更新日: 2021.07.03 損害保険
地震保険の保険料に変動がある?
地震保険の保険料の変動はこれで終わりかと思いきや、また変わるようです。では、地震保険の保険料はどのように変わるのでしょうか?
(※本稿は2021年6月時点の情報です)
執筆者:大泉稔(おおいずみ みのる)
株式会社fpANSWER代表取締役
専門学校東京スクールオブビジネス非常勤講師
明星大学卒業、放送大学大学院在学。
刑務所職員、電鉄系タクシー会社事故係、社会保険庁ねんきん電話相談員、独立系FP会社役員、保険代理店役員を経て現在に至っています。講師や執筆者として広く情報発信する機会もありますが、最近では個別にご相談を頂く機会が増えてきました。ご相談を頂く属性と内容は、65歳以上のリタイアメント層と30〜50歳代の独身女性からは、生命保険や投資、それに不動産。また20〜30歳代の若年経営者からは、生命保険や損害保険、それにリーガル関連。趣味はスポーツジム、箱根の温泉巡り、そして株式投資。最近はアメリカ株にはまっています。
目次
全国平均では地震保険の保険料が下がる
東日本大震災の影響による地震保険の基本料率の大幅な引き上げに伴う保険料の引き上げは、今後10年間は続くようです。この引き上げにより、地震保険の基本料率の改定率は平均で1.6%アップしました。
ところが、全国的に地震の発生頻度が増加するものの、耐震性の高い住宅の普及により、基本料率を2.3%引き下げるようです。
つまり、
1.6%-2.3%=▲0.7%
という計算式が成り立ちます。よって、地震保険の基本料率の改定率は全国平均で0.7%低くなるということです。
地域別ではどうなっている?
東京都では、イ構造(耐火建築物や準耐火建築物)では保険料の変化がありませんが、ロ構造(イ構造以外の、例えば木造建築物など)では2.6%保険料が下がります。
しかし、隣県の埼玉県で、イ構造で29.9%、ロ構造で12.3%と、それぞれ大幅な引き上げです。
愛知県と大阪府では、イ構造で1.7%、ロ構造で8.0%のそれぞれ引き下げです。
もっとも大きな引き下げ幅は大分県です。イ構造で38.1%、ロ構造では47.2%とそれぞれ大幅なダウンです。
イ構造=耐火建築物、準耐火建築物および省令準耐火建物等
ロ構造=上記、イ構造以外の建物
(出典:損害保険料率算出機構「【地震保険】基準料率改定の届出のご案内」)
ここのところ下がり続けている、愛知県の地震保険の保険料
前述しました、2017年から2020年にかけての3度に分けた全国的な引き上げにおいても、愛知県においては地震保険料が3度とも引き下げられています。
ちなみに、2019年の愛知県における地震保険の世帯加入率は43.0%です。東京都では37.3%、隣県で保険料の大幅な値上げがなされる埼玉県で32.7%となっています。愛知県は、他県に比べて保険加入率は高いといえます。
(地震保険の世帯加入率がもっとも高い都道府県は宮城県で、52.0%です)
保険期間が5年間の場合のみ、長期係数が変わる
今回の地震保険の改定では、保険期間が5年の場合のみ、長期係数が変わります。これまでの4.65から4.70に引き上げです。長期係数が引き上げということは、「保険料を5年分、まとめて払った時の割引率が下がる」ことを意味しています。
毎年払う地震保険の保険料を5年分まとめて払えば、単純に「毎年の保険料×5年分」という計算式になりますが、長期係数が適用されると「毎年の保険料×4.70」ということになるのです。
保険料改定の時期は未定
今回の地震保険の保険料改定が、いつから実施されるのかは現在のところ定かではありません。
例えば、2022年1月に保険料改定が実施されるとすると、2022年1月以後に、新規に契約する方、もしくは更新する方、あるいは地震保険の保険料を毎年、もしくは毎月、支払っていらっしゃる方が影響を受けることが考えられます。
今回の地震保険の保険料改定によって、地震保険の保険料が引き上げられるという方は、「引き上げられる月」の前月までに地震保険の保険料5年分を払ってしまえば、現行の保険料と現行の長期係数がそれぞれ適用になります。
「5年分を払うのは難しい」という方は、例えば1年分を払うだけでも、1年間は現行の保険料ということになります。
割高なイメージな地震保険。情報の収集と正しい見積もりで、適切に判断していきたいものです。
参考・引用
損害保険料率算出機構「【地震保険】基準料率改定の届出のご案内」
気象庁「東海地震とは」
損害保険料率算出機構「グラフで見る!地震保険統計速報」
損害保険料率算出機構「地震保険料の変遷」
執筆者:大泉稔
株式会社fpANSWER代表取締役