更新日: 2019.01.10 医療保険
大人気のタイ ロングステイ時の課税と医療保険はいくらかかる?
Text:小松英生(こまつ ひでき)
税理士
ASAHI Networks (Thailand) Co., Ltd. 代表取締役
1997年税理士登録。2001年KPMG税理士法人入所。2006年より3年間KPMGバンコク事務所赴。2012年2月より現職に就任し、30名のスタッフとともに日系企業に対し、タイ投資のため外資規制対策、BOIの活用、労働法、会社法、税法、会計法に関する実務や対処方法のアドバイザリーを提供している。
2014年9月よりJETROバンコク 中小企業海外展開現地支援プラットフォーム事業・専属コーディネーターを拝命
目次
日本での年金収入や不動産収入は同年に持ち込むと課税される
タイでロングステイする人に多くみられる収入源は、日本での年金収入や不動産収入、投資の運用益などです。これらはタイでは「国外源泉所得」とされるため、タイ国内に収入が発生した年と同じ年に持ち込まない限りは課税されません。
タイ国内に日本で稼いだお金を持ち込む場合、収入が発生した年と同じ年に持ち込むと上述のとおりタイ側で課税されます。
しかし、収入が発生した翌年以降の持ち込みには課税されません。実際はタイに持ち込んだお金がいつ稼いだものか紐づけが難しく、今までは課税されていない事があると聞いています。今後はネットバンキングや、システム環境の向上で、日本とタイの租税条約に係る情報交換規定の運営強化も考えられます。
なので、課税されるか、されないかを見極め判断したうえで脱税とならないよう気をつけましょう。
ロングステイでは民間の保険への加入がおすすめ
タイにも社会保険制度がありますが、そのサポートは日本と比べてあまり充実しているとは言えません。加入の際に国立病院をひとつ選ぶことになりますが、選んだ病院以外の病院は利用できません。ですので、企業が民間の医療保険にも入って、従業員をサポートしているケースが多くみられます。日本人でも社会保険に加入している会社に勤めていれば、現地の人と同じように加入することができます。
しかし、ひとつの病院しか利用出来ない、タイ語で診察を受けることになるという点に不安を感じる人は民間の医療保険への加入がおすすめです。
私が加入している民間の海外旅行保険の場合、年間保険料15万円ほどで最高1億円の補償と医療保険付きのため、私立病院でもキャッシュレスで診察を受けることが出来ます。日本語の通訳がいる私立病院もあります。いつでも私立病院で、キャッシュレスで治療が受けられるのは安心です。タイにロングステイする際は民間の保険を検討されてはいかがでしょうか。
裕福に暮らせると思ったら大間違い!孤独死する日本人増加中
タイに移住したものの、日本と同様の暮らしぶりができず、なかには孤独死する日本人がいると聞きます。
物価が安いため、タイに来れば裕福に暮らすことが出来ると考える人が多くいますが、決してそういうわけではありません。保険に入らずに私立病院に行くと非常に高い費用がかかりますし、タイで日本食を食べるなど日本と同等の生活をしようとするとそれなりの費用がかかります。
ゴルフ三昧に日本食となると、お金がある人でないと出来ません。甘い夢をみてタイに来たものの、身寄りもなくお金に困って近くに住むタイ人に面倒を見てもらうような、迷惑をかける日本人もいると聞きます。働いていない人は会社の保険もありませんから、民間の保険への加入を検討する必要があり、保険に入るお金が厳しい人は、タイへのロングステイを再考したほうが良いかもしれません。
日本と同じように暮らしたいなら、それなりのお金が必要になりますので、タイに行けば安く生活が出来るなどと安易に考えず、しっかりと計画性を持って臨みましょう。
タイに行ったら人と文化への敬意を大切に
タイでの注意点として、現地の人や文化への敬意を忘れないことも大事です。タイ人は王室を敬愛しています。王室に敬うことはもちろんのこと、現地の人たちに対しても温かい気持ちを忘れないようにしましょう。たまに、タイを少し下にみている日本人を見かけますが、それだけはやめましょう。豊かな大地と気候、歴史上植民地ともならず独立を維持してきた王族を頂点とする誇り高き文化を持った人たちです。
タイの人は日本に対して、美しい国であり、国民も優しいというイメージを持っている人が多くいます。そのイメージを崩さないように、慎みのある言動をとってもらえると嬉しいです。
Text:小松 英生(こまつ ひでき)
ASAHI Networks (Thailand) Co., Ltd. 代表取締役、税理士