【労災】職場の玄関の「除雪作業」で転倒しけがをしてしまいました…労災に認定されますか?
配信日: 2022.12.23
しかし、足元が滑りやすくなっているために作業中に転倒してけがをすることもあるでしょう。
今回は、職場の除雪作業で負ったけがでも労災保険の対象になるのかどうかを解説していきます。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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目次
そもそも労災保険とはどのようなもの?
労災保険は「業務災害」「複数業務要因災害」「通勤災害」の3つの災害に分類されます。このうち「業務災害」と「複数業務要因災害」は仕事による傷病のことで、「通勤災害」は通勤中のけがなどのことです。これ以外の傷病については、労災保険は適用されません。
仕事による傷病といっても「複数業務要因災害」の対象になるのは「脳・心臓疾患や精神障害など」です。「ストレスや労働時間などが原因の場合」に該当するもので、総合的に評価を行った上で判断されます。
「業務災害」は業務を原因とするけが、疾病、障害、死亡を指しますが、労災として認められるには「事業主の管理下・支配下にあること」が原則となっています。
職場の除雪作業で負ったけがは労災保険の対象か?
職場でけがを負ったときは、労災保険の「業務災害」に該当します。ただ、事業主の支配下にあるといっても、「除雪作業が本来の業務」という人は少ないでしょう。
しかし、「上司から命令」を受けて除雪作業にあたっていたときは「業務災害」と認められます。業務をスムーズにすることを目的としている場合も「業務災害」と判断されるのが一般的です。「積極的な私的行為」がない限りは「業務災害」になると考えてよいでしょう。
また、除雪のような何らかの作業をしているわけではなくても、会社の施設内にいれば「業務遂行性」があります。例えば、休憩中に滑って転んだことが原因でも、事業場施設に関係しているということで「業務災害」と考えることができます。
今回の場合は、会社の玄関の除雪作業中に転倒したことがけがの原因です。玄関での転倒ということで事業場施設に関係している点でも、労災保険が適用される可能性が高いといえます。
労災が認められたときに受けられる給付は?
除雪作業中のけがが労災と認められた場合、そのときの状況に応じて受けられる給付が変わってきます。
通常の勤務が難しく休業が必要になったときは、休業4日目から1日につき「給付基礎日額の60%」が受けられます。もし、ただのけがではなく障害が残った場合は、障害の程度に応じて給付基礎日額の131~313日分の年金を受けることが可能です。
なお、給付基礎日額は「労働基準法の平均賃金に相当する額」になります。具体的には、「医師の診断を受けた日」の直近3ヶ月の賃金総額を基に算出されます。「ボーナスなどを除く賃金総額を暦日数で割った額」が1日当たりの賃金額で、給付基礎日額です。
職場で除雪作業中に負ったけがも労災保険が適用される可能性は高い
職場で負ったけがに労災保険が適用されるかどうかを判断するには「事業主の管理下・支配下」であるか「事業場施設に関係しているか」が決め手になってきます。除雪作業中に職場の玄関で転倒したことがけがの原因なら、労災として認められる可能性は高いといえます。
実際にはそのときの状況に応じて決定されるため、けがを負ったときは必ず上司または事業主に報告しましょう。
出典
厚生労働省 労災保険給付の概要
労災保険情報センター 労災になりますか 「休憩時間中のケガ」
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部