2016~2020年の5年間で生命保険会社各社の新契約件数はどう変わった?
配信日: 2021.09.09 更新日: 2021.09.10
今回は生命保険会社各社の新契約件数に着目しています。
執筆者:松浦建二(まつうら けんじ)
CFP(R)認定者
1級ファイナンシャル・プランニング技能士
1990年青山学院大学卒。大手住宅メーカーから外資系生命保険会社に転職し、個人の生命保険を活用したリスク対策や資産形成、相続対策、法人の税対策、事業保障対策等のコンサルティング営業を経験。2002年からファイナンシャルプランナーとして主に個人のライフプラン、生命保険設計、住宅購入総合サポート等の相談業務を行っている他、FPに関する講演や執筆等も行っている。青山学院大学非常勤講師。
http://www.ifp.cc/
新契約件数が4年連続で増加している生命保険会社は2社しかない
最初に生命保険会社42社の個人保険の新契約件数を一覧表にしてみました。表は2016年度から2020年度まで5年間の新契約件数を2020年度の件数順に並べてあります。件数の単位は「千件」と「件」が混在しています。
●SOMPOひまわり生命(旧 損保ジャパン日本興亜ひまわり生命)
●FWD富士生命(旧 AIG富士生命)
●大樹生命(旧 三井生命)
●ニッセイ・ウェルス生命(旧 マスミューチュアル生命)
●ソニーライフ・ウィズ生命(旧 ソニーライフ・エイゴン生命)
●イオン・アリアンツ生命(旧 アリアンツ生命)
●はなさく生命
個人保険で2020年度の新契約件数が最も多かったのは日本生命で、379.6万件になります。1日あたり1万件強の新契約件になるので、非常に大きな数です。2番目の第一生命が324.2万件、3番目の太陽生命が107.6万件で、ここまでが100万件を超えています。
また、ライフネット生命までの21社が10万件を超えています。ただ、保険会社によって契約件数の数え方が若干異なるので、保険会社の業績を確認するなら、他の項目も併せて確認したほうが良いです。
新型コロナウイルス感染症が2020年2月頃から拡大したため、2020年度(2020年4月~2021年3月)の決算は新型コロナウイルス感染症の影響をまともに受けています。そのため、2019年度から件数を増やした保険会社は13社しかありません。
生命保険業界では金利の低下により貯蓄性商品の魅力が減ったり、法人保険で税制変更があったりして、ここ数年は業績が安定成長しづらい状況にあります。
2016年度から4年連続で新契約件数が増えている保険会社を確認したら、ネオファースト生命とライフネット生命のわずか2社しかありませんでした。この4年間外的要因の影響を受けず、新型コロナウイルス感染症は追い風となり、ともに2016年度の3万件弱から2020年度には10万件を超えるまで成長しています。
一方で、4年間連続で件数が減っている保険会社は6社もあり、特にかんぽ生命は244.1万件から12.4万件へ95%も減らしています。特殊要因(不祥事)の影響が大きいですが、これだけ減ると社内の雰囲気を想像するのが怖いです。
個人年金保険の新契約件数は毎年減少している
個人保険の次に個人年金保険の新契約件数も確認しておきましょう。表は個人年金保険の新契約がある保険会社のみ載せてあります。
個人年金保険でも2020年度の新契約件数が最も多かったのは日本生命で、20.2万件になります。2番目がソニー生命で12.7万件、3番目が住友生命で9.8万件となっています。2020年度に1万件以上の新契約があった保険会社はわずか9社しかありません。その他は個人年金保険の取り扱いをしていないか、新契約があったとしてもごくわずかとなっています。
2019年度から新契約件数を増やした保険会社は4社しかなく、2016年度から4年連続となるとソニー生命しかありません。2020年度が2016年度より多い保険会社をみてもわずか3社しかなく、個人年金保険は新型コロナウイルス感染症の影響だけでなく、金利の低下も大きく影響していると考えられます。
生命保険会社は42社ありますが、2016年度以降安定して新契約を獲得できている保険会社はほとんどありません。それだけ生命保険会社にとっては厳しい時代といえますが、すでに加入している人にとっては、安定した経営をしていてほしいものです。新契約件数は厳しい内容でしたが、保有契約件数はどのような状況になっているのでしょうか? 次回は、生命保険会社の保有契約件数について確認します。
※保険会社の決算内容は保険会社のホームページに載っています。詳細については各保険会社のホームページで直接確認してください。
※2020/9/10 図表に一部誤りがあったため、修正いたしました。
執筆者:松浦建二
CFP(R)認定者