばよいのかについて解説します。
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相続税は現金で納めるのが原則

相続税は、原則として現金で納めます。申告と納税の期限は、通常、親が亡くなったことを知った日の翌日から10ヶ月以内です。この期限までに申告しても、納税が遅れると延滞税がかかる場合があります。
 
ただし、すべての相続で相続税がかかるわけではありません。遺産の合計額が基礎控除額以下であれば、相続税の申告も納税も不要です。基礎控除額は、「3000万円+600万円×法定相続人の数」で計算します。相続人が一人っ子1人だけであれば、基礎控除額は3600万円です。遺産がこの金額を超えるかどうかを、まず確認しましょう。
 

相続した株や投資信託を売って納税することはできる

相続税を払う現金がない場合、相続した株や投資信託を売却し、その代金で納税することは可能です。実際に、遺産の多くが有価証券の場合は、必要な分だけ売って納税資金を作るケースがあります。
 
ただし、相続後すぐに売却できるとはかぎりません。まず証券会社で相続手続きを行い、親名義の口座から自分名義の口座へ株や投資信託を移す必要があります。
 
手続きでは、戸籍関係の書類や遺産分割協議書、本人確認書類などの提出を求められるのが一般的です。一人っ子でほかに相続人がいない場合でも、証券会社ごとに求められる書類は異なります。そのため、早めに金融機関へ連絡して、手続きにかかる日数を確認しておくとよいでしょう。
 

売却前に確認したい価格変動と税金の注意点

株や投資信託は、相続税の計算に使う評価額と、実際に売却できる金額が一致するとはかぎりません。上場株式は、死亡日の終値のほか、死亡日の属する月、前月、前々月の各月終値の月平均額も確認し、そのなかで最も低い価額などで評価します。
 
投資信託は、相続時に解約や買い取りをしたと仮定した場合に受け取れる金額をもとに評価します。一般的な投資信託では、基準価額や信託財産留保額などを確認して計算します。
 
ここで注意したいのは、相続税の評価後に相場が下がることです。例えば、相続税の計算では1000万円と評価された株が、納税前に800万円まで下がることがあります。
 
そうなると、売却しても想定していた現金を用意できず、納税資金が不足するかもしれません。そのため、納税資金に使う予定の株は、値動きを確認しながら、必要額を早めに確保しておくことが大切です。
 
また、相続した株を売却して利益が出た場合は、譲渡所得として所得税や住民税の対象になることがあります。利益の計算では、亡くなった親の購入価格を取得費として引き継ぐのが原則です。
 
そのため、親がかなり安い時期に買った株ほど利益が大きくなりやすく、税負担も増える可能性があります。売却益を事前に見積もるためにも、証券会社の取引履歴や取得単価を確認しておきましょう。
 
どうしても現金で一括納付できない場合には、「延納」という制度もあります。延納は、一定の条件を満たすと相続税を年払いで納められる制度です。ただし、利子税がかかり、担保が必要になる場合もあります。
 
さらに、延納でも納付が難しい場合は、相続財産そのもので納める「物納」という制度もありますが、要件が厳しいうえに、希望すれば必ず認められる制度ではありません。
 

早めに納税資金を見積もって落ち着いて対応しよう

相続税を支払う現金がない場合でも、相続した株や投資信託を売却して納税資金に充てることは可能です。ただし、売却する前には、名義変更の手続きや相場の変動、売却益にかかる税金を確認する必要があります。特に株や投資信託は価格が日々変わるため、納税期限が近づいてから慌てて売ると、想定より少ない金額しか用意できないこともあります。
 
納税資金で困らないためには、遺産総額と相続税の見込み額を把握し、どの資産をどの程度現金化するかを整理しておくことが大切です。不安がある場合は、早めに税理士や証券会社へ相談し、余裕を持って納税準備を進めましょう。
 

出典

国税庁 No.4205 相続税の申告と納税
国税庁 No.4632 上場株式の評価
国税庁 No.4644 貸付信託・証券投資信託の評価
国税庁 No.4211 相続税の延納
国税庁 No.4214 相続税の物納
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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