更新日: 2021.06.24 損害保険

他人事ではない自然災害。事前に心構えをしておこう

他人事ではない自然災害。事前に心構えをしておこう
自然災害は、今や日本全国どこでも起きるものです。千葉県でも、台風後いまだに大変な事態が続いています。
 
今や、毎年日本全国で自然災害が起こっています。他人事といってはいられません。今だから知っておきたい、自然災害に備えて知っておくべきこと、お話しします。
 
當舎緑

執筆者:當舎緑(とうしゃ みどり)

社会保険労務士。行政書士。CFP(R)。

阪神淡路大震災の経験から、法律やお金の大切さを実感し、開業後は、顧問先の会社の労働保険関係や社会保険関係の手続き、相談にのる傍ら、一般消費者向けのセミナーや執筆活動も精力的に行っている。著書は、「3級FP過去問題集」(金融ブックス)。「子どもにかけるお金の本」(主婦の友社)「もらい忘れ年金の受け取り方」(近代セールス社)など。女2人男1人の3児の母でもある。
 

消費者トラブル、自分はだいじょうぶ? 何もないときだからこそしっかり確認を

前回のコラムでは、火災保険の見直しの際に確認していただきたいポイントとして挙げていたのは、保険金が必ずしも損害をカバーするわけではないという点です。ですから、適正な価格で保険金を設定しているかどうかを確認することが必要なわけです。
 
また、損害を判定するのは各損害保険会社です。自然災害で損害を受けた住宅修理を、業者が勝手に「保険金が使えますから、修理しましょう」といっても、業者に請求された金額と保険金が同じ金額に相当するわけではないのです。
 
さらに、「保険に加入しているでしょう」と普段より高い見積りを提案されたという事案も聞いたことがあります。
 
保険金があれば、修理代はすべてカバーできると思うのは危険です。自然災害は、予期できるものではありません。災害の被害を受けていない冷静なときこそ、ニュースを見ながら、「こんなときには注意しないといけないんだな」という感覚を持つべきでしょう。
 
被災すると、深く考えることはできないものです。被災後に、住宅改修など何かをするときには、複数の目でチェックすることが必要ですし、最近は消費生活センターなどからの注意喚起もネットで配信されますので、こまめに見ておきたいものです。法的な問題に関してはお近くの消費生活センターや法テラス(※1)に確認するのが確実でしょう。
 
■法テラス・サポートダイヤル:0570-078374(平日9時〜21時、土曜9時〜17時)
 

支払いが必要なものの猶予か免除はとても大事

被災後、すぐに新しい生活に向けて元気よく動き出せる方はいません。筆者の場合、阪神淡路大震災での経験があったため、東日本大震災が起こったときには、ガスの点検や水の確認、電池の確認などすぐに必要なものが浮かび、準備が手早くできましたが、だれしもがそうではありません。
 
ただ、物資の準備はともかく、家屋や車など被害が甚大になればなるほど、お金の問題はとても重要なことです。「支払わなくていいもの」と「受け取れるもの」の整理をしてみましょう。
 
まず、お子さまがいる家庭では、災害時に経済的な理由によって授業料等の納付が困難な際、ほとんど場合に減免・猶予の支援が受けられます(延長、金利の引き下げ含む)。具体的な基準や減免額については、お子さまが通っている学校に直接問い合わせるのがよいでしょう。
 
そのほか、税金、医療、介護保険料、放送受信料、公共料金など、災害時には減免されるものがたくさんあります。家の片付けも大事ですし、まずは、落ち着ける場所を確保するのも大事ですが、情報が集中すると、電話もなかなかつながりにくくなります。
 
被災した場合には、最初に「支払いを止める」「待ってもらう」もしくは「免除してもらう」と覚えておきましょう。
 

災害は毎回同じとは限らない

自然災害で住宅が被害を受けた場合には、「罹災証明書」という証明書をお住まいの自治体に発行してもらい、その被害の程度によって、被災者生活再建支援法と災害救助法に基づく支援が行われます。ただ、この罹災証明書は、「全壊」「大規模半壊」「半壊」「一部損壊」という判定がされますが、法律に基づく支援が受けられるのは、原則として半壊以上です。
 
今回の千葉県での被害の場合には、これまでとはいくつか異なる対応が示されています。自己判定方式の活用、もしくは一部損壊でも、防災・安全交付金が交付される、台風による被害に「降雨」による被害も加味して判定、という新たな対応がされるようです。
 
速やかに支援が受けられるようにということでしょうが、これまでであれば、台風は台風だけの損害で判定、一部損壊は支援が何もない、ということで終わっていたかもしれません。
 
20年前と比べると、格段に被災者支援は進化しているのです。ぜひ、自然災害が起こったときには、他人事と思わず、こういうときにはこんな対策をしておくべき、こんな準備が必要、こんな詐欺には引っかからないなど、イメージしておきたいものです。
 
(※1)日本司法支援センター 法テラス
 
執筆者:當舎緑
社会保険労務士。行政書士。CFP(R)。

 

PR
FF_お金にまつわる悩み・疑問 ライターさん募集