「生命保険の支払いが厳しい。解約するしかないですか?」保障を継続するためのさまざまな制度とは
配信日: 2020.05.31
生命保険には、自動振替貸付制度、減額、延長定期保険への変更、払済保険への変更など保障を継続するためのさまざまな制度があります。こうした制度を活用して難局を乗り越えましょう。
執筆者:新美昌也(にいみ まさや)
ファイナンシャル・プランナー。
ライフプラン・キャッシュフロー分析に基づいた家計相談を得意とする。法人営業をしていた経験から経営者からの相談が多い。教育資金、住宅購入、年金、資産運用、保険、離婚のお金などをテーマとしたセミナーや個別相談も多数実施している。教育資金をテーマにした講演は延べ800校以上の高校で実施。
また、保険や介護のお金に詳しいファイナンシャル・プランナーとしてテレビや新聞、雑誌の取材にも多数協力している。共著に「これで安心!入院・介護のお金」(技術評論社)がある。
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目次
保険料の負担を軽くしたいとき
保険料の負担を軽くしたいときには、保険金額の減額を検討しましょう。保険金額の減額は保険金を、例えば3000万円から2000万円に減額することにより、保険料の負担を軽くする方法です。
意外と知られていませんが、保険は一部だけ解約することが可能です。解約返戻金のあるタイプの保険であれば、減額部分についての解約返戻金が支払われます。減額後は減額された保険料を払い続けることになります。
一時的に保険料の支払いが困難になったとき
一時的に保険料の支払いが困難になったときは、自動振替貸付制度が利用できます。保険料の払い込みが遅れても、すぐに契約の効力がなくなるわけではありません。
失効すると万一の場合、保険金などが受け取れないことになりますので、払込猶予期間が設けられています。この期間を経過すると、自動振替貸付が適用されるか、そのまま契約が失効するかのいずれかです。
自動振替貸付が適用された場合、保険会社が解約返戻金の範囲内で保険料を立替払いしてくれます。なお、立て替えられた保険料には保険会社所定の利息がつきます。なお、失効しても一定期間内であれば保険契約を有効な状態に戻すことが可能です(復旧)。
保険料の支払いを中止するが保障を継続したいとき
以後の保険料の支払いを中止するが、保障を継続したいときに利用できる制度に、延長定期保険への変更と払済保険への変更があります。
延長定期保険への変更は、保険料の払い込みを中止して、その時点での解約返戻金をもとに、死亡保障のみの定期保険に変更する方法です。払済保険への変更と異なり、死亡保障は減額されません。ただし、保険期間(保障期間)は短くなります。
払済保険への変更は、保険料の払い込みを中止して、その時点での解約返戻金をもとに、保険期間をそのままにした保障額の少ない保険(同じ種類の保険または養老保険)に変更する方法です。
両者は解約返戻金を活用するので、解約返戻金が少ない場合には利用できません。変更により付加している各種特約は消滅しますので注意しましょう。なお、一定期間内であれば元の契約に戻すことが可能です(復旧)。
保険を解約せずに解約返戻金を利用したいとき
現金は必要だけれども、解約はしたくない場合に利用できるのが契約者貸付です。契約している生命保険の解約返戻金の一定範囲内で、貸付を受けることができます。
貸付金には所定の利息(複利)がつきます。貸付利率は契約の時期などにより異なります。借りたお金は、その全額または一部をいつでも好きなときに返済できるというメリットがあります。満期、死亡、解約までに返済しない場合、保険金等から元利の合計が差し引かれて支払われます。
新型コロナウイルス感染症に関する生命保険の取り扱い
新型コロナウイルス感染症に関する生命保険の取り扱いとして、生命保険会社では、保険料払込猶予期間の延長、契約者貸付に対する利息の免除など特別な扱いをしています。詳しくは加入している保険会社に問い合わせてください。
執筆者:新美昌也
ファイナンシャル・プランナー