障がいのある子が加入できる民間医療保険はあるの?
配信日: 2019.12.18 更新日: 2024.09.26
病気やけがで入院したり、所定の手術を受けたりした場合の自己負担に備える方法のひとつに民間医療保険があります。障がいのある子のうち、知的障害のある子が加入できる代表的な民間医療保険を紹介します。
執筆者:新美昌也(にいみ まさや)
ファイナンシャル・プランナー。
ライフプラン・キャッシュフロー分析に基づいた家計相談を得意とする。法人営業をしていた経験から経営者からの相談が多い。教育資金、住宅購入、年金、資産運用、保険、離婚のお金などをテーマとしたセミナーや個別相談も多数実施している。教育資金をテーマにした講演は延べ800校以上の高校で実施。
また、保険や介護のお金に詳しいファイナンシャル・プランナーとしてテレビや新聞、雑誌の取材にも多数協力している。共著に「これで安心!入院・介護のお金」(技術評論社)がある。
http://fp-trc.com/
ぜんちのあんしん保険(ぜんち共済株式会社)
知的障害、発達障害、ダウン症、てんかんのある方のための総合保険です。障がいのある方とその家族、施設職員などが加入できます。満5歳~満74歳(一部64歳)まで加入でき、年齢、性別にかかわらず保険料は一定です。加入の際に健康告知や医師の診査は必要ありません。
保障内容として、「死亡」「医療(入院・手術・通院)」「個人賠償」「権利擁護」がセットされています。個人賠償責任保険は、東京海上日動の示談交渉サービス付きです。
権利擁護費用保険は、被保険者本人が被害事故(虐待、雇用現場での差別、逮捕・拘留、消費者被害、もらい事故、財物損壊)に遭った場合、解決するための弁護士費用を補償するもので日本初です。
権利擁護費用保険の支払事例としては、「特別支援学校で低水温のプールに入れられ、放置された」「就労先の担当課長から小突かれるなどのパワハラを受けた」「施設内で受傷した事故に関し虐待の疑い」「街角で見知らぬ男性に声をかけられ、携帯電話を複数台契約させられ詐取された」などがあります。
[新A-1](ベーシックプラン)、[新A-2](おすすめプラン)、[新B-2](入院重点プラン)、[新C-3](充実保障プラン)の4プランがあります。
【保障内容と保険料例】
[新A-2](おすすめプラン)の場合、保険料は年払いで2万2500円です。
保障内容は、
死亡保険金10万円
特定疾病死亡保険金10万円
特定重度障害保険金10万円
入院保険金(日額)7000円(1入院30日限度)
特定疾病入院保険金(日額)7000円(1入院30日限度)
入院一時金1万円
手術保険金2万円
傷害通院保険金3000円(1事故30日限度)
個人賠償責任保険金は最大で国内5億円(国外1億円)。権利擁護費用保険金は、法律相談費用5万円、弁護士委任費用100万円、接見費用1万円までの実費を補償します。
生活サポート総合補償制度(AIG損害保険株式会社)
知的障害児者・自閉症児者の方が抱えるさまざまなリスクを補償する保険です。年齢にかかわらず、知的障害児者・自閉症児者の方であれば加入でき、入院給付金は既往症やてんかん発作をはじめ、治療のための検査入院でも補償の対象となります。加入に際しての健康診断や医師の診察は必要ありません。
補償内容として、
(1)病気やけがで入院したときの「付き添え介護保険金」「差額ベッド費用」「入院諸費用」「入院一時金」
(2)他人に損害を与えたときの「個人賠償責任補償」
(3)傷害(けが)をしたときの「死亡保険金」「後遺障害保険金」「入院保険金」「通院保険金」「手術保険金」
(4)病気で死亡したときの「葬祭費用保険金」
(5)地震などによる傷害(けが)を補償する「地震・噴火・津波補償」
がセットされています。
入院2日から「補償プランB」と入院4日目から「補償プランA」があります。
【補償内容と掛け金例】
「補償プランB」の場合、掛け金は1年間で2万3000円です。
補償内容は、
付き添え介護保険金(日額)8000円(30日限度)
差額ベッド費用(日額)3000円(30日限度)
諸費用(日額)1000円(30日限度)
入院一時金6000円
個人賠償責任補償(最大)3億円
死亡保険金10万円
後遺障害保険金4000円~10万円
入院保険金(日額)5000円(180日限度)
通院保険金(日額)3000円(90日限度)
手術保険金5万円(入院中)、2.5万円(入院中以外)
葬祭費用保険金10万円
上記のほかに、一般社団法人日本自閉症協会(ASJ)の「自閉症スペクトラムのための総合保障」もあります。これは、「病気やけがで入院した場合」「けがでの通院」「個人賠償補償」をセットした総合保障になっています。
※保障(補償)内容と保険料(掛け金)例は、執筆時点(2019年11月)のものです。
執筆者:新美昌也
ファイナンシャル・プランナー