相続で揉めがちな<遺産分割>について
配信日: 2020.02.23 更新日: 2020.04.07
執筆者:岡田文徳(おかだふみのり)
認知症大家対策アドバイザー
人生100年時代を生き抜くために大家さんの認知症対策と不動産賃貸経営のサポートを行なっている。
祖父が認知症になり、お金が下ろせない、賃貸業はストップ、収益の出ない物件を買わされそうになる。
祖父の死後、両親と認知症対策を行い、自ら賃貸経営ノウハウや人脈を構築し、日々改善している。
現在は、大家さん向けにセミナーやコンサルティングを行なっています。
相続時の遺産分割に気をつける
まず、相続で確認しておきたいのが遺産分割です。遺言書があっても遺留分や寄与分を巡って親族でもめることがありますが、ないと余計にもめることが多くなります。そのため、遺言書の用意が重要です。遺言書がなければ、相続人たちで遺産分割協議を行い、民法で定められた法定相続分で相続するということが考えられます。
このとき、相続人となる人が誰かを把握することが重要です。
・配偶者
・配偶者以外は次に示す順位に該当する人
第1順位:子(直系卑属)
第2順位:親(直系尊属)
第3順位:兄弟姉妹
配偶者は必ず相続人になります。配偶者以外であれば、第1順位の人が存在すると、第2順位の人に相続する権利はなくなります。配偶者以外は、順位が重要だということです。さて、法定相続分は、以下のようになります。
第1順位の場合、
配偶者:1/2
第1順位:1/2
第1順位が複数人いる場合には、1/2を複数人で分ける。
第2順位の場合、
配偶者:2/3
第2順位:1/3
第2順位が複数人いる場合には、1/3を複数人で分ける。
第3順位の場合、
配偶者:3/4
第2順位:1/4
第3順位が複数人いる場合には、1/4を複数人で分ける。
自分や親族がどの順位になるのかを確認しておきましょう。
分けられるものと分けられないもの
相続時には、遺産の総額を算出することになります。法定相続分どおりに遺産を簡単に分けられるかというと、現実的には「難しいことが多い」といわざるを得ません。遺産には、分けられるものと分けられないものがあるからです。
金銭、預貯金なら分けることができますが、不動産の建物そのものを分けるのは難しいでしょう。そこで、もめないように不動産の名義を共有にすることがあります。具体的には、以下のとおりです。
不動産の1/2分を配偶者
不動産の1/4分を子A
不動産の1/4分を子B
とすることによって、建物の持ち分を法定相続分で分ける方法です。法定相続分で分けているので、一見良さそうに思うかもしれませんが、問題を先送りしたにすぎません。不動産を共有持ち分にしてしまうと、その後が大変だからです。
例えば不動産を売却するとき、不動産の持ち分を所有している全員が承諾しなければ、不動産の売却ができません。1人でも反対したら、売却できないということです。理論上、不動産の持ち分を売却することは可能ですが、購入者がいるとは思えません。
また、不動産の持ち分を所有している1人が認知症になってしまった場合、売却するどころではなく、ほとんど何もできなくなってしまいます。不動産を共有持ち分にすると、後々面倒なことになりかねません。
遺産相続が発生しそうなときは、上記に述べた事項を確認しておくようにしましょう。
出典 (※)国税庁「No.4132 相続人の範囲と法定相続分」
執筆者:岡田文徳
認知症大家対策アドバイザー
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