2019.01.14 保険

「病気やけがなどにより収入が途絶えてしまった」 介護保険の仕組みについて解説!

執筆者 : 菊原浩司

「病気やけがなどにより収入が途絶えてしまった」。これは患者本人だけの問題ではなく、介護のために家族も失職してしまうケースが含まれます。
 
こうした場合に備えて、公的な介護保険や障害者手帳の取得、障害年金などの公的な支援制度が整備されています。今回は介護保険に焦点を当て、万が一の場合は、どのようなケアやサービスを受けることができるのかを説明していきます。
 

【介護保険制度の概要】

介護保険は公的な健康保険の一部で、市町村が保険の給付を行います。
 
加入者は65歳以上の「第1号被保険者」、40歳以上65歳未満の「第2号被保険者」に区分されます。
 
40歳以上になると介護保険料の支払いが始まりますが、その保険料は加入している医療保険制度によって異なります。協会けんぽの場合、介護保険料は全国一律ですが、国民健康保険の場合は、支払っている住民税の額により市町村で異なります。
 
介護保険は、病気などで日常生活にケアが必要になった場合に生じる費用に対して、給付を受けることができますが、自己負担額が設定されています。自己負担額は、従来は2割上限でしたが、2018年8月から自己負担額の引き上げが行われ、一定所得者の場合は3割負担となりました。
 
ただ、健康保険と同様に高額介護サービス費の自己負担限度額が設定されており、自己負担額の上限は月額最大で4万4400円となっています。高額介護サービス費の支給を受けるには市町村の介護福祉担当課への申請が必要となります。
 

【要支援・要介護状態について】

介護保険のサポート内容を決める「要支援」「要介護」は、その症状に応じて「要支援1→2→要介護1→2→3→4→5」の7段階に区分されています。
 
まず、「要支援」は、現状日常生活は問題なく送れるものの、将来的に介護が必要となると判断される場合が該当します。この場合、介護が必要となる状態になるのを遅らせるためのデイサービスの利用に対して、予防給付が支給されます。
 
次に、「要介護」状態は、日常生活を送るのに一人では困難になった場合が該当します。この場合、介護給付が支給され、特別養護老人ホーム(特養)や介護老人保健施設などの施設サービスを受けることができます。
 

【介護保険の受給権と申請】

65歳以上の第1号被保険者と40歳以上65歳未満の第2号被保険者は、介護保険の受給要件を満たす条件が大きく異なっています。
 
第1号被保険者の場合、原因を問わず、要支援・要介護状態となった場合に受給権が生じますが、第2号被保険者の場合、「特定疾病」(末期がん・脳血管疾患・関節リウマチなどの加齢に起因する疾病)により要介護・要支援状態となった場合にのみ受給権が生じます。
 
受給権が発生し、介護保険の給付を受ける場合には、要支援・要介護の認定を受ける必要があります。
 
この認定までの流れは、まず市町村に申請書の提出を行い、その後、市町村職員と認定を受けようとする被保険者本人の面接、住居などを含む環境の調査、主治医の意見聴取により、介護認定審査会が審査・判定を行います。
 
認定の結果が出るまでは最大で30日かかり、認定が得られた場合は申請があった日に遡って効力が発生します。
 
こうした理由から、介護保険の申請はできるだけ速やかに行うことが望ましいと言えます。また、認定内容や保険料などに不服がある場合、認定完了後3ヶ月以内ならば、介護保険審査委員会に審査請求を行うことができます。
 

【まとめ】

介護保険は老人ホームなどの施設に通う費用の給付と思われがちですが、自宅で利用する「居宅サービス」に関しても給付を受けることができます。
 
訪問介護やリハビリテーションのほか、自宅で介護生活を送れるように住宅を改修する費用の助成、車椅子・介護用ベッドといった介護用品のレンタルなど、さまざまな支援を受けることができます。
 
こうした介護用品は症状の進行・改善具合によって必要な物かどうかが異なるので、レンタルで済ませてしまった方がお得です。また、自宅の改修というと大きな工事が必要と思われますが、着脱可能な簡易的な手すりなどもありますので、費用もグッと抑えることができます。
 
介護保険は、障害年金などのほかの公的保険と比べて認定も受けやすいので、該当する傷病が発生した際には、真っ先に申請を検討したい制度です。
 
Text:菊原浩司(きくはらこうじ)
FPオフィス Conserve&Investment代表
 
関連記事
■ねんきん定期便に記載されている公的年金額がそのまま受け取れないかもしれない理由は?
■介護サービスを利用した時の自己負担が2割・3割の人は、サービスを減らすしかないのか
■2018年介護費用の負担が大きくなる?その対象はこんな人

\ この記事を共有しよう!/

菊原浩司

執筆者:菊原浩司(きくはらこうじ)

FPオフィス Conserve&Investment代表

2級ファイナンシャルプランニング技能士、管理業務主任者、第一種証券外務員、ビジネス法務リーダー、ビジネス会計検定2級
製造業の品質・コスト・納期管理業務を経験し、Plan(計画)→ Do(実行)→ Check(評価)→ Act(改善)のPDCAサイクルを重視したコンサルタント業務を行っています。
特に人生で最も高額な買い物である不動産と各種保険は人生の資金計画に大きな影響を与えます。
資金計画やリスク管理の乱れは最終的に老後貧困・老後破たんとして表れます。
独立系ファイナンシャルプランナーとして顧客利益を最優先し、資金計画改善のお手伝いをしていきます。

http://conserve-investment.livedoor.biz/