2018.12.11 保険

いつどこで起こるか分からない災害 万が一に備えての保険金の請求手続きとは

執筆者 : 高橋庸夫

大規模な地震や津波などで被災した場合、状況によっては自宅が倒壊し、すべての家財とともに損害保険や生命保険の保険証券、印鑑などがなくなってしまうことも想定されます。
 
これまで、万が一の事態に備えて、せっかく準備してきた保険契約の内容が全く分からなくなってしまったら、途方に暮れてしまうこともあるでしょう。
 
そんなときのために、被災時の保険金請求の手続き方法について確認しておきましょう。
 

「災害救助法」とは?

「災害救助法」とは、災害の際に、国が地方公共団体やその他団体の協力のもとに、応急的に必要な救助を行い、被災者保護と社会秩序の保全を図ることを目的とする法律です。これにより、被災者収容施設の供与、炊き出し、医療などの救助活動が実施されます。
 
災害救助法は、市町村または都道府県の人口に応じた一定数以上の住家の滅失などがある場合や、多数の者が生命や身体に危害を受けたり、受けるおそれが生じた場合に、継続的に適用されます。
 
そして、災害救助法が適用されると、保険会社では保険金の請求手続きや保険料の払い込み猶予などの特別措置をとります。
 
ちなみに、平成30年に災害救助法適用地域となった地域は以下の通りです(11月30日現在)。
(1)大雪による被害地域【福井県】
(2)豪雪にかかる被害地域【新潟県】
(3)大阪府北部を震源とする地震にかかる被害地域【大阪府】
(4)豪雨にかかる被害地域【高知県、鳥取県、広島県、岡山県、京都府、兵庫県、愛媛県、岐阜県、福岡県、島根県、山口県】
(5)大雨にかかる被害地域【山形県】
(6)北海道胆振東部地震にかかる被害地域【北海道】
 

損害保険の請求手続き

災害救助法が適用された地域で被災し、損害保険契約の手がかりとなるものをなくしてしまった場合に、電話で契約内容などの照会に応じる「自然災害等損保契約照会制度」があります。
 
連絡先は、一般社団法人 日本損害保険協会「自然災害等損保契約照会センター」です。
 
火災保険や地震保険の保険金の請求手続きには、通常、保険金請求書、損害状況報告書、印鑑証明書、り災証明書などが必要となります。
 
り災証明書は、被災者からの申請により市区町村が現地調査などを行い、調査結果に基づき、各被災者支援制度の適用のために発行される証明書です。
 
また、損害の程度などを確認するため、写真などを求められる場合もあるので、スマホや携帯電話で被災状況の写真を残すことを覚えておきましょう。
 
なお、地震、噴火・津波により被災した自動車については、自動車保険の車両保険の対象とはなりません。車両保険によっては、「地震・噴火・津波危険車両全損時一時金特約」を付保することで、一時金(50万円程度)が支払われます。
 

生命保険の請求手続き

損害保険と同様に、災害救助法が適用された地域で、被災した人の加入していた保険内容などが分からない場合に、電話で保険契約の内容を問い合わせできる連絡先として一般社団法人 生命保険協会の「災害地域生保契約照会センター」があります。
 
もちろん、保険証券や印鑑などがなくなったとしても、所定の手続きをすることで保険金の請求が可能となります。
 
通常、生命保険契約の約款には、保険金の「支払い事由が地震や津波の場合は、災害時に上乗せされる保険金や入院給付金などが減額・免責される」といった内容の免責条項が記載されています。
 
しかし、大規模災害の被災者に対しては、特別に免責条項を適用せず、保険金や給付金を全額支払う取り扱いが実施されることがあります。
 
この特別取り扱いの対象は、災害死亡保険金、災害入院給付金、手術給付金、通院給付金、先進医療給付金などとともに、保険料払い込み免除も対象とされます。
 
また、被災により、生命保険の保険料払い込みが困難となった場合に、保険料払い込み猶予期間が延長される場合があります。
 
災害救助法が適用される地域においては、通常は6ヶ月間延長とされますが、東日本大震災のときには被災地の状況などが考慮され、さらに3ヶ月間延長の追加措置が実施されました。
 
いつどこで起こるか分からない災害。いざというときに慌てることのないよう、日頃から災害時の保険金の請求手続きについて、心の隅にとめておいていただければ幸いです。
 
Text:高橋 庸夫(たかはし つねお)
ファイナンシャル・プランナー
 

高橋庸夫

執筆者:高橋庸夫(たかはし つねお)

ファイナンシャル・プランナー

住宅ローンアドバイザー ,宅地建物取引士, マンション管理士, 防災士
サラリーマン生活24年、その間10回以上の転勤を経験し、全国各所に居住。早期退職後は、新たな知識習得に貪欲に努めるとともに、自らが経験した「サラリーマンの退職、住宅ローン、子育て教育、資産運用」などの実体験をベースとして、個別相談、セミナー講師など精力的に活動。また、マンション管理士として管理組合運営や役員やマンション居住者への支援を実施。妻と長女と犬1匹。