相続人全員が放棄してしまって残った「財産」放棄された財産はどこに

配信日: 2019.12.17

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相続人全員が放棄してしまって残った「財産」放棄された財産はどこに
親の相続を放棄する。いとこたちが次々と放棄する。相続人全員が放棄してしまい、相続する者がいなくなった。
それで終了?では、放棄された財産はどうなるのでしょうか。
林智慮

執筆者:林智慮(はやし ちりよ)

CFP(R)認定者

確定拠出年金相談ねっと認定FP
大学(工学部)卒業後、橋梁設計の会社で設計業務に携わる。結婚で専業主婦となるが夫の独立を機に経理・総務に転身。事業と家庭のファイナンシャル・プランナーとなる。コーチング資格も習得し、金銭面だけでなく心の面からも「幸せに生きる」サポートをしている。4人の子の母。保険や金融商品を売らない独立系ファイナンシャル・プランナー。

相続財産管理人は申し立てをしないと選任されない

相続人がいるかいないか分からないときや、相続人が全員相続放棄して相続する者がいなくなったとき、利害関係のある人からの申し立てにより、家庭裁判所は相続財産管理人を選任します。
 
相続財産管理人は、被相続人の財産を清算し、債権者に対し債務の支払いをします。清算後残った財産があれば、国庫に帰属させます。被相続と特別の縁故にあった者(特別縁故者)からの申し立てに、相続財産分与がなされる場合もあります。
 
申立人は、利害関係人や検察官です。利害関係人とは、被相続人の債権者や特定遺贈を受けた者、特別縁故者などです。身寄りのない友人をみとったけど、遺言状は何もない。被相続人の最後の住所地の家庭裁判所に申し立てをします。

申し立てに必要な費用

申し立てに必要な費用は以下のとおりです。
 
・収入印紙800円分
・連絡用の郵便切手
 
裁判所ごとに異なりますが、例えば岐阜地方裁判所の場合は以下のようになります。
 
◎相続財産管理人選任(相続人不存在)の場合……500円×2枚 100円×3枚 84円×5枚 10円×5枚 5円×2枚   計1780円
 
◎特別縁故者に対する相続財産分与の場合・・・500×4枚 84×8枚 10円×4枚   計2712円
 
・官報公告料4230円(家庭裁判所の指示があってから納めます)
 
相続財産管理人の報酬は、相続財産から支払われます。しかし、財産が少なく報酬が支払われないと見込まれるときは、予納金の納付が必要になることがあります。申立人が納めた予納金を財産管理人の報酬にするためです。

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申し立てに必要な書類

「家事審判申立書 事件名(相続財産管理人選任)」を提出します。
標準的な申し立てに添付する書類は以下のものです。
 
・被相続人の出生時から死亡時までの全ての戸籍(除籍、改正原戸籍)謄本
・被相続人の父母の出生時から死亡時までの全ての戸籍(除籍、改正原戸籍)謄本
・被相続人の子(およびその代襲者)で死亡している方がいる場合、その子(およびその代襲者)の出生時から死亡時までの全ての戸籍(除籍、改正原戸籍)謄本
 
・被相続人の出生時から死亡時までの全ての戸籍(除籍、改正原戸籍)謄本
・被相続人の直系尊属の死亡の記載のある戸籍(除籍、改正原戸籍)謄本
・被相続人の出生時から死亡時までの全ての戸籍(除籍、改正原戸籍)謄本
 
・被相続人の兄弟姉妹で死亡している方がいる場合、その兄弟姉妹の出生時から死亡時までの全ての戸籍(除籍、改正原戸籍)謄本
・代襲者としてのおいめいで死亡している方がいる場合、そのおいまたはめいの死亡の記載がある戸籍(除籍、改正原戸籍)謄本
・被相続人の住民票除票または戸籍附票
 
・財産を証する資料(不動産登記事項証明書(未登記の場合は固定資産評価証明書)、預貯金および有価証券の残高が分かる書類(通帳写し、残高証明書)等)
・利害関係人からの申し立ての場合、利害関係を証する資料(戸籍謄本(全部事項証明書)、金銭消費貸借契約書写し等)
・財産管理人の候補者がある場合はその住民票または戸籍附票

申し立てをした後の手続き

家庭裁判所は、相続財産管理人選任の審判をしたときは、相続財産管理人が選任されたことを知らせるための公告をします。
 
選任された公告から2ヶ月が経過してから……
財産管理人は、相続財産の債権者・受遺者を確認するための公告をします。
 
相続財産の債権者・受遺者を確認する公告から2ヶ月が経過してから……
家庭裁判所は財産管理人の申し立てにより、相続人を探すため、6ヶ月以上の期間を決め、公告します。期間終了までに相続人が現れなければ、相続人がいないことが確定します。
 
上記の6ヶ月の期間が満了後3ヶ月以内に……
「特別縁故者に対する相続財産分与」の申し立てがされることがあります。期間が決められているため、該当する場合は官報を確認、相続財産管理人に問い合わせをします。
 
必要であれば、財産管理人は、家庭裁判所の許可を得て、被相続人の不動産や株を売却し、金銭に換えることもできます。
 
財産管理人は、法律に従って債権者や受遺者への支払いをしたり、特別縁故者に対する相続財産を分与したりするための手続きをします。
 
支払いをして相続財産が残ったら、国庫に引き継いで手続きが終了します。
 
(参照、引用)
裁判所「相続財産管理人の選任」
岐阜家庭裁判所「申立時に必要な郵便切手・収入印紙一覧表」
 
執筆者:林智慮
CFP(R)認定者

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