更新日: 2019.06.13 生命保険

社会人になったら保険は必要?保険だけでなく貯蓄の仕組みを作ろう

社会人になったら保険は必要?保険だけでなく貯蓄の仕組みを作ろう
4月より新入社員になった方も入社から数ヶ月たつと収入と支出の大まかな額が把握できるでしょう。早いうちに積立などの自動的に貯蓄ができる仕組みを作りたいところです。
 
社会人になると保険の必要性を感じたり、また勧誘を受けたりすることもあります。保険料は毎月決まった額を支払いますので、あまり多いと家計に余裕がなくなることもあります。固定の支出は保険だけではありませんが、今回は保険を取り上げてみます。
 
田中栄二

執筆者:田中栄二(たなか えいじ)

AFP認定者 

2級DCプランナー
確定拠出年金相談ねっと 認定FP
福岡でのテニスコーチ業で、個々に適した伝え方や問題解決の基礎を学ぶ。その後「保険業は困ったときにこそ必ず人の役に立てる」と誘われ保険代理店の道へ。複数の保険会社・証券会社を取扱う会社に所属し、保障から資産運用までサポートしている。20年の保険業務と15年の証券業務の経験を持つ。「幸せな楽しい老後を送るための資金準備をしませんか?」の思いを伝えるべく確定拠出年金を活用した老後資金作りの相談やサポート業務、資産形成セミナーも行っている。

保険は本当に必要なものを選んで加入しよう

加入している保険料が高いので見てほしいという相談を20代の方から受けることがよくあります。生活が窮屈になるほどの保険料を毎月支払っている方もいらっしゃいます。
 
お話を聞いてみると
「社会人になったら保険に入るのは当然」
「早く入った方が得」
「こういうタイプの保険が売れている」
「貯金のつもりで」
 
などの言葉に背中を押され加入したそうです。
 
加入した保険商品の良し悪しではなく、自分の状況に合っているか、また希望通りの内容になっているかということが重要ではないかと思うのです。商品内容をよく理解せずに加入していることにも原因があります。
 
保険は必要な分だけ加入し、なるべく貯蓄にまわした方が将来の役に立つのではないでしょうか。保険はたくさん入っているけど貯金は全然できていない、なんてことにならないために考えてみましょう。
 

生命保険は必要?

そもそもなぜ生命保険は必要でしょうか。また、どういう種類があるのでしょうか。
 
亡くなった時に支払われるのが死亡保険です。残された遺族が、死亡保険金がないと生活していくうえで金銭的に困るのかどうかがポイントになります。
 
保険の受取人になれるご両親に尋ねてみると良いかもしれません。
 
「自分が死んだらいくらお金が必要?」
「バカなことを言うな!そんなもんいらん」って怒られそうですけど。
 
まだ若い自分の子供が亡くなるなんて考えたくもないのは当然ですよね。もし、受け取る側が困らないのであれば、基本的には死亡保険をかける必要はないのです。しかし、迷惑をかけたくないという思いから、葬式代やローンの残高くらいを保障額にした死亡保障をかけておくという考え方もありだと思います。
 
ちなみに死亡率を見てみると、平成28年の20~24歳までの死亡率は男性が10万人分の35.3人(0.0353%)、女性が21.3人(0.0213%)という低さになっています(出所:厚生労働省の「平成29年(2017)人口動態統計月報年計(概数)の概況」より)。
 
では、入院や手術をした時などに支払われる保険(医療保険)はどうでしょう。医療保険を考える前に、毎月給与から引かれる健康保険の制度を確認しておきましょう。いくつかの給付がありますが、主な2つを見てみます。
 
一つ目は「高額療養費制度」です
 
高額療養費は、標準報酬月額※が26万以下、28万〜50万、53万〜79万と83万以上の4区分に分かれていて、それぞれ自己負担の限度額が違います。厚生労働省の「平成30年賃金構造基本統計調査」の結果によると大学卒の初任給は206,700円なので、標準報酬月額が26万円以下を見てみると医療費の1ヶ月の自己負担額は57,600円です。
 
ほとんどの方が57,600円の自己負担ですみます。医療費としては健康保険がきく治療であれば、支払いの上限があるのです。
 
二つ目は「傷病手当金」です。
 
病気やケガのために会社を休み、事業主から報酬がえられない場合に4日目以降支給されます。支給額は1日につき標準報酬日額の3分の2に相当する金額で、1年6ヶ月間が限度です。この傷病手当金は自営業者には無く、サラリーマンの特権でもあります。
 
この高額療養費制度と傷病手当金は、医療保険の保障額を考えるときに参考になります。また、入院の際に個室に入りたい場合は、一般的に1日5,000~10,000円ほどかかりますので考慮しておきましょう。
 
その他心配なこと、不安なことがあればそれに対応する保険を考えましょう。例えば、ガンが多い家系なのでガンになるのが心配と思う方はがん保険、ケガが心配な方はケガ専門の傷害保険などがあります。
 
また、確認しておきたいこととして、会社に団体保険の制度があるかということです。団体保険は割引があるため保険料が一般で加入するより割安だったり、還付金があったりとほぼ有利な条件で加入できます。
 
健康状態を告知する範囲も狭くなっていることが多いので、加入しやすくなっている点も特徴です。福利厚生の一環なので制度がある場合は利用しましょう。
 

標準報酬月額…基本給に通勤手当、残業手当などを加えた1ヶ月の総支給額で賞与を除くもの
標準報酬日額…支給開始日前1年間の標準報酬月額を平均した額の30分の1に相当する額
 

保険加入をしておいた方がいいもの

他人に迷惑をかけた時に法的な賠償額を支払ってくれる(対人・対物)賠償保険があります。車を購入したら自動車保険(任意保険)に加入しますよね。これも賠償保険です。
 
強制保険である自賠責保険は、車検をするときには必ず入ることになっています。ただし、原付には車検はないので原付に乗る方は自賠責の管理が必要です。ナンバーに付けているシールが目安です。うっかり満期が過ぎていたということのないよう注意しましょう。
 
また、自動車運転以外での日常の賠償事故に対応できる個人賠償保険(特約)があります。例えば、自転車に乗っていて他人に接触しケガをさせてしまったり、アパートの階下に水漏れで被害を与えてしまったり、など幅広く補償してくれる保険です。保険料は年間1,000円程度で1億円まで補償してくれます。無制限の保障をできる会社もあります。
 
特に自転車に乗る方は必ず加入しておきましょう。
 

貯蓄の仕組みを作ろう

しっかり貯蓄をしていく近道は仕組み作りです。給料天引きにしたり、銀行口座から毎月自動引き落としにしたりするなど、自動的かつ強制的に貯蓄に流れていくようにしておくことです。
そうすると、残った金額で生活することになります。余ったら貯金しよう!はなかなか難しいものです。
 
ではどういったもので貯蓄をすればいいでしょうか。
 
まずは会社でできる財形、銀行積立などが妥当でしょう。必要になれば途中で引き出すこともできますし、元本保証型なので安心です。
 
資産運用に興味がある方は、つみたてNISAを活用して積立投資していくのがおすすめです。利益に課税されませんし、途中で引き出すこともできます。ただし、リスクもありますので商品選びが重要になります。長期でしっかりお金を殖やしたい場合には向いています。
 
また、個人年金保険など60歳以降に向けて生命保険で貯蓄する方法もありますが、一定額の税控除の優遇はあるものの、途中解約したら払った分が戻ってこないこともあるので注意が必要です。
 
遊びや趣味に費やす時間も大切ですよね。そちらも楽しめるように、少し余裕を持って毎月の貯蓄や保険を検討していったらいかがでしょうか。
 
執筆者:田中栄二(たなか えいじ)
AFP認定者 
 

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