更新日: 2020.09.19 その他相続
争続になる前に、相続の基本をおさえておきましょう!
何度も相続を受けるという方は少なく、初めてというケースがほとんどです。まずは相続の基本を知っておくことが大切です。
執筆者:藤井亜也(ふじい あや)
株式会社COCO PLAN (ココプラン) 代表取締役社長
教育カウンセラー、派遣コーディネーター、秘書等、様々な職種を経験した後、マネーセンスを磨きたいと思い、ファイナンシャルプランナーの資格を取得。
「お金の不安を解決するサポートがしたい」、「夢の実現を応援したい」という想いからCOCO PLANを設立。
独立系FPとして個別相談、マネーセミナー、執筆業など幅広く活動中。
<保有資格>
2級ファイナンシャル・プランニング技能士、ファイナンシャルプランナー(AFP) 、住宅ローンアドバイザー、プライベートバンカー、相続診断士、日本心理学会認定心理士、生理人類学士、秘書技能検定、日商簿記検定、(産業カウンセラー、心理相談員)
<著書>
「今からはじめる 理想のセカンドライフを叶えるお金の作り方 (女性FPが作ったやさしい教科書)」※2019年1月15日発売予定
相続の順位と法定相続分
●相続の順位
意外と皆さんご存じないのは、相続の順位があるということです。詳しく確認していきましょう。
相続には民法で定められた法定相続分があります。相続人が被相続人(亡くなられた方)から承継する原則的な相続分です。被相続人に配偶者がいる場合、必ず配偶者は相続人となります。ここからは、血族相続人の中で順位があります。
第1順位(配偶者・子)
第2順位(直系尊属)
第3順位(兄弟姉妹)
被相続人に子がいる場合、相続人は配偶者と子となり、これが第1順位です。もし、子がいない場合は第2順位の直系尊属となります。
直系尊属とは被相続人の父母、父母が亡くなられていて祖父母がご存命の場合、祖父母となります(尊属とは目上の人を意味します)。直系尊属がいない場合、第3順位の兄弟姉妹となります。被相続人の兄弟姉妹です。
相続する割合も決まっています。ただし、この割合は必ず従うべきものではなく、あくまで目安です。実際には相続人で話し合いにより取得する財産割合を決定します。
●法定相続分
配偶者 1/2 子 1/2
配偶者 2/3 直系尊属 1/3
配偶者 3/4 兄弟姉妹 1/4
この相続の順位や割合は、話し合いの中でも参考になりますので確認しておくと良いでしょう。この法定相続分を意識して、相続財産を分けて相続するという内容を遺言などに残しておくと、争いごとの軽減につながります。
遺留分とは
相続する方は「遺言」でご自身の意思を相続人に伝えることができます。遺言は人の生前における最終的な意思表示を尊重し、法律で保護し、遺言者の死後にその意思を実現させるものです。
ただし、遺言に「すべての財産を○○に相続する」と書いてあったらどうでしょう。遺言者の意志に従い、すべての財産を指定された人に相続してしまうことで、残されたご家族が生活できなくなってしまう可能性もあります。
そうならないために、「遺留分」があります。遺留分とは、被相続人が相続人に対して遺さなければならない相続財産のうちの一定の割合です。遺留分の割合は2つあります。
(1)直系尊属のみが相続人である場合 1/3
(2)(1)以外の場合 1/2
(注:兄弟姉妹には遺留分はありません)
あまりに相続の割合がかたよってしまうと、相続人の間で争うことになってしまいます。遺留分も確認しておくポイントです。
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新たな制度
相続法が改正になり、2019年7月1日以降に開始した相続について「特別寄与料」が請求できるようになりました。
特別寄与料とは、被相続人に対して無償で療養看護その他の労務の提供をしたことにより、被相続人の財産の維持または増加について特別の寄与をした被相続人の親族は、相続人に対し、特別寄与者の寄与に応じた金額(特別寄与料)の支払いを請求できます。
例えば、被相続人の子どもの配偶者が被相続人の療養看護をしていた場合、子どもの配偶者は相続人ではないのですが、寄与に応じた金額を請求することができます。夫の親の介護を妻がしているといったケースは多いと思います。介護をしていた妻にも特別寄与料請求の権利ができたということです。
法定相続分(割合)や遺留分、特別寄与料などを理解しておくことで相続を考える際の参考になります。相続の基本を知り、相続対策に役立てていただきたいと思います。
執筆者:藤井亜也
株式会社COCO PLAN (ココプラン) 代表取締役社長