「火災だけが対象」は勘違い。あなたの知らない火災保険の使い道
配信日: 2018.02.24 更新日: 2019.01.07
筆者の住む神奈川県でも、多くのところで積雪がありました。大きな被害は耳にしませんでしたが、筆者宅は屋根に積もった雪がカーポートに激しく落下し、大きな音を立てて驚いたものです。
幸い被害がありませんでしたが、万が一積雪などで家に被害が起きたときに、強い味方になるのは「火災保険」です。
その名称ゆえに「火事のとき」と思ってしまう人の多い火災保険ですが、どんな使い道があるのか。“わが家の補償”として合っているかチェックしてもらいたいと思います。
Text:塚越菜々子(つかごし ななこ)
CFP(R)認定者
1級ファイナンシャル・プランニング技能士
お金の不安を賢く手放す!/働くママのお金の教養講座/『ママスマ・マネープログラム』主催
お金を貯める努力をするのではなく『お金が貯まる仕組み』づくりのサポート。保険や金融商品の販売を一切せず、働くママの家計に特化した相談業務を行っている。「お金だけを理由に、ママが自分の夢をあきらめることのない社会」の実現に向け、難しい知識ではなく、身近なお金のことをわかりやすく解説。税理士事務所出身の経験を活かし、ママ起業家の税務や経理についても支援している。
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自然災害で補償されるもの
1.火災
2.落雷
3.破裂・爆発
4.風災・雹(ひょう)災・雪災
5.水災
このように、火災以外の自然災害も幅広く保証されるのが火災保険です。破裂・爆発というのがイメージしづらいかもしれませんが、カセットコンロや消火器などの爆発や破裂で、家に損害を負った場合などのケースです。
風災は、台風で屋根が飛ばされたりした場合ですね。雹も大きくなると家に損害を与えることがあります。冒頭に書いた雪による被害は雪災になりますね。水災は河川の氾濫や大雨などによる土砂崩れなどによる被害です。
日常災害で補償されるもの
1.落下・飛来・衝突・倒壊など
2.給排水設備で生じた水漏れ
3.騒擾(そうじょう)
4.盗難による盗取・損傷・汚損
5.不測かつ突発的な事故による破損・汚損
火災や自然災害以外にも、日常で起こる災害による被害も補償があります。看板が落ちてきた被害・車が飛び込んできた被害などが落下・衝突に該当します。
騒擾というのは、集団で暴力行為を働かれて被害を受けた場合。盗難は泥棒に入られてガラスを割られた損害などです。
どれが必要で、どれがいらない? どれを外すことができる?
筆者も火災保険に入るときに説明を受けましたが、正直なところ「え? そんな被害ある?」「いるのそれ?」と思うようなものがありました。
強風で看板が飛んでくるといわれても想像できませんし、消火器もカセットコンロもないので、爆発自体が起こるイメージがつきません。騒擾に至っては、当時は漢字も読めませんでした。
外すことのできないセットのものもありましたし、外してもほとんど保険料が変わらないものもありました。
一番悩んだのは、水災です。
水災は河川の氾濫などで床上浸水した場合などが想定されていますが、わが家のまわりには河川も海もありません。比較的高台に位置しており、自治体のハザードマップ(※)を確認しても川の氾濫の影響はなさそうでした。
しかし、近年のいわゆる「ゲリラ豪雨」の可能性があることと、自宅のすぐそばに高台があり土砂崩れの危険性がないとも言い切れない……。そう考え、保険料との折り合いがついたので水災はつけてあります。
(※)ハザードマップ
自然災害の被害を予測し、被害の恐れのある地域などの情報を載せた地図。
国土交通省ハザードマップポータルサイト
https://disaportal.gsi.go.jp/index.html
自分の住んでいる場所と状況・補償内容を確認
マンションの高層階に住んでいる場合などは、水災の被害は可能性が低いので必要ないケースがあります。水災の保険料は比較的高めになっているので、そもそも可能性が低いのなら保証を外したほうがいいかもしれません。外せばその分保険料は安くなります。
しかし、いつ起こるか想定できないけれど起きたら被害が大きいものに備えるのが保険。安さばかりを追求していざ使えなくなっては困りますので、慎重に検討しましょう。
そもそも、どんな補償がついているのか知っておくのが大前提。知らないことには被害が起きても請求することすらできません。長期のローンを組み何年も前に入ったきり。あれ? 保険証券はどこだったかな? とならないように、定期的に確認したいですね。
Text:塚越菜々子(つかごし ななこ)
1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP(R)認定者