更新日: 2019.06.14 医療保険

友人が「持病のある人は医療保険に入ったほうが良い」これって本当?

友人が「持病のある人は医療保険に入ったほうが良い」これって本当?
若い時は健康に無頓着でもシニアになり手術などすると、医療保険に加入したいと思う方が多いようです。
 
このようなニーズに応えるため、限定告知型保険(引受基準緩和型保険・選択緩和型保険)といわれる医療保険が販売されています。持病のある人は、これらシニア向けの医療保険に加入したほうが良いか解説します。
 
新美昌也

執筆者:新美昌也(にいみ まさや)

ファイナンシャル・プランナー。

ライフプラン・キャッシュフロー分析に基づいた家計相談を得意とする。法人営業をしていた経験から経営者からの相談が多い。教育資金、住宅購入、年金、資産運用、保険、離婚のお金などをテーマとしたセミナーや個別相談も多数実施している。教育資金をテーマにした講演は延べ800校以上の高校で実施。
また、保険や介護のお金に詳しいファイナンシャル・プランナーとしてテレビや新聞、雑誌の取材にも多数協力している。共著に「これで安心!入院・介護のお金」(技術評論社)がある。
http://fp-trc.com/

限定告知型保険とは?

限定告知型保険(引受基準緩和型保険・選択緩和型保険)とは、医療保険に加入する時に医師による診査がなく、通常の医療保険に比べて健康状態に関する告知項目が3~5項目と限定されている保険をいいます。
 
某保険会社の健康状態に関する告知項目は以下の4項目になっています。
 
(1)最近3か月以内に、医師から入院・手術・検査のいずれかをすすめられたことがありますか。または、現在入院中ですか。
(2)最近3か月以内に、がんまたは上皮内新生物・慢性肝炎・肝硬変で、医師の診査・検査・治療・投薬のいずれかをうけたことがありますか。
(3)過去2年以内に、病気やケガで入院したこと、または手術を受けたことがありますか。
(4)過去5年以内に、がんまたは上皮内新生物で入院をしたこと、または手術をうけたことがありま
すか。
 
上記の告知事項に当てはまる項目がなければ、持病のある方や過去に入院・手術の経験のある方も、医師の診査なしで医療保険に加入できます。
 
その他の特徴としては、医療保険に加入前の病気の悪化や治療歴のある病気の再発なども入院・手術給付金の支払対象となる点です。ただし、加入前に医師から入院・手術を勧められていた場合は、支払い対象外です。
 

限定告知型保険のデメリット

契約後1年間は、給付金額が半額になるなど保障内容に制約があります(制約のない商品もあります)。一番のデメリットは保険料の高さでしょう。通常の医療保険に比べ保険料が2~3割程度割高です。
 
例えば、某保険会社の医療保険の場合、入院給付金日額5,000円、支払限度60日、終身保障、終身払の月払保険料は、通常の医療保険では60歳男性5,325円、60歳女性4,940円に対し、限定告知型は60歳男性7,693円、60歳女性5,838円となっています。
 
なお、2年前にがんの手術を受けたなど、限定告知型の医療保険の加入が難しいときは「無選択型」の医療保険もあります。無選択型は加入時に医師の診査や健康状態の告知もなく、誰でも加入できる保険です。ただし、その分、保険料はさらに割高になります。
 
また、今までにかかった病気に関連する病気では保険金が支払われないなど保障の制約がさらにきつくなっています。保険期間も5年など短く設定されています。
 

持病があっても通常の医療保険に加入できる場合がある

持病があると通常の医療保険に加入できないと思い込んでいませんか。通常の医療保険の加入時に傷病歴の告知をした場合、保険会社の対応としては3つが考えられます。「無条件引き受け」「条件付引き受け」「引き受け不可」のいずれかです。
 
判断基準は保険会社により異なります。同じ告知内容でもある保険会社では「無条件」ある保険会社では「条件付き」ということもあります。数社に申込んでみることをお勧めします。
 
条件が付いた場合でも、「1年間特定部位不担保(特定の部位に関する保障をしないという意味)」という条件であれば、1年経過後は通常の医療保険に加入したのと同じになります。
 
限定告知型保険を検討する前に、通常の医療保険に加入できるか検討しましょう。
 

そもそも医療保険に加入する必要はある?

入院・手術をした場合、健康保険などから治療費の給付があります。病院で治療を受けて窓口で支払う金額は、小学校入学後~69歳であれば、実際にかかった費用の3割です。この自己負担額が高額になった場合には、負担を軽減する「高額療養費制度」もあります。一般の方であれば約9万円を超えて医療費を負担することはありません。
 
その他の自己負担分としては、入院したときの食事代等の一部負担、差額ベッド代、雑費などがありますが、入院日数は短期化傾向にありますので、それほどかからないでしょう。
 
そうすると、病気やケガに備えるには貯蓄で備えることも可能と言えます。特に、保険料が割高で保障の制約もある限定告知型や無選択型に加入するよりも、自由に使える貯蓄で準備したほうがコスパが良いでしょう。
 
執筆者:新美昌也(にいみ まさや)
ファイナンシャル・プランナー。
 

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