最終更新日: 2019.06.14 公開日: 2019.04.03
保険

民法改正で変化する保険の形

執筆者 : 村井英一

私たちの生活におけるルールを定めている「民法」は、その多くが明治時代に制定された内容のままでしたので、近年、順次改正がなされています。一昨年に債権や契約に関わる部分が、昨年には相続に関わる部分の改正が、国会で成立しました。
 
この債権や契約に関わる部分は、『債権法』『契約法』とも呼ばれており、来年(2020年)4月1日から改正が実行(施行)されます。これらの改正は保険にも無関係ではありません。
 
 
村井英一

執筆者:

執筆者:村井英一(むらい えいいち)

国際公認投資アナリスト

1級ファイナンシャル・プランニング技能士、日本証券アナリスト検定会員
大手証券会社で法人営業、個人営業、投資相談業務を担当。2004年にファイナンシャル・プランナーとして独立し、相談者の立場にたった顧客本位のコンサルタントを行う。特に、ライフプランニング、資産運用、住宅ローンなどを得意分野とする。近年は、ひきこもりや精神障害者家族の生活設計、高齢者介護の問題などに注力している。

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村井英一

執筆者:

執筆者:村井英一(むらい えいいち)

国際公認投資アナリスト

1級ファイナンシャル・プランニング技能士、日本証券アナリスト検定会員
大手証券会社で法人営業、個人営業、投資相談業務を担当。2004年にファイナンシャル・プランナーとして独立し、相談者の立場にたった顧客本位のコンサルタントを行う。特に、ライフプランニング、資産運用、住宅ローンなどを得意分野とする。近年は、ひきこもりや精神障害者家族の生活設計、高齢者介護の問題などに注力している。

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「定型約款」についての規定が新設される

保険に限らず、携帯電話やネットショッピングなど、さまざまな事業者で多くの加入者と契約を結ぶことになりますが、そのたびに契約内容を加入者と協議するのは大変です。画一的な内容で、多数の人と取引をする場合は、定型の約款に契約内容を記載するのが一般的です。
 
今回の民法改正で、「定型約款を契約内容とする」と事前の提示がある場合や、両者が合意した場合は、1つ1つの条項を協議していなくても、「個別の条項に合意したもの」とみなすという規定が設けられました。
 
すると「約款」に、こちらに不利なことが書かれているのではないか、と心配になります。長く難しい約款の中に、加入者が不利になる条項を紛れ込ませているかもしれません。
 
そのような『手口』で一般の消費者が不利益を被らないよう、社会通念に照らして相手方の利益を一方的に害するような条項は、合意の範囲には含まれません。
 
約款の変更については、(1)加入者が有利となるもの、(2)契約の目的に反せず、変更が合理的なものである場合は、加入者の個別の承諾がなくてもできることになっています。
 
これらのことは、今までも判例で同様の解釈がなされていましたので、取り立てて『変更』があるわけではありませんが、今回改めて法律の条文として定められました。保険の契約についても同様で、この部分の改正によって変わることはありません。
 

消滅時効が整理・統合される

借金の返済はいつまで請求できるのか、ということについての規定が「消滅時効」です。これを過ぎると、支払いの催促はできなくなります。
 
友人からの借金は10年、銀行からだと5年、さらに、病院の診療代は3年、飲み屋のツケは1年など、まちまちに規定されていました。今回の民法改正で、「権利を行使できる時から10年」または「権利を行使できることを知った日から5年」に統一されました。
 
保険の場合は、保険加入者が死亡した、自動車事故を起こしたなどで、保険会社に保険金の支払いを請求できます。
 
その「時効」は、民法とは別の「保険法」によって3年と定められています。「保険金を請求できる時から3年」で、保険金を請求する権利は消滅してしまいます。民法の規定よりもかなり短くなっており、この点は今回の民法改正でも変わりません。
 
一般的な場合では、請求がこれほど遅れることはありませんが、本人が亡くなったものの、保険に加入していたことを家族が知らなかった、という場合にはあり得ます。普段から、加入している保険を家族に伝えておくことが大切です。
 

契約の成立時期が変更になる

契約は、一方の当事者が申込みをし、それに対して相手方が承諾すると成立します。保険契約であれば、顧客が申込みをし、保険会社が承諾して成立します。
 
今回の民法改正で、契約が成立する時点を、「承諾の意思表示を発信した時点」から「承諾の意思表示が申込者に届いた時点」に変更されました。
 
保険会社は保険契約を承諾すると、保険証券を発送します。今までは発送した時点で保険契約が成立していましたが、これからは保険証券が顧客に届いた時点となります。民法の改正によって、保険契約の成立時期は、今までよりも2~3日遅くなります。
 
では、保険証券が手元に届くまでは、事故が起きても保険金が出ないのかというと、そうではありません。保険会社では、顧客が申込書を提出した後、健康状態などの告知と初回保険料充当金の払込みが完了すれば、『保障』の対象としています。
 
保険の契約が成立するのは、保険会社が承諾してからとなりますが、保障については遡って適用するというわけです。
 
今回の民法改正で、保険契約の成立時期が数日遅くなりますが、保障の開始時期については今までと変わりません。なお、約款あるいは申込書に記載することで、今までどおりに「保険証券を発送した時点」を契約成立日とすることもできます。
 
執筆者:村井英一(むらい えいいち)
国際公認投資アナリスト
 

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