更新日: 2022.05.24 その他保険
お得なのはどっち? 国民健康保険と健康保険を給付の違いから解説
一般的に、国民健康保険も健康保険も、医療費を助成する大きな役割は同じです。しかし、一部の給付内容が違っているので、把握しておくことが大切です。
本記事では、国民健康保険と健康保険の給付の違いを解説していきます。
執筆者:川辺拓也(かわべ たくや)
2級ファイナンシャルプランナー
国民健康保険と健康保険の給付内容の違い
はじめに、国民健康保険と健康保険の給付内容にどんな違いがあるのかを確認しておきましょう。図表1に、それぞれの特徴を記載しています。
【図表1】
保険の給付内容 | 国民健康保険 | 健康保険 |
---|---|---|
療養の給付 | 〇 | 〇 |
高額療養費 | 〇 | 〇 |
傷病手当金 | ×(任意給付) | 〇 |
出産手当金 | 〇 | 〇 |
出産育児一時金 | ×(任意給付) | 〇 |
埋葬料 | 〇 | 〇 |
出典:厚生労働省 国民健康保険の給付について 全国健康保険協会 健康保険給付についてより筆者が作成
それぞれの給付要件をみると、傷病手当金と出産育児一時金は国民健康保険だと任意給付になります。任意給付とは各市町村が任意で給付するか決める制度です。
しかし、健康保険では必ず給付することが必要になります。国民健康保険と健康保険で給付要件の違う、「傷病手当金」「出産育児一時金」をそれぞれ確認しておきましょう。
健康保険お得ポイント:傷病手当金
傷病手当金とは、けがや病気で仕事ができず会社を休んだときに受けられる、収入を補填するための保障制度です。以下の条件に当てはまると給付されます。
・業務外の事由による病気やけがの療養のための休業であること
・仕事に就くことができないこと
・連続する3日間を含み4日以上仕事に就けなかったこと
・休業した期間について給与の支払いがないこと
傷病手当金が支給される期間は1年6ヶ月です。2022年から支給期間の考え方が図表2にあるように変わりました。
【図表2】
出典:全国健康保険協会 協会けんぽ 病気やケガで会社を休んだとき(傷病手当金)
また、傷病手当金の支給金額は図表3の通り、標準月額の3分の2が支給されます。
【図表3】
出典:全国健康保険協会 協会けんぽ 病気やケガで会社を休んだとき(傷病手当金)
傷病手当金は、収入が減少するリスクが発生した際の支えになる保障といえます。
健康保険のお得ポイント:出産手当金
続いて、出産手当金を解説します。
全国健康保険協会によると「出産のため会社を休み、その間に給与の支払いを受けなかった場合は、出産の日(実際の出産が予定日後のときは出産予定日)以前42日(多胎妊娠の場合98日)から出産の翌日以後56日目までの範囲内で、会社を休んだ期間を対象として出産手当金が支給される。」 と定めています。
一方で、国民健康保険は任意給付なので、給付義務は負いません。
国民健康保険と健康保険の給付についてまとめ
国民健康保険と健康保険に大きな違いはありません。しかし、傷病手当金や出産手当金の違いがあり、健康保険の給付要件が手厚いです。定年退職では、健康保険を継続するか国民健康保険に加入するか選択する必要があります。
全ての給付要件が同じではない点を把握しておいて、退職時にどちらに加入する方がよいのか、よく検討しておきましょう。
出典
厚生労働省 国民健康保険の給付について
全国健康保険協会 健康保険給付について
全国健康保険協会 病気やケガで会社を休んだとき(傷病手当金)
全国健康保険協会 出産で会社を休んだとき
執筆者:川辺拓也
2級ファイナンシャルプランナー