更新日: 2019.08.11 その他相続
親が事業をやっている人は、帰省時に「相続」の話とは別に「家族信託」を検討しよう!
事業として、経営する必要があることを理解されていますか?
親が認知症になってしまったら、事業はどうなるのかを理解しておいたほうが良いと考えます。
執筆者:岡田文徳(おかだふみのり)
認知症大家対策アドバイザー
人生100年時代を生き抜くために大家さんの認知症対策と不動産賃貸経営のサポートを行なっている。
祖父が認知症になり、お金が下ろせない、賃貸業はストップ、収益の出ない物件を買わされそうになる。
祖父の死後、両親と認知症対策を行い、自ら賃貸経営ノウハウや人脈を構築し、日々改善している。
現在は、大家さん向けにセミナーやコンサルティングを行なっています。
目次
帰省時に話すべきことは、相続の話だけではない。
帰省時に相続の話をしたいという人は多いと思います。相続の話をすることは大切なことです。ただ、相続の話だけでは不足しています。
親が事業をやられている場合は、相続だけでなく、事業の承継についても話をしておかなければなりません。
事業というと、会社を経営している、個人商店を営んでいるといったことが頭に浮かぶと思います。うちは、事業なんて大それたものはやっていないから大丈夫、という人はいるかもしれません。本当でしょうか? 確認しておきましょう!
賃貸不動産を所有していれば、立派な事業である。
事業であるとは思っていないけれども、事業であることがあります。その一つが賃貸不動産です。自宅の不動産を所有しているだけでは、事業とはいえませんが、不動産を所有し、他人に貸し出しているのであれば、不動産賃貸業という立派な事業です。
なぜなら、不動産賃貸業は、入居者に入ってもらって、はじめて賃料という収入を得ることができるからです。入居者が生活するための、さまざまな設備などもそろえなければなりません。
設備などは、減価償却費という形で経費にすることができます。事業であると認識されているからこそ、経費が認められるのです。
個人で不動産賃貸業をやられている人は、確定申告書を確認してください。青色申告している場合には、必ず経費として、計上されているはずです。
つまり、不動産賃貸業として、経営していく必要があります。何もせずに待っていれば、入居者が入ってくるものではありません。勝手に収入が得られるものではないということを理解するべきでしょう。
【PR】「相続の手続き何にからやれば...」それならプロにおまかせ!年間7万件突破まずは無料診断
不動産賃貸業という事業と捉えると、事業承継が必要である。
不動産賃貸業を事業として考えると、経営してく必要があります。経営方針、経営戦略といった経営に関するところ、入居者とのやりとりなどの実務的なところなど、さまざまなことをやらなければなりません。
相続によって、不動産をモノとしてもらったとして、突然、経営してくださいと言われても、経営することができるでしょうか?
いきなり経営者になっても、何をして良いのかわかりません。誰に聞けば良いかもわかりません。
実際、本人は自分がやってきたことなので、難しいとは思っていません。自分ができたのだから、何も言わなくても家族はできるだろう、と親は考えています。
しかし、それは間違いです。親が何も伝えていなければ、子は何もできません。相続した家族は、ゼロから不動産賃貸業をやらなければなりません。非常に大変です。
そのため、本人が健在であるうちから、少しずつ経営の仕方、人脈、ノウハウを承継していくことをおすすめします。
設備、原状回復、修繕などの相場を知っておくことは、重要です。場合によっては経営改善を行うことが必要かもしれません。
相続が発生するまで、本人が認知症になるまでは、一緒に経営していくことが重要です。
事業承継のために、家族信託という選択肢がある。
事業をやっている場合には、家族以外にも関わる人がいます。ファミリーだけの個人商店をやっていたとしても、最終的にお金を払ってくれる人、取引先などがいます。
本人が認知症になってしまったとしたら、契約ができませんから、取引先と取引ができなくなります。取引先にお金を支払うこともできなくなります。お金を支払ってもらえないところと取引をするでしょうか?
つまり、本人が認知症になることによって、迷惑がかかる取引先が多いということです。そのため、迷惑がかからないように、スムーズに取引ができるようにしておくことが必要であると考えます。その方法の一つとして、家族信託という方法があります。事業をやっている人の場合には、検討しても良いと考えます。
まとめると、
・賃貸不動産は、不動産賃貸業という事業である。
・事業には、事業承継が必要である。
・事業だからこそ、認知症対策は必要である。
出典:国税庁HP「No.1370 不動産収入を受け取ったとき(不動産所得)」
執筆者:岡田文徳
認知症大家対策アドバイザー